プロダクトデザインコース

やさしさのデザインを―
ユニバーサルデザインを学ぶ

こんにちは、プロダクトデザイン学科です。

今回は、1年生の授業の様子を紹介します。

 

ご紹介するのは「ユニバーサルデザイン演習」という授業です。

みなさんは「ユニバーサルデザイン」という言葉をきいたことがありますか?

 

ユニバーサルデザインって?

 

担当の時岡先生によると、

「ユニバーサルデザイン」とは、「できるだけ多くの人が利用できるようにデザインすること」だそうです。

 

「美しさ」と共に「使いやすさ」というのはプロダクトデザインの基本でもあります。

「使いやすいって、どういうこと?」という基本を学んで、「やさしさ」を今後のデザイン制作に活かせるようになるのが、この授業の目的なのです。

「できるだけ多くの人」といっても、私たちが通して見る世界は、自らの価値観や感覚によるもので、なかなか「自分とは違う他者」の感覚を理解することは難しいものです。

 

この日の授業では、「自分とは違う他者」、特に身体的なハンデを持つ弱者の人たちの感覚を実際に体験することで、そのお困りごとを把握しました。

 

 

 その1 車いす体験 

 

まず、こちらのグループでは、車いすの体験。

車いすにのって、学内を回ってみました。

 

ドアを押して外に出たそうにしています。

 

ドアが開いたーと思っても、車いすと一緒に外に出るのは難しく、何度も、ドアに跳ね返されてしまいます。

 

何度か跳ね返されて、ついに、ドアを押して、外に出ることができました。

 

体験した学生によると、細かいホイールの調整が必要だったらしく、「めっちゃ、難しかった。」とのこと。

 

 

 その2 妊婦さん体験 

 

こちらは、おなかに重しを入れて、妊婦さんの体験。

 

重量5.5㎏ということで、スーパーに売ってあるお米より重たい荷重をくっつけて歩きます。(実際には10kg以上の体重増と言われているので、まだ軽い方です)

まだまだ育ちざかりで、体力も有り余っている学生が短時間だけの装着だったので、「それほどしんどくなかった。」とは言っていたものの、しゃがみにくかったり、階段を下りるときに足元が見えずに降りづらかったりしたようでした。

また、男子学生からは、将来の奥さんの大変さが分かって、良かったという感想が聞かれました。

 

 

 その3 高齢者体験 

 

そして、学生たちの反応として一番、過酷そうだったのが、こちらの「高齢者」の体験。

 

足腰に重しを巻き、関節の可動域は狭められ、さらに特殊な白内障ゴーグルを装着し、視界も奪われます。手には特殊なグローブをはめ、足元は歩き難そうなサンダルに。

 

いつもはとても元気な1年生ですが、この装備を装着したら、もう別人のように。

見た目も、本当におじいちゃん、おばあちゃんがお散歩しているかのようでした。

 

歩きながら、ときどき、「うわー、しんどいー」「めっちゃ、キツイ!」という悲鳴のような叫び声をあげていました。

 

視野も狭まるので、このような段差があるところは、とても怖いよう。

 

普段はスタスタと歩いて移動している距離にも相当な体力を使うらしく、途中で休憩。こういう一息つけるベンチってありがたいですね。

 

装備を外したあとは、「うわー、楽!」との歓喜の声があげられていました。

 

そして、皆さんしみじみと「じいちゃん、ばあちゃん、まじリスペクト」と口々に言っており、他者の感覚を疑似体験することで、ある種の畏敬の念が生まれていました。

 

「やさしさ」のデザインを

 

私たちは、この世界を見るとき、ついつい自らの感覚や視点のみで見てしまいがちです。

世の中には、自分だけでは気づかない小さな不便や不平等が多くあります。それらは、他者の感覚や視点を持ってはじめて、気づくことができるものだと思います。

「誰もが暮らしやすい社会」の実現のためには、あらゆる人たちの視点を持ち、「やさしさ」の気持ちを持つことがとても重要。

そして、デザインにおいても、この「やさしさ」というのは、必要不可欠。

 

学生たちも、今回の体験を通じて、多くの気づきがあったようです。

これから、「やさしさ」のある素敵なプロダクトで、世界をより良くしてくれるはずです。

 


 

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