- 2021年7月28日
- 日常風景
プロフェッショナルに学ぶ【学生ブログライターによる執筆】
こんにちは、文芸表現学科です!
文芸表現学科では、毎週金曜の5限目に「プロフェッショナル特講」という授業が行われています。
文芸表現学科の授業を担当してくださる多彩な先生がたから、ご自身のキャリアや専門的な知識などをダイジェスト的に教えて頂き、その学びを創作に活かすことはもちろん自らの将来を見つめる材料にするという教科です。
今回はプロフェッショナル特講、通称「プロ特」の様子をお届けします。
7月2日に行われた大迫 力(おおさこ・ちから)先生によるプロ特の講義テーマは「web・SNS時代の編集者の仕事」。
授業は、私たちに「編集者になりたい人はいますか?」と質問を投げかけ、挙手した生徒に話を聞くところから始まりました。
校閲に興味がある人、書かれた文章の間違いを正す校正という仕事をやりたいと考えている人。
さまざまな人が挙手をしていく中、大迫先生は一人一人の「やりたい」に丁寧に回答してくださいます。
というのも、大迫先生は大阪・中之島をPRするフリーマガジン「島民」の編集に編集者として創刊当時から携わっておられた傍ら、イベントの企画をされたりwebメディアに執筆されたりと多方面で活躍されているので、編集関係のお仕事はオールマイティなのです。
▲月刊「島民」Vol.136(2021年3月1日発行)
続いて、スクリーンに映し出されるスライドには、「文章を書く側としてどのようにSNSなどのコンテンツを活用すべきか?」。
徐々に考えが深まっていきます。
今や、マルチコンテンツの時代。冊子やイベントなどのオフラインコンテンツとweb記事やブログといったオンラインコンテンツ、大まかに分けて2種類存在するわけですがどちらにも長所短所が存在します。その長所と短所を理解し使い分ける事が大切だと、大迫さんは言います。
たとえば、私たちが普段スマートフォンなどで何気なく読んでいるwebメディア。速報性は強みですが、災害時など電気のない状況では閲覧できません。
だからといって、webメディアを媒体の候補から外すのではなく、特徴を踏まえた上で活用する事が編集者には求められます。
カタカタとパソコンのキーボードを叩く音、熱心にシャーペンを走らせる音が教室に響きます。
文芸表現学科の仲間は、小説家になりたい人や編集者になりたい人など目標も十人十色ですが、このプロフェッショナル特講ではジャンルの枠を飛び越えて、みんなで同じ領域について学びます。
これは、プロフェッショナル特講の大きな特徴であり、この授業の最大の楽しさだと私は思います。
それから2週間後、7月16日の講師は渡邉 琴(わたなべ ・こと)先生でした。
専門は「製本」。
執筆とはまた別の角度から、文芸を見つめるお仕事です。
3年生以上が履修できる「ビジュアルメディア論」の授業では、学生と実践的に、紙を選び、糸をかがるところから本作りを行っているそう。
完成した本は大瓜生山祭の学生作品展で展示されるとのことなので、ぜひ見てみたいですね。
▲「ビジュアルメディア論」の授業の様子は、こちらからご覧ください◎
渡邉先生が製本と出会ったのは、デザイン系の大学に通っていたころ。ブックデザインの課題ではじめて本を作られたそうです。紙一枚の平面から、工程を重ねるごとに立体になり、最終的に「本になった」感覚をおもしろく感じ、10年ほど製本の教室に通ったとおっしゃっていました。
講義中、これまで渡邉先生が製本された本たちが順番にまわされました。
どの作品も、手でひとつひとつ作られるからこその特別感や温かみが感じられます。
私が特に惹かれたのは、既に出版されている安部公房の小説「カンガルーノート」を製本し直したものです。一見して、白っぽい布に緑色の植物の絵のみが描かれているシンプルなデザインに思えます。
しかし、実はさまざまな仕掛けが。
よく見ると透明なアクリル絵具が点々と施されていて、触ってみるとぷつぷつします。タイトル部分には金属が埋め込まれていて、布よりも冷たく感じました。さらに光の当て方を変えてみると、表紙いっぱいに文字列が浮かびあがるのです。たくさんの工夫に、私だけでなく何人もの生徒が驚いていました。
普段私たちが目にする本は、多くが機械によって大量に作られたもの。もちろんそれも素敵ですが、手作業で作る本には唯一無二の魅力があります。
製本をするときに渡邉先生は、「伝えたい内容をどういう形にすれば伝えられるか」を考えるそう。
製本を通して文芸を見つめる奥深さを、今回の講義で学ぶことができました。
「プロフェッショナル特講」は、さまざまな形で文芸に携わる先生のお話が伺える貴重な機会です。
プロフェッショナルに学ぶことで、将来に活かせる知識や発見に出会えます。
(学科ブログライター 1年生・麝嶋彩夏、中島明日香)