キャラクターデザインコース

ゼミ通ヒーローズVol.62 内田響己、藤井果凜、藤井凜と学科展作品「TERAS(テラス)」について語るの巻 Part1

 

 

※「ゼミ通ヒーローズ」とは、京都芸術大学キャラクターデザイン学科ゲームゼミの学生の研究や取り組みについてピックアップし、担当教員村上との対談形式で綴る少々マニアックなブログ記事となっています。

 

 

村上

今回は学科展に出品していたゲーム作品「TERAS(テラス)」の制作チームのメイキングインタビューを行いたいと思います。では三人それぞれの自己紹介をお願いします。

「TERAS」制作チームの3人。内田響己さん(左)、藤井凜さん(中央)、藤井果凜さん(右)

 

 

内田響己(以下内田)

内田響己です。デザイナーを担当してました。

 

藤井凜(以下りん)

藤井凜です。プランナーとCGのモデリングを担当しておりました。

 

藤井果凜(以下かりん)

藤井果凜です。プログラマーと主人公キャラクターのモデリングを担当してました。

 

村上

という3人チームでの制作なんだけど、藤井凜と藤井果凜て…、普通に聞いたら双子かなと思うけど赤の他人だもんね。同じゼミでしかも同じチームで。

 

かりん

なぜか趣味も性格もよく似てます(笑)

 

りん

展示会で来場者の方に名刺を渡したら驚かれました。

 

 

りん

今回私たちが制作したのは、鏡の反射を使って光をゴールまで導いていく謎解きパズルホラーゲームです。敵が徘徊する危険な屋敷の中を進んでいくような形になっています。

 

村上

企画のきっかけは?

 

りん

「子供の頃にやって楽しかったこと」から話を膨らませていきましたね。

 

かりん

腕時計に光を反射させて誰かに当てて遊んだことってないですか?そこから発想を膨らませていって、光を移動させるとか光を操るっていう感覚をゲームの中で再現して遊んでみようっていうところで企画を固めていきました。

 

村上

日常の中で子供だったら一度はやったことのあるゴッコ遊びをデジタル上で再現したと。具体的にはどうやって遊ぶ?

 

かりん

プレイヤーはボタンを押して鏡を回転させて、反射する光の角度を変えることになるんですけど、鏡には移動できる鏡とできない鏡があって、このコマがついてる鏡は自分の好きなところに設置出来て、そこで回転させることができます。

 

りん

パズルを解いていくうちに、光がすごく遠いところまで届いたり、ちょっと角度を変えるだけで全然違うところに行ったり、普段自分で操れないものを自在にするっていうところに面白さがあります。

 

内田

光自体もずっと残るから最終的に見た目がすごいことになりますね。

 

かりん

そんなビジュアルがすごく面白いっていう反応も展示の時にいただきました。

 

りん

パーティー会場のミラーボールみたい(笑)

 

村上

光の線がどんどん増えて入り組んでいって、蜘蛛の巣状になっていくようなビジュアルが面白いね。

 

 

村上

どの辺にホラー要素がある?

 

かりん

初期の「バイオハザード」みたいな定点カメラでの演出になるので、部屋を移動した時に目の前に敵がいて驚いたり、角を曲がることが怖いと感じたり、そんな展開を指しますね。

 

りん

割と最初からパズルゲームっていう着想というか構想があったので、一人称視点にして臨場感を出すことよりも、部屋全体が見下ろせることが重要だったんです。

 

村上

なるほど。定点カメラの演出は我々世代からするとなんか懐かしい表現だなと思って見てたんだけど、みんな「バイオハザード」はプレイしたことはある?

 

内田

経験は…ないですけど、実況で見ましたね。

 

村上

実況かよ…

あれは実際に操作しないと何が怖いのか伝わらないんじゃないかな…あのゲームの操作性がなんで怖さに繋がってるか、わかる?

 

内田

いやー…

 

~ここから暫く脱線して「バイオハザード」のゲーム性解説の話になるので割愛~

 

村上

マップ内を徘徊するモンスターを倒すことはできる?

 

りん

敵う存在じゃないからこそ怖いっていうところとか、得体が知れないとか、そういう表現をしたかったので倒せない仕様にしました。

敵はずっと部屋の中を徘徊していてるんですけど、光が苦手なので、倒せない代わりに光を当てて動きを止めたり、明るい空間が安全地帯になってたりします。敵とは適度な距離を保ちつつギミックを解いていくっていう遊び方になります。

 

村上

ゲームの中の作用と反作用のバランスがちゃんとデザインされてるよね。主人公の目的は光をゴールへ導くことで、そこで光が嫌いで死なない敵が追いかけてきて、倒すことは出来ないけど光を当てると食い止めることはできる。一つ一つの仕様にちゃんと意味があって、ゲームシナリオの整合性がよく練られてると思う。

 

 

村上

プレイヤーの動き見ててどうだった?動く鏡が出てきた瞬間に難易度が爆上がりしたイメージがあったんだけど。

 

りん

多分これはここに移動させればいいんだろうみたいな最初の行動が分かった後は結構スムーズに遊んでくれてましたね。移動可能な鏡がある部屋で自由に移動できるから、そこで鏡の使い方が理解出来たら他の所で応用してみる、という人が結構多かったです。

 

村上

自由度があり過ぎると逆に戸惑うかなと思ったけど、ある程度予測しながら遊んでくれてる感じだった?

 

かりん

何人かでしゃべりながらプレイしている人が多かったのと、りんりん(藤井凜の呼称)が最初に攻略法を何通りも用意してくれてたお陰で遊びやすくなってたんだと思いますね。5歳の子供が、何度も挑戦しにきてたりもしました。

 

りん

ゲームのコンセプトが「光を自在に操る」なので、あとちょっとでいけるのに無理だと思って中断するような状況を避けたかったんです。

 

内田

ただ、ゲームの取っ掛かりとしては、やっぱり説明をちゃんとしないといけないなって思いましたね。そもそもこのゲームの目的が何なのかとか。

 

村上

説明的にはなってしまうけど文字ベースでチュートリアルを実装するなどして、もう少し序盤に手ほどきがあっても良かったね。

 

りん

最初の部屋がチュートリアルで、そこから出たらもう応用してねっていう感じで作ったんですけど、チュートリアルの時点ですでに難しかったみたいで。操作説明のパネルもあまり読まれることもなくて…。そのパネルの見せ方が分かりにくかったのは反省ですね。

 

村上

ゲームが難しいんじゃなくて、単に説明が足りなかったってことだね。

ゲーム自体の難度はあれくらい良いとして、そもそも鏡を回転させることで光が曲がるということ、光が当たると敵の動きが止まること、ゲームの最終目的。これらを説明しようとすると、主人公に独り言を言わせるとか、何か演出を考えないといけないね。

 

内田

最初に文字で強制的に表示するくらいの感じでも良かったですね。

 

村上

スーパーマリオみたいに指示を出されなくても画面を見ただけで誰でも遊べるようになっていて、でもギミック攻略自体が難しいからアツくなる、そんな「分かりやすくて難しいゲーム」が理想的だね。じゃあここからゲームのメイキングについて触れていこうかな。

 

 

Part2に続く

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