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(大学院)文芸領域 佐藤 亮

このような事態に皆様を巻き込みましたことに、心よりお詫び申し上げます。


あらゆる文字要素をブリコラージュ的に再構成し、一つの物語にする試み

<作品名>
――新しいママの会 特別セミナー 最幸の赤ちゃんを授かるスピリチュアル・メソッド

「京都芸術大学大学院文芸領域」の修士制作として、学生である「佐藤亮」は、「林原希望(本名:佐藤光希)なる女性が〝不妊に悩む女性にスピリチュアル的な方法で子どもを授ける〟という名目で開催した不穏な内容のオンラインセミナーの資料と、その周辺資料をまとめた作品」を構想した。
佐藤は、作品が書かれた背景について「当初の予定が諸事情により変更を余儀なくされたため、変則的な提出内容となった」と冒頭で説明するが、読み進めるうちに以下の①~⑤までの「企て」が暗に示される。
① オンラインセミナーの実践によって授かる子どもは、中絶胎児の魂がもとになった「ひかりのこ」という呪いの存在であり、セミナーはそれを拡散する手段。
② 「周辺資料」は、林原希望が「なぜ〝ひかりのこ〟を授けるためのセミナーを開くに至ったかの背景」を説明するものとなっている。
③ セミナーの内容やその周辺情報を読ませようとしている主体は、呪いの存在である「ひかりのこ」である。
④ セミナーやその周辺情報を読む作業は、「ひかりのこ」の産みの親である林原希望の人物像を、読者の中に結ぶための呪いである。
⑤ 呪いは林原が出鱈目に作ったものであるため、「ひかりのこ」は中絶胎児の魂などではなく、もっと禍々しい存在である可能性もある。そして解呪の方法は存在しない。
創作本文中の、次の一節で、本作の意図は示唆されている。
・〝「ひかりのこ」は、「姉がいかにして自分を産み出したか」を私に語らせることで、
それに触れた皆様の中に「産みの親」の像を結ぼうとしました。(p45)〟
・〝カニバル佐藤:なるほどですね……。そういう、デタラメな契約を進めると、「まじない」の世界においては、何が起こっちゃうんでしょう?
梨山:「得体の知れないものすごくヤバい存在」が、「ものすごくヤバい条件」で、この契約を受理しちゃう可能性がありますね。(p43)〟
また、作者である佐藤が林原の弟という事実も判明する。最終章「おしまいに」で佐藤は、自分の正体は姉である林原と同じ「ひかりのこ」を周囲に拡散・感染させる「媒介役」であり、修士制作を執筆したのは、この作品を読むはずである大学院文芸領域関係者を自らと同じ「媒介役」にするためだと明かす。そして佐藤は、自分も含めた「媒介役」は、いずれ恐ろしい死に方をすると示唆し、修士制作を締めくくった。

佐藤 亮

(大学院)文芸領域

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