- 2023年11月9日
- イベント
【本橋弥生先生インタビュー】芸術館秋期特別展「infinite journey 果てしのない旅」
こんにちは!
アートプロデュース学科です。
京都芸術大学アートプロデュース学科の専門科目「芸術学Ⅴ / 美術芸術論Ⅶ 」の受講生たちが、京都芸術大学芸術館で開催中の展覧会「infinite journey 果てしのない旅」の作品解説執筆や広報活動、トークイベントの運営を務めます。
「infinite journey 果てしのない旅」は京都芸術大学の学内にある芸術館(人間館ギャルリ・オーブ 2F)にて開催中の2023年の秋期特別展。
学園美術品活用委員会が企画し、学園美術品を紹介する展覧会の第1弾となっています。
展覧会会場の様子や、運営に関わった学生の紹介は以下のブログ記事からご覧いただけます。
▶️芸術館の展覧会運営に関わりました!vol.1 【学生コメントあり】
▶️芸術館の展覧会運営に関わりました!vol.2 【学生コメントあり】
アートプロデュース学科の専門科目「芸術学Ⅴ / 美術芸術論Ⅶ 」のご担当であり、学園美術品活用委員会の本橋弥生先生(芸術教養センター)はどのような思いで展覧会を企画されたのでしょうか。
学生が関わることになったきっかけや、展覧会「infinite journey 果てしのない旅」について詳しく聞いてみました。
本橋弥生先生
—— まずは、本橋先生の自己紹介をお願いします。
本橋弥生と申します。京都芸術大学には昨年度、着任しました。
それまでは約20年間、東京・六本木にある国立新美術館にて、キュレーターとして勤務しておりました。
専門はファッション文化史、デザイン史、近現代美術史です。
第一線で活躍する教員と学生の対話の場を
—— 今回の展覧会「infinite journey 果てしのない旅」でも本橋先生はキュレーションをご担当されていますね。
展覧会の運営は初めてという学生が多い中で、受講生に教えながら展覧会をマネジメントしていくことは簡単なことではなかったと思います。
今回、なぜ展覧会に学生が関わることになったのでしょうか?
本展は、本学の過去と現在と未来をつないでいく試みの第一弾として企画した展覧会です。
ちょうど、学園美術品活用委員会が本年度から立ち上がったこともあり、本学の学内にある美術品や芸術館の収蔵品と、現代美術家として活躍する教員や現役の学生たちの対話の場となるような展覧会を創りたいと考えたのが発端です。
現場のリアルなスケジュールに併走しながら施設・組織・場について理解を深める
—— 「芸術学Ⅴ / 美術芸術論Ⅶ 」の受講生はどんなことを担当してくれたのでしょうか。また、展覧会の運営に取り組む学生たちの様子を教えてください。
アートプロデュース学科の「芸術学V」の授業では、展覧会の肉付けをしていく作業、すなわち出品作家にインタビューをし、それを解説パネルにまとめることや、出品作家を招いたトークイヴェントの企画・運営を行っています。
この授業が始まるタイミングで、展覧会の準備は佳境を迎えている状況でした。
ですので、すぐに出品作家の作品をリサーチし、インタビューをし、300-400字程度で作品解説を書くということを行いました。
どれも学生たちにとっては初めての経験とのことでしたし、そのような授業になるとは思っていなかったところもあり、あまりのスピード感に驚いていたと思います。
授業後もかなりの時間を割いて解説文に取り組んでいました。
ですが、やはりアートプロデュース学科の学生ということもあってか、インタビューの際も動じることなく良い質問を投げかけていましたし、作品解説もよく書けていました。
適切な言葉が見つけられないときには、授業中、皆で協力して案を出しながらまとめていくなど、とても良いチームワークで完成させました。
トークイヴェントの方は現在、企画案を立てているところです。
——アーティストと直接関われることは責任や不安も大きいけれど、それだけやりがいを感じているという学生の声もありました。今回の実践経験を通して本橋先生が学生に学んでほしいことはありますか?
今まで、美術館に行っても、展示はしっかりと意識してはいたとしても、教育普及事業については前面に出てくるものではありませんので、実はよく知らないという人が多いと思います。
今回はその教育普及事業であるトークイヴェントを、主体的に自分たちで行わなければなりませんので、他館の例をリサーチしたり、あるいは自分で実際にトークイヴェントに参加してみたりして、会場づくり、雰囲気づくりから実際の流れや広報計画まで、具体的な場面を想像しながら、練り上げていってほしいと思っています。
アート作品をとおして、過去、現在、そして未来へとつなげていく
——最後に、「infinite journey 果てしのない旅」の魅力を教えてください。
この展覧会は、時間や所属を超えて様々な立場の人がコラボレートしながら創り上げていった試みであり、展示の過程でもさまざまな対話が生まれてきたということが何よりもの魅力だと思います。
アート作品をとおして、過去と現在をつなぎ、対話をしながら新たな未来へとつなげていく、そうしためくるめく「創造の旅」をイメージして企画したもので、私たち人類が持つ普遍的な記憶や物語を喚び起こし、鑑賞者と作品、あるいは作品と作品がつながり、次の次元へと移動していく—そのような力をもった作品を展示しました。
本学の卒業生であり現代美術家として活躍する津上みゆきさんの疾走感のある大きな抽象的な風景画に対しての、美術工芸学科の神谷徹先生の対話、それにホンマタカシさんの写真作品が加わり、さらに美術工芸学科の河野愛先生の作品が対話を広げ、深め、そこに縄文土器・土偶や神谷先生の作品も再び介入してくる—そうした作品が創り上げる空間に、今度はアートプロデュース学科の学生やインターンの学生たちが、より鑑賞体験をリアルで深みのあるものにするために創造力を発揮していく、というのは理想的な構図だと思います。
もちろん、今回は初めての試みで、まだまだこれから発展の余地はあります。
今後、ブラッシュアップさせていき、自由で、実験的で、面白い展覧会が続々と生まれてくるような、そんな場になると良いなと思っています。
京都芸術大学芸術館 秋季特別展 infinite journey 果てしのない旅
会期:2023年10月28日 – 2023年12月02日
時間:10:00〜17:00(入館は16:40まで)
休館日:展覧会期外、展覧会期中の日曜・祝日・大学休止期間・大学入試期間
料金:無料
会場:京都芸術大学 芸術館(京都市左京区北白川瓜生山2-116 京都芸術大学 人間館ギャルリ・オーブ 2F)
主催:京都芸術大学 学園美術品活用委員会
共催:京都芸術大学 芸術館
出品作家(津上みゆき氏、河野愛氏、神谷徹氏)によるギャラリートーク
アートプロデュース学科の芸術学Ⅴ / 美術芸術論Ⅶ 受講生たちが、企画・司会進行を務めます!
期日:11月29日(水)16:30〜17:50
会場:京都芸術大学 芸術館
料金:無料
●京都芸術大学アートプロデュース学科 公式X(旧Twitter)