写真・映像コース

【現代美術/写真】不都合な真実。

 

不都合な真実

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3回生・前期のコース授業が、先週終わりました。

 

 

コースでの授業がない=書くネタ(!)が減る=夏休み明けまで、ブログの更新が途絶える…

という、現実的に(というか、私に)ありがちな展開は避けたい!!!

 

 

ということで、1回生のときの授業ノートをペラペラとめくってみました。

見返すのにも時間がかかるノートがある訳だし、この夏は、現代美術/写真コース・1期生の授業を振り返りだー!

…と、勝手に盛り上がろうと思ってたのですが、今回はある日の美術工芸学科全体での授業の振り返り。

現代美術/写真コース・1期生括りでの振り返り企画を立ち上げて、しょっぱなから番外編。

変化球ということで、ひとつお願いします。

 

 

 

さて、約2年前の美術工芸の授業。

 

竹内万里子先生と共に、「不都合な真実」(2006)というドキュメンタリー映画を観ました。

主演は、米国の第45代副大統領であるアル・ゴア。地球温暖化問題に取り組んでいた彼の講演の様子、生い立ちなどから構成された作品で、環境保護の重要性を訴えています。

当時、これが環境問題の啓発に貢献したと認められ、アル・ゴアのノーベル平和賞の授与も決まりました。それほど、環境問題の分野において、大きな影響を与えたようです。

 

しかし一方で、この映画は重要な問題を抱えています。

それは、環境問題についての事実誤認、データの誇大化。

これにより、映画内容が「センセーショナリズム(人の興味・関心を集めることだけを目的とするやり方)に走っているのではないか」、という批判も集められています。

 

隠されている「真実」をひとつずつ解いていってたけど、実は事実と違ってました~!ってベタなオチだなぁ…と、私はまず単純に思ってしまったんですが、それはおいといて。

 

 

この問題に直面してしまうと、私たちが得る「真実」は、果たして本当に「真実」なのか疑わしくなります。

よく街中やメディアでも、「これが真実!」「真の○○!」といって、多くの真実(と言われているもの)が映し出されています。

いや、その真実じゃないバージョン知らないし。そもそも、真実じゃないバージョンなんてあるのか。

 

世に出てるもの全てがそうかは分かりませんが、他者に渡るという時点で、多少なりともセンセーショナリズムに傾いている要素はあると思います。

それがちょうど良い加減の場合もあるけれど、それがメインになっていて、中身カラッポっていう場合がなきにしもあらず。

だからこそ、「確かだ」と言われているものでも疑う。疑うといったら聞こえが悪いかもしれませんが、疑いから好奇心が広がるときもある。

 

この授業内でも、「問題は無知ではなく、「知っている」という思い込み」だと学びましたが、とても腑に落ちる言葉でした。

やっぱり馬鹿だと思われたくないからさ、「真実」と思われたことは理解しなきゃと思うし、何でも「ハイっ、知ってます!!」って言いたいじゃん。でも、知らないじゃん。バレてますよ、それ。

知らないことには素直に「知らない!」、疑いがあるときは「怪しい!」と思って、自分でコツコツ調べて身体に染み付けていくことが大事…と、しみじみ思います。

それが徐々に知識として積み重なっていくのかな、と先生方を見て思えるのが、学生として救いになっています。

 

 

話を映画に戻しますと、「不都合な真実」自体、訴えていることに関しては妥当であると個人的には思います。

やはり地球=生きている場所ですから、自分が出来る限りのことをして保護をしたいし、すべきだと思うのは、多くの人の願いであると思います。

 

しかし、事実と「真実」が混同するのは、問題と関わる上で大きな隔たりを生みかねない。

疑問・誤解を充分に理解した上で、事実との裏付けを取らなければ、現実の問題と向き合っていくのは難しいものです。

 

そして、映画や身の回りで語られている「真実」。

これは必ずしも正しい存在ではなく、その物事のひとつの側面でしかないのではないだろうか。

そんなことも頭に入れながら、問題を知っていく姿勢も必要なのかもしれない、と思います。

 

 

毎日知ることが多過ぎて、自分の無知さと「知らない」ことが絶望的に思えてしまうときもあります。しかも、得たものがずっと「真実」や「事実」であり続ける訳でもないという、綱渡り状態。

そんなことがありながらも、「知ることが、探ることがまだある!」という終わりのなさは、ある種の希望みたいなものかなと思います。

希望ってね、何かキラキラした表現ですけれども!私の今の語彙力では、これしか当てはまりません!

 

 

「不都合な真実」、興味のある方はぜひ。

「疑い」から観始めるにはおしい作品なので、とりあえず、観てみてください。

 

 

 

美術工芸学科/現代美術コース 3回生 唐鎌なつみ

 

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