アートプロデュースコース

アートプロデュース学科卒業論文発表会・受賞者発表!!

こんにちは!

アートプロデュース学科です。

 

アートプロデュース学科では、4回生全員が学生生活の集大成として卒業論文の執筆を行っています。

2/8(土)・2/9(日)、執筆した卒業論文についてそれぞれが工夫を凝らしてプレゼンテーションを行う「卒業論文発表会」が開催されました。

発表会にはアートプロデュース学科全学年の学科生が参加し、4年生の発表に耳を傾けます。

在学生だけではなく、なんとこの日のために他県から駆けつけてくれる卒業生も!アートプロデュース学科がこれまで育んできた絆を感じますね。

 

4年生は1人につき15分の発表時間で自身の論文をプレゼンします。

プレゼン後の質疑応答タイム(10分間)では、学年や立場の垣根を越えて鋭い質問が飛び交います。これは、なかなか緊張します…!4年生のみなさん、本当にお疲れ様でした。

 

そして発表会の最後には、学科長の伊達先生から受賞者の発表がありました。

2024年度の受賞者を紹介します。

 

🏆🎊🏆🎊🏆🎊🏆🎊

 

🏆学長賞🏆

秋本 麻帆さん

失われた右手、残された左手──『この世界の片隅に』における両手の象徴性─

教員コメント

ときに鑑賞者の技量が問われる作品がある。漫画『この世界の片隅に』はそうした作品のひとつである。本論は、そのような本作を、ともすれば読み飛ばされかねないような細部に目を凝らし、漫画というメディア表現の固有性にも目を配りながら執念深く読み込んだ優れた作品論である。作家が絵に刻み込んだ豊穣な機微を、そこに立ち現れる登場人物たちの感情と感性の静かなざわめきを、筆者は見逃すことなく丁寧にすくいあげていく。鑑賞が作者/作品との協働によって「新たな作品」を生み出す営みになり得ることを教えてくれる力作である。

林田新

 

🏆優秀賞🏆

米谷 璃音さん

「奥能登国際芸術祭」がもたらした新しい〈交換〉の兆し——柄谷行人『力と交換様式』から考察する——

👨‍🏫教員コメント

なぜ奥能登国際芸術祭のアーティストや来場者は、被災地となった珠洲市に関わるのか? 見慣れた風景が一変した能登の地で、筆者は人を動かす力をみつめる。手がかりは哲学者・柄谷行人が提唱する〈交換様式〉だ。「互酬(贈与と返礼)」という〈交換〉が染み込んだこの地に、「芸術祭」は価値が測れないアートという「返礼」を持ち込んだと看破。震災と豪雨に傷ついた今もその〈交換〉は人を動かす。それは、柄谷もまだ見ぬ「高次元での互酬の回復」と新しい社会構造の予兆になると筆者は願う。芸術祭の価値を拡張した本論文に賞を「贈与」し、筆者の「返礼」を待とう。

山下里加

 

🏆奨励賞(5名)🏆

前川 瞳さん

他者を詠う——木下龍也『あなたのための短歌集』における作中主体分析——

👨‍🏫教員コメント

明治以後、長く一人称詩とされてきた「短歌」。歌人による短歌界の改革も、作者と作中主体の結びつきを揺るがすことに注力されてきた。ところが当代の人気歌人・木下龍也が依頼文から詠む短歌31音の中に作者はいない。不在の作者を探して、筆者はついには短歌という作品の外に出た。未知を照らすのはアートプロデュースの視座である。本論文は、『あなたのための短歌集』の構造を、依頼者(=発注者)と読み手(=鑑賞者)を取り込み、短歌集を作者(=企画者)が演出する場と読む面白さを提示した。「短歌」を空間と関係の芸術として詠み直した快作である。

山下里加

 

星野 友香さん

言葉の世界と邂逅する──山尾悠子文学における滅亡と創造の詩学──

👨‍🏫教員コメント

本論文は、山尾悠子作品に看取される〈幻想性〉を言語表現と視覚性の融合という観点から精緻に分析し、幻想文学研究の新たな地平を切り開こうとする試みである。トドロフやジャクソンの理論を参照しつつも、それらを超克する詩学的視点を導入し、山尾作品が持つ「言葉の創造とその崩壊」という特性を神話的想像力の復権として再解釈する。幻想文学における言語の役割を再考し、山尾作品の持つ詩的構造を学術的に位置づけた意義は大きく、これからの幻想文学研究のみならず、文学理論全般にも応用可能な視座を提供する重要な論考である。

林田新

 

森本 千琴さん

呪縛を解放する——石内都が撮影した多層的な女性像としての『Mother’s』——👨‍🏫教員コメント

写真家・石内都が母の遺品を撮影した写真集『Mother’s』を筆者は「気持ち悪い」と言い切った。そこから筆者の探究が始まる。同作の前後作である『1・9・4・7』『ひろしま』の一枚一枚の写真に複雑に織り込まれた自身と他者、個人と集団、期待と呪いの視線を筆者は執拗に解きほぐしていく。そして、再びそれらが一枚の写真の中に在ることをみる。相反する価値に同時に触れる怖さに筆者は耐え、連帯する安心を手放しても「個」を見失うまいと足掻く。気持ち悪くて愛おしい他者。それは石内写真に筆者が見出した人の姿である。

山下里加

 

塩入 穂波さん

過去から未来を作り出すために──加害教育の重要性から考察するホロコースト記念館の今日的意義とこれからのあり方──

👨‍🏫教員コメント

日本の平和教育には加害の視点が欠落しているのではないか。本論はそうした疑問を出発点に、広島県福山市にあるホロコースト記念館の展示や活動の分析を通じてその意義の再考を試みる。過去の被害を伝承することに力点をおく現状の記念館の展示構成や教育的役割について批判的に捉えることにとどまらず、加害の視点を導入し現代社会との接続をどのように図るべきかについて具体的な提案を行なっている点は注目に値する。理論的な観点と実践的な観点を佳境する本論は、優れたアートプロデュースの試みである。

林田新

 

ミラー ロッティー 響子さん

「無思考の大衆」を生まないために──ワイマール共和国から学ぶ民主主義の脆弱性と教育の役割─

👨‍🏫教員コメント

歴史的視点から現代社会の教育的課題に鋭く切り込み、教育の意義を再考する点で極めて優れている。特に、ワイマール共和国における民主主義の脆弱性を政治、経済、教育との関連で掘り下げ、その教訓を現代日本の主権者教育の課題と結びつけた視座は、高い分析力と独創性を示している。また、ハンナ・アーレントの思想を基軸に「無思考の大衆」を生まない教育の在り方を模索する姿勢は、同時代世界が混迷と不確実性を急速に深めていく只中にあって、学問的にも社会的にも大きな意義を持つものである。

蔭山陽太

 

 

🏆同窓会特別賞🏆

堀 愛子さん

舞台芸術の権力構造に対する変革へのアプローチ──「ケア」の視点と実践を中心に──

👨‍🏫教員コメント

舞台芸術の現場での暴力や抑圧の問題を深く掘り下げ、「ケアの倫理」という枠組みを用いて具体的な変革の可能性を探る独創的な研究である。「オートエスノグラフィー」を活用した自己再帰的な視点から、創造現場での長期的な自身の実体験を記録し、それをさらに深めて演劇創造に潜む権力構造を批判的に分析した点が高く評価される。また、演劇を「ケアを中心とした民主主義」の実現へとつなげる提言は、学術的意義だけでなく、同時代の舞台芸術創造における実践的価値も兼ね備えている点で極めて貴重である。

蔭山陽太

 

🏆🎊🏆🎊🏆🎊🏆🎊

 

また、発表会では参加者の投票で優れた発表者を賞する「プレゼン賞」も選出されます。

見事プレゼン賞に輝いたのは、魔法少女アニメの歴史からプリキュアの描く平等性を紐解いた竹内 久美子さんでした!竹内さん、おめでとうございます🎉

 

 

受賞された皆さん、本当におめでとうございます👏

受賞者の卒業論文要旨は学科ウェブサイトにも掲載しています!是非ご覧ください📖(プレゼン賞を除く)

▶️アートプロデュース学科公式ウェブサイト 卒業論文 GRADUATE THESES

 

 

 


 

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