染織テキスタイルコース

染色にできること、私がしたいこと 染テキの卒業生が活躍中!【文芸表現 学科学生によるレポート】

違うジャンルを学んでいても、芸術大学でものづくりを楽しむ気持ちは同じ。このシリーズでは、美術工芸学科の授業に文芸表現学科の学生たちが潜入し、その魅力や「つくることのおもしろさ」に触れていきます。

 

文芸表現学科・2年生の出射優希です。新しい季節、寒さで体にグッと力が入ってしまいますね。美工の方に会いにNC棟に行くたび、あの静かな建物につめ込まれた、さまざまな「たのしさ」の虜になります。新しいものごととの出会いはエネルギーがいりますが、力を抜いてみるって大事だな……と思うのです。

 

染織テキスタイルコースの卒業生、オオニシカナコさんにお話を聞かせていただきました。

染色を通して、地域に根ざした様々な活動をされるかたわら、通信教育部のスクーリングのアシスタント、毎週金曜日には染テキの技術員として大学で働かれています。

 

活躍されている先輩が学内にいるというのはなんだか心強いですね。

在校生からも慕われているオオニシさん。

現在されている活動を、いくつかご紹介していきます!

 

 

●ファンの心を掴む愛らしさ

 

「はなもとめ」はオオニシさんが在学中に立ち上げた絞り染めのブランド。

これまでは手ぬぐいを中心に販売していましたが、「hanamotome cloth」を新設し、今後は幅広く布製品を取り扱っていくとのこと。

 

↑1枚目・板締め絞り 2枚目・雪花絞り

 

大学1年生の後期に授業で出会った絞り染めが、「自分の性にあっている」と思い、それ以来絞り染め一筋。

 

根強いファンの方がいることが、現在も活動を続ける励みになっているのだといいます。

自身の好きを大切にして絞り染めの技法を用いつつ、「はなもとめ」の商品を好むターゲットに向けた柄や配色を考えてこられたそう。

ファンの方の心を掴む愛らしいデザインは、在学中から継続してきたことで生まれたものなのです。

 

●どこでもなんでもできる布

 

地道にプロダクトの製作を続けてこられたオオニシさんですが、10月より染色作家としての作品展示に挑戦!

 

京都市中京区にある「京の温所 竹屋町」と、本学の学内ベンチャーである「株式会社クロステック・マネジメント」が連携して行っている「1日1組のための展覧会」にて、オオニシさんの作品が展示中。

こちらは宿泊施設のお部屋内に作品が飾られ、ほっと心が休まる空間に。

宿泊者しか見ることができない贅沢な展覧会です。

併設のベーカリーカフェ「本日の」でも作品が展示されており、こちらはカフェ利用で観ることが可能。

 

 

——テキスタイルには何ができるか、板締めの良さを活かして、空間をどうできるかを考えました。内装が割とシックなので、色を考えるときには補色を組み合わせて、全部がそろうと暗くなるようにしたり。クッションカバーなんかはテキスタイルにしかできないことだから作らせてもらいました。布って柔らかいから、どこでも、なんでも。

 

絞り染めの繊細なにじみと布特有のまるさが活きていて、これからの寒い季節に、宿泊者の心を温める素敵なデザインですね。

 

↑幾何学模様の組み合わせで生まれるおにぎりの柄

 

板締め絞りは、折り畳んだ布を板で挟んで染めることで模様を作ります。

単純な形の板でも、組み合わせることでこんなにも表情豊かに。

 

↑板締め絞りの作業風景

プロダクトとは違った角度からの作品制作だったものの、場の良さを活かして自分には何ができるか、というアプローチは、これまでオオニシさんが取り組んでこられた「まちおこし」の感覚に近いそう。

 

●まちに住む人が好きだから

 

ひとつは京都東山区にある三年坂を中心としたプロジェクト「ひさご舎」。

ハンドマップの作成や、芸大生だからこその芸術祭などを展開。

住んでいる人でさえ普段は触れることのない京都の良さを、町内の人や観光客にも知ってもらいたいと考え、学生時代から継続して活動中。

 

 

もうひとつは、オオニシさんの出身でもある大阪府の北に位置する豊能町での活動「トヨノ部」。

卒業制作では、豊能町の方と一緒に「とよのぼり」を制作し、地域の方と関係を築いてこられました。

幼稚園の園庭で育てた藍からつくる藍染めのワークショップや、学校での絞り染め体験などを行っています。

 

↑川の上を泳ぐ「とよのぼり」

 

 

●たのしいことを分けあう

 

どのまちおこしプロジェクトでもオオニシさんのベースにある「たのしさを共有したい」という思い。

 

——ワークショップをやっていてたのしいのは、自分じゃ絶対できない発見とか、忘れてしまったことを思い出せるっていうのがあって。藍染めが青になるっていう概念すらない子どもたちのキラキラした目を見ていると、自分も嬉しくなるんです。

 

自分自身がたのしいと感じるまちの魅力を、そこに住む人と共有する。

まずは、目の前で見過ごされているものに気づくきっかけを作りたいのだと語ります。

 

●自分の声を聞く、話す

 

「自分は絵が苦手だったから、最初は芸大に来ることすら選択肢になかった」と教えてくださいました。

ものを作ることも、大学で学ぶことも、はじまりは人それぞれ。

自分のしたいことに素直に耳を傾け、それを誰かに話してみることから始まるオオニシさんの活動は、どれもたのしげです。

たのしいことを選択し続けていけば、自分の想定もしていない場所に辿り着けるのかもしれません。

そう思えば新しいことも、迷わずに飛び込んでいけそうです。

 

 

▶オオニシカナコさんのブランド

「はなもとめ」「hanamotome cloth」

https://hanamotome.wixsite.com/official

 

▶京の温所 竹屋町 – 京都ゆかりのアーティストによる「1日1組のための展覧会」

展覧会について(10/1〜)

京の温所 竹屋町について

 

 

取材記事の執筆者

文芸表現学科2年生

出射優希(いでい・ゆうき)

兵庫県立西宮北高校出身

 

1年生のとき、友人たちと共に、詩を立体的に触れることができる制作物にして展示した展覧会「ぼくのからだの中にはまだあのころの川が流れている」を開いた(バックス画材にて)。

自分のいる場所の外にいる人とつながるものづくりに、興味がある。また、「生きること」と直結したものとして「食べること」を捉え、それを言葉で表現している。

 

 

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