キャラクターデザインコース

ゼミ通ヒーローズVol.15 奥田菜陽と「Happy Elements授業」について語るの巻 Part1

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ゼミ通ヒーローズ Vol.15

 

今回のゼミ通ヒーローズでは、ゲームゼミ2年生(12期生)の奥田菜陽さん(広島県立広島観音高等学校出身)をピックアップ。

絵も描けて企画もできる奥田さんですが、

今回は彼女が受講している「ゲーム制作特殊演習(株式会社Happy Elementsさんとの合同授業)」での

イラスト作成を中心にその表現についてお話を聞こうと思います。

 

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オープンキャンパスのスタッフとして高校生に学科説明をする奥田菜陽さん。

 

村上

まずは人となりから聞いていこうかな。そもそも、どうしてこの大学に入ろうとしたの?

 

奥田

私、高校の時にずっと「ジョジョの奇妙な冒険」にハマってたんですけど、

荒木先生を尊敬してて、とにかく漫画が描きたかったんです。

受験のときもここのマンガ学科が第一志望でキャラデは第二志望だったんですけど、

二つの学科で合格が出たんですよ。

その時大学から届いた通知には「隣の芝は青く見えるのでしっかり考えましょう」みたいなことが書いてあったんですね。

それを読んで「じゃあ、本当に私はマンガが描きたいのか」って考えた時に、

荒木先生が「漫画は総合芸術だ」っていうことを言ってらっしゃって、

それがすごい憧れだったっていうか、

一つの作品を作るのに全部のことをしなきゃいけないじゃないですか。

で、キャラデはどうかって考えた時に、学べる領域がたくさんあって、

これを組み合わせたら自分がやりたい総合芸術が何か出来るんじゃないかと思って、ここに決めました。

 

村上

キャラデで漫画を描こうとは思わなかったの?

 

奥田

それはですね、1年生のときに「ゲーム制作基礎」をとってたじゃないですか。

あの時に、本当にたまたまだと思うんですけど、村上先生が「ゲームは総合芸術だ」って言ってて、

その作業工程も含めて自分がやりたいことと一致したので。

 

村上

ちなみに、総合芸術じゃなくて、究極の総合芸術ね。

 

奥田

あー、そうでした。そんな風に言ってましたね(笑)

 

村上

情報をインプットするだけじゃなくて、操作することで「人と機械」「人と人」の相互関係が生まれたり

「体験」をデザインできるから究極の総合芸術って言い方をしてる。

イカすだろ(微笑)

 

奥田

はい、そこでズキューンってきました(笑)

 

村上

…にしても、漫画からゲームって、物凄い変化じゃない?

 

奥田

そうですかぁ?

 

村上

総合芸術であれば何でも良かったってこと?

 

奥田

いや、なんか色んなことに触れてみたかったっていうか、

性格的に一本に絞るのが向いてないなって思ったんですよ。

 

村上

貧乏性なのかな。目の前に出されたものは勿体ないから全部喰うみたいな。

 

奥田

そうかも知れないですね。一つのことだけだとどうしても途中で飽きちゃうんですよね。

 

村上

自分も超飽き性だからよく分かるな。常に違うことをやってないと耐えられない。

ゲームの開発をしてた頃も、基本トラブル続きだから飽きない(笑)。

しんどすぎて毎回「今回が最後。これで退職しよう」って思い続けて、

打ち上げの席では「次何作ろっか!?」なんて盛り上がってる。

今思えば完全に中毒だったね。

 

奥田

そう、それです。毎回課題やってても辛いと思うこともあるんですけど、

いつの間にか絵を描いてたり、新しい企画を考えてたり、そんなことばっかりですね。

 

村上

それはどういう思考なの?

 

奥田

ただ描きたいって思って描いてます。頭の方が先に動いてはいるんですけど。

 

村上

「何を描くか」ではなくて、ペンを握ってから「さあ何をしよう」ってこと?

 

奥田

そうです。衝動的に絵を描きたいって思ってから題材を決めますね。

 

村上

自分もそのタイプなんだけど、いざペンタブに向かって「描くぞ」ってなって、

集中して気持ちを高めて、ペンを走らせようとした瞬間にメールとかLINEとか。

結局返信を書いてるうちにどんどんメールが溜まってきて、あわわわわわみたいな。

 

奥田

まさしく去年がそんな感じで、今年もかなりヤバかったんですけど、

去年はゲームだけじゃなくてアニメーションとCGの授業もとってたので、

常に一定のペースで大きな課題が押し寄せてくるっていう。

 

村上

随分ヘビーな授業で固めたね。

 

奥田

そうですね、とれるうちにたくさん取っておこうと思ってましたね。

今年はCGとアニメはとってない分、ビジュアルに特化しようと思っていて、

「デザインソン」とか「動画ソフト演習」「背景美術」とかとってますね。

 

村上

中でも一番ヘビーな授業は?

 

奥田

ヘハインホンれす(笑)

 

村上

かなり言葉を濁してきたね(笑)

 

奥田

別にしんどいっていう意味ではなくて、デザインって正解がないじゃないですか。

絵の場合だったら自分の中で「ここで完成」って区切りがつけられるんですけど、

デザインって、考えれば考えるほど悩んでしまってずーっと修正し続けて終わりが見えてこないので。

あと、単にillustratorに自分が慣れてないだけっていうのもあるんですけど。

私の場合、アウトプットに行くまでに結構時間がかかるんです。

まず頭の中でアイデアを練って、スケッチブックに何枚も案を描いて、

それが納得いくまで形にしないみたいなところがあって、締め切り直前にわーってなるんです。

 

村上

企画をしっかり詰めるのは良いことなんだけどね。

ところで、ゲームゼミに入った理由は?

 

奥田

まあ、ゲームを作りたいっていうのが大きいですね。

総合芸術っていうのはあくまでスタートだったっていうか、

それ以降はあまり意識してはいないんですけど、

自分に何ができるとか、何がやりたいかをちゃんと探したかったっていうか。

 

村上

今年の2月には、まだゼミも決まる前から卒業制作展でのゲームゼミの展示を手伝ったりしてたもんね。

全日程朝から晩までずっと手伝ってくれてたけど、あれはどうして?

 

奥田

友達に誘われたっていうのもあるんですけど、しかも前日の深夜2時に。

 

村上

それで出てくるのがまず凄いよな。

 

奥田

最初は面倒臭いなって思ったんですけど、

設営初日に「カナンの塔」というゲームの展示のお手伝いに行った瞬間に

先輩の作品を見て「すげー!!」ってなって、思い切り頭を殴られたような気になりました。

先生もよく言ってますけど、やっぱり身近な存在の重要性っていうのを思い知って。

それまでは4年生と話す機会がなかったんですよね。

だから初めて会う人でしたけど、

ゲームゼミの先輩でこんな自分の手に負えなさそうな凄いものを作ってて本当にびっくりしました。

 

村上

あの子らは他の後輩からも「レジェンド」って呼ばれてた人たちだからね。

で、また絵の方の話に戻したいんだけど、今年のゲームゼミ2年生のメンバーって、

企画もできるし絵も描ける濃いメンバーが揃ってるよね。

 

奥田

そうですね、確かに濃い面々ですよね。

 

村上

奥田自身も同じく企画もデザインもできるけど、ゼミの中での奥田の立ち位置というか、

この先どうしていきたいっていうビジョンはあるの?

 

奥田

立ち位置についてはずっと悩んでるんですけど、本当に周りのメンバーが凄すぎて、

置いていかれないように精一杯突っ走ってるって感じなんですよ。

でもやっぱり絵が描けるプランナーという立ち位置を目指してますね。

 

村上

さっき奥田が言った「周りのメンバーが凄すぎる」っていうのは、実は他のメンバーも同じことを言っていて。

で、これは今になって思えば申し訳ない話なんだけど、

ゼミの初回授業で「キミらは関西でも高い人気を誇る学科の、その中の人気ゼミに選ばれて入ってきた。

先輩たちの努力によってこのゼミもこんなに大きくなったから、皆もがんばろぉー!」っていって

ハッパをかけたつもりだったんだけど、

それが思いのほか皆に大きなプレッシャーを与えてしまってたみたいで…。

 

奥田

はいはいはい、そうですそうです(笑)確かに初日から怖かったですね、あれ(笑)

 

村上

でも今回はゼミの話がしたいわけではなくて、ゲームにおけるキャラクターデザインという題目で、

今ゲーム会社のHappy Elementsさんとやっている授業「ゲーム制作特殊演習」の中での

イラストレーション制作について触れてみようかなと。

 

奥田

はい、わかりました。

 

村上

これは去年から開講された授業で、

去年はチームを4つ作って、そこでゲームプランニングから企画書を完成させるところまでをやったんだけど、

プランニングの要素が入ると評価基準もバラバラになって判定しにくいということもあって、

今年の授業では各自単独の作業として、決められたゲームプロットをもとにオリジナルのキャラクターをデザインしたり、

コンセプトアートを描いたり、最終的にはそれを設定集として人様に見せられるレベルの冊子を作る、という内容に変えた。

 

奥田

内容としては、前期は先生が考えたゲームの企画書をもとに、

その舞台となる世界観を紹介するためのコンセプトアートやキャラクターデザインをして、

後期になると、それを活かしてUIデザインを含めてゲーム画面を作り込んだり、

設定集を作ったり、でいいんですよね。

 

村上

そうそう。大きく分けると前期はイラスト、後期はグラフィックデザインという流れになるかな。

で、実際に前期受講してみてどうだった?

 

奥田

自分の作品に対してはまだ納得がいってないんです。

受講者全員が選抜されたメンバーというだけあって、先輩方の考え方とか絵のクォリティが桁違いに高くて、

それに触発されて頑張ろう!てなった感はあるんですが、

どれだけやってもプロのレベルっていうのは全然違うんだなって実感しましたね。

 

村上

どの辺にプロとの違いを感じた?

 

奥田

思考のレベルですかね。描きたかったものを描いてしまう癖とか、

テーマにこじつけて何とか自分の描きたいものに近づけていくことが多かったですけど、

Happy Elementsさんの説明を聞いていたら、「この色はこんなイメージを与えるから」とか、

ちょっとした構図とか、それこそこの会社のキャラクターは特に顔が売りになってくるので、

表情をちゃんと見せるための構図作りをしているとか、常に私たちの一歩先を考えてるんだなって感じました。

私たちは「絵を描く」っていうところまでしか考えてなかったんですけど、

絵を描いてそれを売っていくところまでプロの人はちゃんと考えてるんだなって感じました。

私の考えが浅かったなと(笑)

 

村上

2年生の段階でそこに気付けたのは大きいと思うよ。

 

奥田

今年は2回生が多いですね。だいたい半分くらいですかね。どうやって受講者エントリーの審査したんですか?

 

村上

ガイダンスの時に「これは3年生が中心になる授業ですよ」と詠っていながらも、

履修エントリーの際のポートフォリオを全員分並べて審査した時に、圧倒的に2年生の画力が高かった。

Happy Elementsさんの会議室で全員分の画像を表示して、結構時間をかけて一人ひとり審査したよ。

これまでの授業の履修状況とか出席率とか授業態度とか(笑)

ここで選ばれた君はエースってわけで。

 

奥田

おぉー!(笑)

 

村上

この授業の扱いとして、学科の憧れの授業にしたかったんだよね。

だから「聴講したい」って希望も結構聞くんだけど、それも受け付けない。

選ばれた人しか入れませんっていう。

じゃあ、ここから授業の具体的な内容について触れていこうかな。

 

 

 

Part 2に続く

 

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