(大学院)文芸領域 吉野 かおる
風車の国からめんそーれ
琉球諸語絶滅の危機における対策と取り組みについて
<作品名>
風車の国からめんそーれ
オランダ人青年リンスが一夏を日本で過ごし、沖縄の言語に興味を抱くようになる。東京と沖縄での様々な人との出会いを通して描かれる若者の成長譚。
第一章 「オタクサ」
母国のライデン大学の日本学科を卒業したリンスは、数年の社会経験を積んだ後、東京の語学学校で夏の三か月間アルバイトで英語講師として働きながら日本語指導の勉強をする。
シェアハウスのホスト美沙子は、リンスがストレスなく学べるように母親のような眼差しを持ってフォローする。日本に馴染むために妹の智子を家に招いてはリンスを交えて食事を共にする。
語学学校では日本のサブカルチャーへの人気の高さを痛感する。スタッフのまどかに好感を抱くが校長先生との間には確執が生じる。しかし当初は不本意であった英語の授業を受け持つことになり、それまでやる気のなかった生徒、亜美のモチベーションを上げることに成功する。国にかかわらず言語全般を教えることに更なる探求心が芽生える。職場では語学の学習方法についての日本人とヨーロッパ人の考え方の違いに気づかされる。
たまたま用いた英語の教材が沖縄旅行の広告であったり、美沙子の家で沖縄料理をご馳走になったこと、亜美から沖縄方言を耳にし、まどかから沖縄の歴史を知らされたこと等が重なり、リンスは沖縄に対して強い好奇心を覚える。そして日本滞在の最後に二泊三日で那覇へと旅立つ。
第二章 「島 唄」
那覇では亜美の従弟やその友人と島唄ライブの店で時間を過ごす。沖縄言語の存続を熱く語るリンスに彼らは感謝の気持ちを表し、沖縄の互助と親睦を兼ねた会合の模合に招待されるまでになる。だが、いざ沖縄言語の存続案を具体的に打ち出すと彼等は及び腰となり、結局リンスの提案は受け入れられずに終わるのだった。
沖縄滞在最後の日、那覇の公設市場で島唄ライブの歌姫マイマイと偶然に再会し、彼女の車で世界遺産の勝連城跡を案内してもらう。東京から移住して十年経つマイマイと話しているうちに、リンスは模合での自分の提案が先走ったものであったと思い至る。勝連城址の頂から、太平洋に鏤められた沖縄の島々を見て、沖縄言語を研究する決意を固める。
リンスはまどかへの思いを自覚し、旅先からのラインメッセージで二人の距離を縮めて行く。
オランダへ帰国したリンスは、琉球諸語存続に役立てるため、翌年から那覇の大学院で研究を開始することをまどかへ伝える。
吉野 かおる
(大学院)文芸領域
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