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2020年3月3日  学生紹介

ゼミ通ヒーローズvol.19「田邉正太と発想法について語るの巻」part2

ゼミ通

 

ゼミ通ヒーローズ Vol.19

 田邉正太と「発想法」について語るの巻 Part2

 

 

村上

今も新作のゲームを作ってるけど、それはどんな構成なの?

 

田邉

今回はプランナーが二人いて、僕がプログラマーとして関わってますね。このプランナー二人で結構会話が弾んで企画がどんどん決まっていくんですけど、盛り上がり過ぎてストップがかからないんですよ。なので僕はストッパーとして存在してるって感じです。

 

村上

広げたアイデアに対して、「つまりどうしたいの?」って現実に引き戻す役になってるってことね。ストッパーというか、プログラマーだからそれを具体的なシステムに落とし込んでいかなきゃいけないし。

 

田邉

そうですね。実際にコントローラーを操作したときに「こっちの方が面白くなるよ」とか「これは不必要だ」とか、そういう具体的なことを言ってますね。

 

村上

プランナー二人のうち一人は文系人間で、シナリオや設定に拘るけど、もう一人はデザイナー視点で考えるから、UIデザインも含めて、ビジュアル中心にゲームの進行を考える傾向があるのかな。

 

田邉

ですね。実際に仕様を組み込む立場からすると、何でもかんでもゲージやUIに頼って目で見た情報をもとにゲームを進めるんじゃなくて、操作を通して気持ち良さを感じてもらえる方が面白いんじゃないかって思ってしまうので、面白いかどうかを客観的に判断して意見するようにしてます。システムとはいえゲームですからね。

 

村上

普段ゲームを作ってるときに気にしてることとか工夫してることって何?

 

田邉

普段アクションゲームをあえて作らないようにしてきたんですね。正直言っちゃうと、キャラを動かすとそれだけでも十分に面白んですよ。だからそこで面白さを勝負するんじゃなくて、例えばRPGのダメージ計算とか思考とか、そういう内部処理の仕掛けで面白さを追求していきたいですね。

企画というと、とりあえず最初は「横スクロールアクション」からアイデア会議が始まることが多いんですよ。

 

村上

多分、UNITYの授業でそこからスタートするから、慣れてることをしたくなるんじゃないかな。

 

田邉

何かもっと別の楽しみを生み出していきたいですね。例えば戦略を立ててプレイヤーに考えてもらうとか。ただ反射的にAボタンを押すとかじゃなくて。

 

村上

なるほど。田邉のいう「楽しい戦略」とは。

 

田邉

僕は昔から将棋とかチェスが好きだったんですけど、あれは思考で相手を上回ったっていう感じが好きだったんですね。

将棋の場合は情報が全てその場に見えてる状態で戦うので、相手の行動もある程度読めてくるんですけど、その予想が当たる時と外れる時の差を楽しみたいっていうか。

相手が自分の思い通りの動きをしてくれるのが面白いんですけど、たまに予想外の展開になったときに次の動きを考えるのが楽しいですよね。

 

村上

ゲームの中には予定調和の気持ち良さっていうのもあるんだけど、「多分こうなるぞ。ほら当たった!」という予定調和と「まさか!」という意外性のバランスが大事なのね。「まさか」が続くと遊んでる立場からするとしんどくなる。だから予定調和で進めておきつつ、途中で「あれっ!?」と思わせるような仕掛けを加えると急に面白くなる。「まさか」にも二種類あって、「え?」と「あれ?」に分かれるよね。「え?」は初めて遭遇する出来事なのに対して、「あれ?」は予想が外れたとき。ゲームの序盤に長いチュートリアルを見せられると「え?」が続くから個人的にゲームのモチベーションが全然上がらなくなる。その驚きの配分を感情曲線っていうけど、そこをどうデザインするかが重要だね。これは自論なんだけども、この考えに関して田邉なりの哲学があったら聞かせてほしいな。

 

田邉

えー、難しいっすね!

 

村上

だってわざと難しい質問してるもん。ちゃんと答えろよ(笑)。

 

田邉

はいー…わかりました。じゃ夏に作った「アリクイ―ター」を例に話しますね。

 

 

04

↑学科展用に制作したアナログゲーム「アリクイ―ター」。

 

 

田邉

まずこれは、将棋みたいに敵味方交互にコマを動かす対戦型のアナログゲームです。

将棋と違うところは、一度歩いた場所はもう踏めなくなるっていう所です。足場が崩れていくっていうか。要はアリクイの主人公がアリを食いながら進んでいくっていうイメージなんです。そうなると何が起こるかっていうと、自分だけじゃなくて相手の行動範囲も狭めていくっていう陣取りゲームみたいな楽しみ方も生まれてきます。で、踏んだブロックは回収できるんですけど、これを自分のポイントに出来て、このポイントを消費してゲームを有利に運ぶためのスキルを発動させるという展開になります。スキルにも色んな種類があって、それを使いこなして敵を追い込んでいくっていうゲームです。

 

村上

そこでの戦略性として、何を面白くしようと思った?

 

田邉

これって、ルール作りのアイデアがどれだけ良くても、ゲームバランスが悪いとそれだけで全然面白くないんですよ。それを単純に面白くしようと思ってレベルデザインをしたんです。

 

村上

ここでいう「面白いレベルデザイン」とは?

 

田邉

最初にダイスを使って行動するんですけど、そこはサイコロの出目っていう運が関わってくるわけですよね。そこでこのゲーム用に6面ダイスを作りました。24面で、残り2面が13になってるんです。要するに、基本的には2が出るようになってるんです。そこはゲームバランスを考えて意図的にそういう構造にしていて、基本は2と予想させて動くんですけど、そこに予想外の展開が起こることで面白い波を演出してみようとしてレベルデザインを検証しました。

で、今度は序盤に動くか終盤に動くかが重要な駆け引きになってくるんです。最初にポイントを貯めて最後に一気に畳みかけるか、序盤にポイントを使って相手の行動を妨害しておくかっていう。最初に妨害しておくと相手もそれを回避しようとしてポイントを小出しにしていくので、後から大きな妨害を仕掛けられる確率が減ります。そういう大きく二つの戦略があって、それを考えるのが楽しいゲームになってます。

 

村上

ポイントをため込んで最後に畳みかけようとしても、下手をすると道を塞がれて、たまったポイントを使う間もなく動きを封じ込まれて負けることもあるよね。

 

田邉

そうなんです。だからプレイヤーにとってちょうどいいバランスを考えてポイントを使っていかなきゃダメなんです。

ポイントを貯めれば貯めるほど強いスキルを使うことが出来るんですけど、一番強いスキルに「相手と立ち位置を入れ替える」っていうのがあって、これがかなり効いてくるんです。徐々に追い込んでいくより、予め自分の周りに罠を張っておいて、最後に立ち位置を入れ替えて相手をどうしようもない状況に追い込むっていうのが最高に気持ちが良いんです。

 

村上

それは元々の仕様にあったの?

 

田邉

一応あったんですけど、このゲームは調整に調整を重ねて、結果として企画当初の原型をとどめていないものになりました。面白いんで結果的にはそれで全然良いんですけど。

今回は明確にゲームのルールを決める前に、木製のブロックだけを最初に買っておいて、ゼミの皆にテストプレイをしてもらったんです。そしたらそのブロックを触っているだけで色んなゲームが生まれました。皆の意見をもらって更に調整を加えて、その場が湧く状況を作れるまで作り込みましたね。

 

村上

そうやってゲームの研究を重ねてきたわけだけど、要は人の誘導の仕方を追求してきたってことなんだろうね。

 

田邉

そういうことですね。

 

村上

さっき話していた「ちょうどいい面白さ」って何?

 

田邉

自分の思い通りに行き過ぎないってところですかね。どれくらいの引っ掛かりがあったら前に進む面白さにつながるかってことです。これも「アリクイ―ター」の話になりますけど、動いた後で〇×ゲームみたいに、最終的には3マス並べて自分の色を置くと勝ちになるんです、縦横でも斜めでもどっちでもOKです。

その時、2つまでは割と簡単に置くことができるんですけど、3つ目を置こうとすると大抵敵が介入してきてうまくいかない、という状況になるようにバランスをとっています。

ここはかなり研究をして、ギリギリの面白さみたいなものを作り込みましたね。

 

村上

また話は戻るけど、こういうこともさっき言ってたみたいに公園で考え事をして出てきた発想なの?

 

田邉

そうなんですけど、それ以前にこれまでたくさんのゲームで遊んで来たんで、その蓄積から生まれたっていう感じじゃないですかね。どんな生活をしてどんな育ち方をしてきたかっていうのも大きいと思うんですけど、自分の場合、昔友人関係で色々問題があって、その時点で全てのことは自分の思い通りにはいかないっていうことを学びました。でも、そのときにケンカをするとかぶつかり合うことが凄く楽しいと感じてきたんですよ。で、言い過ぎてもダメだし引きすぎてもダメだし、そういう距離感のバランス感覚を自然に学んでいくもんだと思うんですよね。要するに何が言いたいかというと、バランスをとることって、人生もゲームも同じなんじゃないかって思うんです。絶妙なバランスを人生の中で習得してきたからこそ、ゲームのレベルデザインができるようになってきたんじゃないですかね。

 

村上

習得したからというか、習得したことに気付いたってことなんだろうね。

何らかの問題が起きてそれを乗り越えるなんてことは誰もがやってきてるわけで。そこで得た面白いっていう感覚を誰かに伝えたいと思う人がゲームクリエーターに向いてるんじゃないかな。まあ、ゲームクリエーターに限らずアーティストと呼ばれる人全般に言えるけど。

ストレートに物事を伝えるんじゃなくて、何らかのシステムとか世界観に置き換えて表現すると、それは恋愛ものかもしれないしホラーかもしれないし、そこは人に寄るんだろうけど、結果として表現物になるんだと思う。

 

田邉

ただゲームバランスは考え事だけでできるものじゃないですね。実際に手を動かしてテストを重ねないと絶対に分からないと思います。こんなバランスでこんな気持ちになってくれたら面白いだろうな~という程度のことは空想でもできますけど、微調整までは考えられないし。

 

 

05

 

田邉

ところで先生は僕に発想力があると思います?

 

村上

ないとは言わない。発想だけでは実力の程が見えてこないけど、最近になってようやく実行力が伴ってきて、それでやっと納得できたって感じかな。

今までは誰かが取っ掛かりを作って、それに対して上乗せする形でアイデアを出すのは得意なのかな、とは思ってたけど、ゼロベースで何かを考えるとなったら正直まだ弱いかな。

 

田邉

ほんまに仰る通りでございます(笑)。

 

村上

田邉はそこができるようになったらかなり強くなると思うね。

だって「アリクイ―ター」も杉本(同じチームのプランナー)がネタを投げて、それを田邉がブラッシュアップしてたわけだしね。

 

田邉

発想法の鍛え方って、結局は経験でしかないですよね。人と話すとか。

以前のゼミ通で北園のゲーム企画の話が出てましたけど、あれは「観察」。でも観察という名の「経験」だから、やっぱり観て聴いて体感することの積み重ねで情報を蓄積して、そこから取捨選択をするセンスが発想力ってことになるんだと思うんですよね。ただ机に向かって考えたって無駄っていうか。

よく「神が降りてくる」って言い方しますけど、僕あれ嫌いなんですよ。あったとしても結局は経験と情報の蓄積だから、普段考えてること以上のアイデアが降ってくることってないと思うんですよね。

 

村上

「センスの磨き方を教えて下さい」みたいな質問をよく受けるんだけど、「よく観なさい」としか言わない。時間と労力を使って色んな所に行って色んな人と話す以外に磨きようがないからね。田邉の場合、公園で考え事をする時間が長いとはいえ、結局その発想を膨らませたり人とのコミュニケーションが化学反応を起こして面白いアイデアに変わっていくことを理解してるから、これからもその調子で頑張っていけばいいと思うよ。

 

田邉

はあ…頑張ります。

 

村上

ではこれから卒業制作もあって大変だけど、これまでの情報収集の蓄積を活かして面白いものを作っていって下さい。

 

田邉

はい、ありがとうございました。

 

 

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