- 2023年7月10日
- 日常風景
【学外演習】授業で紹介した作品を鑑賞してきました!
こんにちは!
アートプロデュースコースです!
7/1(土)、芸術学Ⅲ/美術芸術論Ⅲの授業で大阪の国立国際美術館に行ってきました!
この授業を担当されている非常勤講師の福元崇志先生は、国立国際美術館で主任研究員として勤められています。(代表的な展覧会として「福岡道雄 つくらない彫刻家」(2017)、「ボイス+パレルモ」(2021)、「すべて未知の世界へ – GUTAI 分化と統合」(2022)など。 )
アートプロデュースコースでは、非常勤講師として長くお世話になっており、落ち着いた声で丁寧に語る先生の授業は学生たちからとても人気があります。
福元崇志先生
この日鑑賞した展覧会はこちら!
アンドロ・ウェクア、竹村京ら国内外で活躍する現代美術作家たちによる「ホーム」をテーマにした作品を紹介
令和4年度の新収蔵品をご紹介しながら、1980年代から2010年代までの美術を幅広く展示
国立国際美術館
● 福元崇志先生からのコメント
どのような作品であっても、実物をみることが何よりも大切です。
新型コロナウイルスの影響でしばらくの間実現できませんでしたが、授業内で一度は美術館に足を運び一緒に鑑賞する機会をもちたいと考えていました。
特にコレクション展で紹介している作品の多くは授業内で言及しているので、プロジェクションされた厚みのないイメージではなく、物体としての作品をみる機会にしたいと思っています。
国立国際美術館は現代美術を扱う美術館で、一般的にわかりにくいイメージを伴うかもしれませんが、そのわかりにくさをどう味わうかが美術において面白いところです。
そういった感覚も実際に展覧会会場を巡ってみないと得られないものです。
福元先生にとっては、まさに「ホーム」での鑑賞会となりました。
日本の戦後美術を専門とされている福元先生にお話を伺いながら、国立国際美術館で鑑賞させていただけるなんて、非常に贅沢な時間ですね。
鑑賞のポイントを教えていただきました
展覧会鑑賞は「よむもの」。
作品とテーマの結びつき、作品同士の並び(レイアウト)、作品は床に置かれているのか、壁に掛けられているのか、照明は、動線はどのようになっているか。
それぞれの意味を読み解きながら鑑賞します。
学生たちが作品や展覧会を「よみ」ながら、じっくりと時間をかけて鑑賞している姿が印象的でした。
皆さん学外演習お疲れさまでした!
鑑賞を終えて、学生たちはどんなことを感じたのでしょうか。
● 学生の感想
コレクション展「80/90/00/10」を見たときに最初に思ったことは、「思ったより大きい」だった。
特に授業で取り上げられていた村上隆の《727 FATMAN LITTLE BOY》と西山美なコの《Looking at you》で感じた。
授業のスクリーンで見た《727 FATMAN LITTLE BOY》は中央に可愛らしいキャラクターが描かれているし、多様な色彩が使われていて、画面自体に対して好意的な印象であった。しかし実物を見てみると、その大きさに驚いた。
思っていた何倍も大きく、題材となっている原子爆弾のfatmanも相まって少しゾッとするような感覚がした。
また、《Looking at you》も実際に見ると、一つ一つの作品の大きさに驚き、同じようにゾッとする感覚がした。描かれた女の子たちの眼も大きく、全員から見つめられている感覚がして長い間見ていると居心地の悪さを感じた。
「実物を見た方が良い」という話は何度かされていたが、授業のスクリーンで見た後に実物を見たのは今回が初めてだったように思う。
こんなにイメージや感じ方が変わるのかと体験できた時間だった。
私が今回見た中で印象に残っているのが、福田美蘭の《モノクロームで印刷された花の静物画》である。つい先日の授業で話されていた「私たちは見たいものしか見ていない」を体験した作品だった。しばらくこの作品を見ていたが、私は花ばかり見ていた。後ろに下がっても、作品に近づいても綺麗な花の絵ばかりに目を取られて、「綺麗な花だな」と思いながら見ていた。「どうやって描かれているのだろう」と作品に近づいて見ていると、蝶々がいるのに気付いた。今まで全く気付かなかった。その瞬間この作品には沢山の虫が描かれていることに気付いた。苦手な虫を近距離で見ていたことと、かなり長い間見ていたのに全く存在に気付いていなかったことに鳥肌が立った。作品が伝えたいこととは違うことを私は作品鑑賞をしながら感じたのかもしれない。
絵画を見ることも、そこから何を感じるかも自由であることが、私に一つの発見や体験をさせてくれたのだと思う。
( アートプロデュース学科 3年生 和田紗奈 )
今回の展示「コレクション80/90/00/10」です。数字を見たとき、美術の近代発展に関する展示だと思いました。
制作年数で作品が並べられるのかと思っていましたが、入口に行くと村上隆の727の作品がありました。この絵は実際は80年代や90年代に制作されたものではなく、最近の2017年に制作されたものです。なぜ入口にこれがあるのでしょうか。調べてみると、この作品は日本がアメリカに原爆投下された当時、「アメリカに対する日本のコンプレックス」をテーマにしています。敗戦国であるアメリカへの憧れやその歪みを浮き彫りにするため、村上は対極的な要素を同一平面上に並べました。入口に置くことで、過去を振り返り、未来に向かって展望する意図を表現したのだと思います。
また、村上隆やサブカルチャーを表現する部分を見ると、多くの芸術家がスーパーフラットな手法を使ってアニメや漫画の要素を作品に取り入れています。これにより、現代美術では珍しいものではなくなっています。日本の美術(ファインアート)と大衆芸術(ポップアート)の区別がなくなり、また現代の日本社会の階層性やフラットさを示しています。村上隆は、日本の美術の発展に十分な影響を与えた人物であることから、入口に彼の作品を置いたのだと思います。
最後に、私は展示を見ていく中で、以前は何も知らず、ただ美しい写真を撮っていましたが、今は各作品の意味を理解しようと試み、展示の分類方法を考えるようになりました。
さらに、多くの作品の背後にあるストーリーや作者が表現したい意図を知ることで、表面的に見える部分だけでなく、作品の背後にある意味を考え、キュレーターとして作品同士をつなげて新しい価値を形成することができるようになりました。
( アートプロデュース学科 2年生 WANG WENJUAN )
今回のコレクション展を鑑賞した後の感想は、多くの作品が授業で先生から解説があったにも関わらず、実際に参観すると予想以上に衝撃と感銘を受けました。
今回の展覧会はコレクション80/90/00/10をテーマにしており、各時代にはさまざまな異なる議題が存在していますが、同じ議題に関心を持っていても、各個人の表現技法は異なっています。自分の関心事、成長環境、教育環境など、さまざまな要素に基づいて、さらに多様な美術作品が創造されています。
一見すると作品同士に関連性がなく、時代も異なりますが、それらが伝えようとしているメッセージや作者の成長背景などを理解すると、意外にも共通点や個性が多く存在していることに気付かされます。
今回の展覧会は、むしろ伝承と変化を象徴していると感じました。各時代が経験したすべてが絵画を通じて伝えられ、絵画は次世代に思想を継承しています。そして次世代はそれを吸収し、学び、向上させることで創造性や変革を実現し、現代の事象を伝えるのです。
(アートプロデュース学科 2年生 CHUWENCHENG )
前期の授業もあと数回となりました。
この授業ではこれまで、現代アート史を学び、20世紀以降に生じた現代美術の展開を代表的な作品や動向を取り上げることで概観するとともに、そうした事柄が生じた歴史的背景について知識を深めてきました。
講義で歴史的な観点から現代美術についての知識を深め、実際に展覧会に足を運び作品をみることで、今後のアートプロデュース実践の理論的背景や根拠となる知識・経験を身につけていきましょう!
福元先生、ありがとうございました!
● ● ● ● ● お知らせ ● ● ● ● ●
\7月29日(土)30日(日)「ブース型オープンキャンパス」/
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2023年度4月ブース型オープンキャンパスの様子
10学科24コースのブースでは、ワークショップ体験や学生・教員と相談ができます。
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\8/6(日)参加者募集中!高校生アートラボ コトツク2023/
「高校生アートラボ コトツク」は、モノ作りにも生かせる〈コトをつくるアート〉の実験場。
アーティストから発想法を学んだり、研究者の頭の中を探検したり、まちのアート施設を訪問したりするワークショップを通して、〈コトをつくるアート〉を体験していきます。
モノづくりからコトづくりへ、ますます広がるアートの世界の扉を開いてください。
チャプター 3【アートは現場で起こっている】
担当:蔭山陽太先生(アートマネジメント)、山下里加先生(文化政策)
8/6(日) 13:30-15:30 (13:00 受付開始)
今、コトをつくるアートは、芸術分野だけではなく、まちづくりや教育機関、ビジネス界からも注目されています。
Chapter3では、京都市の東九条にある小劇場THEATRE E9 KYOTOを訪ね、アートと地域や企業の連携など、実際の現場で起こっているコトを目撃し、アートの活用術と可能性について一緒に考えます。
申込の締め切りは、前日17時まで!お申込みお待ちしています!
Chapter 3ご担当の山下里加先生(左)、蔭山陽太先生(右)
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