文化財保存修復・歴史遺産コース

芦浦観音寺跡発掘調査に参加しました!

こんにちは。歴史遺産学科2回生の末満優名です。

 

歴史遺産学科の古代遺跡研究会有志を中心に、滋賀県草津市の湖岸に近い芦浦観音寺跡(国指定史跡)の発掘調査に参加しました。発掘調査の主体は草津市教育委員会で、私たちは市からの学術支援要請で発掘補助員として調査に加わりました。学術担当は歴史遺産学科の杉本宏先生です。

 

8月中旬から2週間にわたった発掘調査の模様を、ハイライトでお伝えします。

 

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芦浦観音寺は草津市芦浦町にある天台宗のお寺。現在の寺地は15世紀初頭に造営され、安土桃山〜江戸中期にかけて、琵琶湖水運を管理する湖水奉行として権勢を誇りました。境内には重要文化財の阿弥陀堂と書院があります。「琵琶湖とその水辺景観」の構成要素として日本遺産にも認定されています。

 

このお寺の見どころは、城郭のような表門!枡形虎口のようになっています。しかもお寺の境内は、堀と土塁で囲われているんです。まるでお城!  びっくり!

 

 

そんな芦浦観音寺の西となりにある水田。ここが発掘調査地です。お寺の関係遺構の確認を目指して、広い水田の4か所に細長いトレンチを設定して発掘しました。調査風景の一部をご紹介します。

 

 

発掘する細長い区域をトレンチといいます。まずトレンチ最上層の水田の土を重機で除いた後、その下を手で丁寧に掘ってゆきます。

トレンチが掘り終わると、埋没した土層状態やトレンチで見つかった遺跡痕跡の平面を実測します。

 

発掘作業は、掘ることと記録することが同時並行で進みます。奥では地形測量、手前ではトレンチの土層状態を実測しています。

 

 

印象に残ったのは、発掘調査は掘るだけではなく、その状況を正確に記録に残すことがとても大切だということです。

写真もコントラストが強くならないように、太陽に雲がかかるタイミングを狙ってトレンチの写真を撮ったりします。

 

 

 

 

脚立から撮ったトレンチの写真。草津市の調査員の方に教えてもらいながら、私たちも写真を撮りました。

 

 

 

 

発掘調査では休憩も大事です! アイスおいしい!

 

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今回の発掘調査では、お寺に関係するものは見つからず、もっと古い弥生時代中期の土器がたくさん出土。芦浦地区では初めての発見だそうです。発掘は掘ってみないとわからない、という言葉を実感しました。

 

発掘現場というのは、全てが思い通り、計画通りにはなりません。

調査4日目には、前日の雨で調査区域全域が水没…!写真の中で、脚立がある場所がトレンチでした。

 

予想外の弥生土器の出土、トレンチの水没…さまざまなことが起こった2週間。大学を飛び出し、現場だから学べたことがたくさんありました。

貴重な機会を作ってくださった草津市歴史文化財課のみなさまに、お礼を申し上げます。

 

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トレンチを囲んで出土した弥生土器を見守る姿を見て、遺構や遺物は人に見守られて残されるのだなと思いました。発掘調査する人の背中はかっこいいですね。

 

 

 

/// 体験授業型選抜Ⅰ期 ///

 

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エントリー申し込みは9/1(木)23:59まで。

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