- 2013年7月8日
- 日常風景
歴史遺産学演習Ⅰ Cクラス~後半授業1回目 午前~
こんにちは。歴史遺産学科教員の仲です。
3回生の本科目は、3つのクラスに分かれて実践的な演習に取り組んでいます。
Cクラスでは前半で民俗文化財をテーマに演習を進めてきましたが、後半では歴史的建造物・庭園について演習を行います。
第1回:平成25年6月13日(木)
調査対象地の概要
賀茂川と高野川が合流する三角州には、下鴨神社が位置しています。
境内林である「糺(ただす)の森」の一画を三井家が購入し、明治31年(1897)に三井家の祖霊社である「顕名神社」が遷座されました。大正11年(1922)には三井家下鴨別邸の造営が開始され、大正14年にはそれまで京都木屋町にあった別邸の建築がここに移築されたのです。
今回の演習は、この旧三井家下鴨別邸で行います。
下鴨神社へ向かう参道に面して旧三井別邸の外壁がめぐっています。
主屋に集合し、京都市文化財保護課の専門技師さんから旧三井家下鴨別邸についてご説明をうかがいました。
昭和24年にこの敷地は国有化され、京都家庭裁判所の所長官舎として使用されてきました。平成21年に所長官舎が移転し、平成23年6月に重要文化財に指定されました。京都市が管理団体となり、現在、京都府文化財保護課によって建造物の修理工事が行われており、修理後、公開・活用が予定されています。
歴史・芸術を学んでいる学生の視点から、保存・活用計画を提案することが本演習の目標の一つです。
玄関棟にはすでに工事用の足場が組みあげられ、今日は茶室の足場組みの作業が行われています。足場材は丸太材で、職人さんが搬入しています。
演習は、職人さんの仕事の邪魔にならないよう、建築内部と庭園で行いました。
主屋から見た庭園のようすです。皆で除草清掃しながら、庭園の特徴を観察・記録していきます。
邸内には水が引き込まれ、流れや滝となって池に注ぎ込みます。雑草や落ち葉を丁寧に除去しました。
清掃中の様子です。樹木の根が流れ底を覆っていました。
ねじり鎌や木鋏を使って根系を除去していきます。
清掃を終えると、流れ底はモルタルで仕上げられていることや、過去にも修理が行われた痕跡があることなどがわかりました。