文芸表現学科

川越宗一さんトークイベントに参加して【学生ブログライターによる執筆】

こんにちは、文芸表現学科です!

 

 

学生ブロガーの工藤鈴音です。今回は11月3日文化の日に行われたトークイベントについてお伝えしたいと思います。

 

文芸表現学科では2009年より「Storyville」というイベントを主催しており、作家の方をお招きしてのトークイベントや朗読会など、大学外にもひらかれた場を作っています。今回は「第9回本屋が選ぶ時代小説大賞」「第162回直木賞」の受賞作である『熱源』の作者、川越宗一さんをお招きし、トークイベントを行いました。イベントはYouTubeでもライブ配信されました。

 

*アーカイブはこちら  https://youtu.be/-Q4cuHGwEyE

 

聞き手として、前半は文芸表現学科教員の江南亜美子先生、後半からは二年生の上村さん、本名さんを交えてお話を伺っていきました。

 

 

まずは小説家になる前のお話から。サラリーマンである傍ら小説を書いていたという川越さん。最初は趣味程度に書き始めた小説。しかし、初めて賞に作品を出したことをきっかけに書くことに火が付き、小説添削講座を受講し、仕事と両立しながら執筆をされたそうです。ちなみに、この時に書いた作品はのちにデビュー作となる第25回松本清張賞受賞作『天地に燦たり』のもとにもなっているとおっしゃっていました。

会社に勤めながら執筆することについてもお話しして下さり、毎日少しずつでも書き続けることの大切さをあらためて感じました。

 

 

「162回直木賞」「第9回本屋が選ぶ時代小説大賞」を受賞された作品『熱源』は、樺太(サハリン)を舞台とし、サハリンで生まれたアイヌの青年「ヤヨマネクフ」とリトアニアで生まれたポーランドの青年「ブロニスワフ・ピウスツキ」という文明を無理やり押し付けられた経験を持つ二人の人物を中心に物語が進んでいく歴史小説です。

私も『熱源』を読ませていただきましたが、文明を強制する側であった日本人(和人)の立場からは気づくことが出来ない苦しみやアイヌならではの文化に触れることができ、とても学びになりました。

 

創作秘話として、川越さんはあまりスポットが当たらないところにスポットをあて、意外なつながりを知ることが好きだということをおっしゃっていました。『熱源』もたまたま旅行で訪れたアイヌ民族博物館で「ブロニスワフ・ピウスツキ」の像をみて、彼は誰かとのリサーチを開始し、のちに南極探検隊に加わる「ヤヨマネクフ」との関係を見出したことで、作品の構想が広がったそうです。「現在に至るまでの経緯は?」「自分は何者なんだろう?」そんな疑問を日ごろから抱いていたことも歴史小説を書くことのきっかけになっているとおっしゃっていました。アイデアはパッといきなり浮かぶものではなく、日ごろから何かに触れて、何かを思ったり、感じたり、考えたりすることの積み重ねによって、はじめてうまれるものなんだなと感じました。

 

 

後半からは実際に創作を行っている二人の学生を交えて、おもに技術面や史実を書くことについて伺っていきました。実在する人を書くということは実際に歴史小説を書かれている川越さんご自身もすごく怖いと感じているとのこと。歴史を「物語」にしてしまわないように自分でもブレーキをかけて書いていらっしゃるそうです。しかし、残っている資料の少ない人物に焦点を当て、ノンフィクション作品や研究ではなく、歴史小説というかたちにすることで、きちんと人々に焦点があたるように書くということ、嘘だからいえることもあるということを教えてくださいました。

 

 

「絶望するにはまだ早いと思える作品、もう少し生きてみようと思える作品を書きたい」

今回、お話をお聞きして、川越さんのこの言葉がとても印象に残りました。実際に『熱源』を読み終えて、私は作品の登場人物たちの懸命な姿に生きるエネルギーを分けてもらったように思います。コロナ禍で人々の命を救う医療従事者の方々が注目されていますが、ことばの力で人の心を支える人々も同じようにヒーローであるということをあらためて感じました。

 

 

 

 

(学生ブログライター 1年・工藤鈴音)

 

 

 

 

 

 

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