キャラクターデザインコース

ゼミ通ヒーローズvol.18 小林鈴果と「脱出ゲーム」について語るの巻 Part1

ゼミ通

ゼミ通ヒーローズ Vol.18

 

今回のゼミ通ヒーローズは、村上ゼミ2年生の小林鈴果さん(京都芸術高等学校出身)をピックアップします。

 

001

脱出ゲームの謎解きの仕掛けを調整する小林さん

 

村上

恒例の質問からなんだけど、小林はそもそもなんでこの大学に来たの?

 

小林

実は私、キャラデのオープンキャンパスに来たことないんですよ。

元々周りの友達に連れられてアートプロデュース学科を見に行っただけで、

他はどこにも寄らずにそのまま帰りました。

なんかアートプロデュースの先生の話がめちゃ面白かったんですよ。

 

村上

学科長の伊達先生ね。あの人面白いよね。

 

小林

そう、その方です。

作品を観て、それがどういう風に見えているのかとか、

私もそういう話が好きだし、とにかく先生の話が面白くて引き込まれちゃって、

そこで初めて大学って楽しいなぁーって思ったのが切っ掛けです。

 

村上

キャラデの話が出てこないけど…。

 

小林

アートプロデュース学科が面白すぎて目に入らなかったです(笑)。

 

村上

すぐ隣であれだけ派手に装飾をして大勢で賑わってたのに、

目に入らないってことはそもそも興味がなかったってことなのかな。

 

小林

はい(笑)。最初は全く興味なかったです。

高校生の時はあまり進路を真剣に考えてなくて、

周りの子がみんな京都造形受けるって言って、

キャラデを受ける子も何人かいたから、じゃあ私もーみたいな感じでした。

 

村上

アートプロデュース学科は受けなかったの?

 

小林

漠然としてましたけど、実際にやるなら制作の方をしたかったんで。

高校では絵とかデザインを学んでたし、その流れでキャラデにしました。

本当に深く考えてなかったですね。

 

村上

一年の時の「ゲーム制作基礎」の授業に小林がエントリーしてて、

ちょっと意外な感じがしたのを覚えてる。

ゲームに興味がなさそうに見えたから。

ゲームが作りたいんじゃなくて美少女キャラを描きたい人なのかなと思ってた。

 

小林

一年の時も特にやりたいことが見つからなくて、なんかフワフワしてましたね。

 

村上

それでもグループワークになるとチームをまとめたりして、しっかりやってたから、

ゲームゼミに来てくれたら嬉しいなぁとは思ってたんだけどね。

で、その時は授業の課題でアナログゲームを作ってたけど、

実際にやってみてどうだった?

 

小林

楽しくなかったです(笑)。

私本当にグループワークが苦手なんですよ。

人と話すのがダメだし、もうどうしたらいいか分からなくて…。

 

村上

たまに「あ、無理してるな」って思う時はあるけどね。

そこまで苦手とは思わなかったな。

ゲームゼミはチームワークが大事と詠っていたにもかかわらず、

そこへ来たのはどうして?

 

小林

なんか面接みたいですね。

その時はアニメとかCGにも興味がなくて、

最初はプロデュースゼミを考えてたんですよ。

アートプロデュースが本当に面白かったんで。

でも色々考えてやっぱり「何か作りたいやん!(笑)」てなってゲームにしました。

 

村上

何か作りたいやん!ていうか消去法やん(笑)。

で、デジタルゲームを作りたかったの?

 

小林

いや、私はアナログゲームの方が好きですね。

 

村上

なるほど。ではその流れで、今回はその究極のアナログゲームともいえる

「脱出ゲーム」を作ったので、その話をしていこうかなと。

ちなみに、授業で脱出ゲームを作ってるって言ったらゲーム開発会社の人とか

他の教育機関の関係者がみんな「すごくいいですね」って言ってくる。

教育として得られるものが大きいからぜひ自分たちもやりたいんだけど、

作り方が分からないし、そもそもチームを束ねることができないって(笑)。

 

小林

いやホント難しいですよね。

でも皆が頑張ったお陰で、すごく面白いものが出来たと自負してます。

だって、めっちゃ良くないですか?完成度が高すぎて私は感動してますよ。

今日はそこを詳しく話せば良いんですよね。

話しながら感極まって泣いちゃうかもしれませんよ(笑)。

 

村上

じゃあ今年の脱出ゲームの内容を紹介してくれる?

 

小林

はい、YouTuberと一緒に曰く付きのアパートに潜入するっていう設定なんですけど、

その部屋には秘密の実験場がありました。

そして謎の少女の霊がアパートにとりついていて…

というストーリー設定になってます。

 

村上

YouTuberとカメラマンの仕掛け人コンビと一緒に

プレイヤーが部屋に閉じ込められるのね。

 

小林

ゲームの特色としては、

最後に脱出するときの分岐が大きかったかなって思ってます。

今回は最初に謎解きをする部屋と、

その地下室という二つのシチュエーションが登場します。

終盤で地下室から元の部屋に戻るんですけど、

YouTuberだけ地下に取り残されてしまいます。

それに気づいた時にはもう制限時間ギリギリの状態。

で、YouTuberを助けるために地下室の扉を開けるか、

それとも見捨ててカメラマンと共に出口の扉を開けて脱出するかっていう分岐があります。

 

村上

このゲームの「体感するからこそ味わえる面白さ」って何だろう?

 

小林

その場の緊迫感ですよね。

映画とかデジタルゲームと違って、知らない人同士で対話をするとか、

仕掛けに触れて実際に動かすとか、自分自身が肌で感じられる臨場感とか

緊迫感があるじゃないですか。なんせ60分経ったら殺されますからね(笑)。

その作り込まれた空間にいるだけで

「やべー、殺されるー!」っていう気持ちも高まると思いますし。

 

村上

よく授業の中で映画とゲームを比較して話す事があったね。

映画の中で登場人物が殴られたら「痛そう」ってなるけど、

ゲームの場合は自キャラが殴られたら「痛い!」って言うよね。

その没入感の違いが映画とゲームの差だと。

それでも結局はデジタルゲームの場合は殴られてるキャラは

モニターの向こう側に存在するわけで。

これに対して脱出ゲームの場合は本当に自分自身が体感するから、

お化け屋敷の感覚に近いのかもしれないね。

特に今回はホラーストーリーだったし。

一階の防音の部屋でゲームをやってるのに

3階まで悲鳴が聞こえてきたっていうのは凄いことだよね。

あのお客さんのボルテージの上がり方を見てると、

本当に苦労して作って良かったなって思う。

 

小林

ほんっとそうですよ。

今回はこのゲームを作るアイデア会議のときに、

ホラーゲームの形になる前段階で色々案が出てたんですよ。

一番人気があったのは流行のタイムリープもの。

あとは火葬場を舞台にして棺桶の中に閉じ込められた状態で

焼かれる前に脱出するとか。

あと監獄に閉じ込められた囚人が別々の監獄にいながら

情報共有とか協力し合いながら脱獄するものとか。

そんな中で私が出した「訳アリ物件から訳あって脱出」っていう言葉が

人気があって、結局それに決まったんですよね。

 

村上

内容が決まる前に「訳アリ物件」っていう響きが魅力的だからこれで決まり!

てなって、そこから具体的な話が始まったね。

脱出ゲームで有名なスクラップさんのコメントにもあったんだけど、

「面白いゲーム」を作るんじゃなくて「面白そうなゲーム」を作ることを目指すっていう話が印象的だった。

脱出ゲームって予告編が作れない、ていうか作りようがないから、

とにかく体験してもらわなきゃ伝わらない。

となるとタイトルのキャッチーさとポスターの魅力でPRするしかなくて。

 

小林

ゲームの性質上、内容は一切極秘にしないといけないから、

広告媒体のインパクト勝負しかないですもんね。

 

村上

そう考えると、外側を先に作って、

そこから中を作り込むという方法で良かったんだと思う。

で、後期の授業全部を使ってゲームを作ったわけだけど、

それでもやっぱりスケジュール的には一杯一杯だったね。

 

002

脱出ゲームのポスター

 

小林

始まる時は後期全部使って制作すると聞いて、正直「長い」と思ったんですよ。

でも全然話はまとまらないし、いつになっても全貌が見えてこなくて…。

ゼミ生が17人もいるので、どうしてもまとまらないんですよね。

よく話す人と完全に聞く側に回る人に分かれてしまって。

 

村上

その様子を見ててだんだんこっちもイライラしてきて(笑)、

進め方をあれこれ梃入れしたけど、案の定スケジュールはギリギリで。

でも発言しにくい空気を作ったのはゼミ担当教員の責任だし、

プレッシャーを与えすぎたかなって少し反省してる。

 

小林

まぁまぁまぁ。次に活かせば良いんですよ。

 

村上

否定しないんか(笑)。

でもまあ、そんなこんなでゲームは完成はしたので、

ちょっと中身の話をしていこうか。

 

Part2に続く

 

 

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