文化財保存修復・歴史遺産コース

【学生の授業レポート】祇園祭の提灯②

こんにちは!

今回は、前回の続きで、学生の授業レポートです。

3回生の小川はる菜さんが、ゼミで見学をしに行った祇園祭についてレポートしてくれています。

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前回の続き、パート②

 

私が今回の山鉾見学で撮影した提灯を紹介します。

 

1)白楽天山

白楽天山の駒形提灯

白楽天山の駒形提灯

駒形提灯を構成する提灯の数は、縦4個×7列で28個です。中央上部の3個のみ赤色の提灯が使われており、八坂神社の神紋である「左三つ巴」と「五瓜に唐花」、「御神燈」の文字がみられます。

「白」の字を図案化したものも、一つひとつの提灯に描かれています。

山の前には、旧字体の「樂」を用いて山の名前を記した提灯が吊るされていました。

 

2)保昌山

保昌山の駒形提灯

保昌山の駒形提灯

「保」の字が描かれています。

 

3)岩戸山

岩戸山の駒形提灯

岩戸山の駒形提灯

駒形提灯を構成する提灯の数は37個です。両脇から中央にいくにつれて提灯の数が少なくなっており、後ろにある山の姿がよく見えました。赤色で左三つ巴紋を、黒色で五瓜に唐花紋を描き、交互に配しています。

 

4)油天神山

油天神山の駒形提灯

油天神山の駒形提灯

火袋の部分に糊の跡が透けて見えて、その部分が少し黄色っぽくなっていました。

 

5)四条傘鉾

四条傘鉾の駒形提灯

四条傘鉾の駒形提灯

「傘」の字を図案化したものが描かれており、他に薄墨色に赤色の線で囲った左三つ巴紋、薄墨色に黒色の線で囲った五瓜に唐花紋の提灯がみられました。

 

6)蟷螂山

蟷螂山の駒形提灯

蟷螂山の駒形提灯

カマキリが描かれています。左三つ巴の紋は他の山や鉾の提灯のものより、少し大きめに見えました。

「蟷」の字の提灯

「蟷」の字の提灯

「蟷螂おみくじ」が設置されたテントには、「蟷」の字が記された丸型の提灯が吊り下げられ、赤地に白色の文字のものと、白地に赤色の文字のものがありました。

 

7)郭巨山

郭巨山の駒形提灯

郭巨山の駒形提灯

駒形提灯を構成する提灯の数は31個で、郭巨山は「釜掘山」ともいわれるため、「釜」の字を図案化したものが描かれていました。

 

8)綾傘鉾

綾傘鉾の駒形提灯

綾傘鉾の駒形提灯

丸に「綾」の字が描かれていました。

 

9)月鉾

月鉾の駒形提灯

月鉾の駒形提灯

「月」の字が薄墨色に黒色の縁取り線で描かれており、4画目の横線が大きく突き出ているのが特徴的です。

 

10)菊水鉾

菊水鉾の駒形提灯

菊水鉾の駒形提灯

「菊水鉾」の字と「菊に流水」の紋が青色で描かれており、提灯に青色を用いていたのは、私が見た限りでは菊水鉾だけでした。

 

11)霰天神山

霰天神山の駒形提灯

霰天神山の駒形提灯

赤色で「星梅鉢紋」が描かれています。提灯の上部と下部にある重化(じゅうけ)の部分が金色で作られていました。

 

12)孟宗山

孟宗山の駒形提灯

孟宗山の駒形提灯

左三つ巴紋と五瓜に唐花紋に加えて、提灯の下部に山型文様が描かれていました。

 

13)大船鉾

大船鉾の駒形提灯

大船鉾の駒形提灯

山鉾町の名前が四条町であるため、「四」の字が提灯上部に記されています。

 

14)南観音山

南観音山の駒形提灯

南観音山の駒形提灯

山鉾町の名前である「百足屋町」の「百」の字を図案化したものが描かれています。

 

15)八幡山

八幡山の提灯

八幡山の提灯

山鉾町の入口に掛けられていた提灯で、中央に「八幡山」の文字向かって右の側面に五瓜に唐花紋、左の側面に左三つ巴紋が描かれていました。「八」の字は2羽の鳩をかたどったものでした。

火袋の部分が飴色に変わってきており、木製の提灯台とともに、長年使用されているようです。

 

16)役行者山

役行者山の駒形提灯

役行者山の駒形提灯

赤地の提灯には独特な字体で「役行者山」、「御神燈」と記されていました。白地の提灯には「輪宝紋」が赤色で描かれています。

 

17)橋弁慶山

橋弁慶山の提灯

橋弁慶山の提灯

山の名前が赤地の提灯に記されており、旧字体である「辨」が使われていました。

 

18)北観音山

北観音山の駒形提灯

北観音山の駒形提灯

駒形提灯を構成する提灯の数は45個で、どの山鉾よりも数が多いようです。山鉾町の名前である「六角町」にちなんで、六角形が描かれていました。

 

19)鯉山

鯉山の提灯

鯉山の提灯

山鉾町の入口にある提灯で、「鯉山」の文字は独特な書体で記され、向かって右の側面には青色で五瓜に唐花紋が、左の側面には赤色で左三つ巴紋が描かれていました。

 

 

20)布袋山(休み山)

布袋山の提灯

布袋山の提灯

山鉾町の入口に掛けられていた提灯で、町名である「姥柳(うばやなぎ)」の文字と、宝袋の紋が描かれていました。

長らく使っているものためか、火袋は飴色になっているし、紙を継ぎ足して補修をした跡もみられました。

 

おわりに

今回は2度の山鉾見学で、すべての山鉾を見ることができました。どの山鉾の提灯にも、八坂神社の神紋である「左三つ巴」の紋と「五瓜に唐花」の紋のどちらか、もしくはその両方が描かれていました。

山鉾の名前の頭文字を提灯にあしらったものが多くみられ、中には朱印と同じ紋を提灯に使用しているところもありました。

文字や文様の形や色、大きさといった提灯のデザインには、山鉾町ごとにこだわりが感じられ、ただ何となく眺めているだけではどの提灯も同じように見えますが、じっくりと見比べることで山鉾ごとに特色があるのだと気づくことができました。

提灯の中には真新しいものもあれば、だいぶ年季の入ったものもあり、何年ごとに新調するのか、また、新調する際にはデザインの変更を行うのかどうかも気になりました。

来年も祇園祭に足を運び、今年と来年の提灯を比較しながら見るようにしたいと思いました。

 

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小川さん、ありがとうございました!

夏休みに入りましたが、今後も学科のようすや学生の授業レポート等、更新していきます!!

 

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