(大学院)文芸領域 宮﨑 麗子
一人称小説における視点の固定及び共感を得る心情描写の研究
<作品名>
『いつかの街へ』
かつて好意を寄せ合っていた男女が 30 年もの時を経て再会した――そんな2人が未来をどう選択していくのか。過去の 2 人を振り返り、再会後に訪れた街を辿りながら描く大人の恋愛物語。
50 歳も半ばになる有島瑤子は良き夫や娘に恵まれ、家庭も仕事も順風満帆な暮らしを送っていた。ただ、彼女には胸の片隅に忘れられない人がいた。仲村尚之――20 歳代前半に同じ職場で知り合った同期である。涼しい目をした魅力的な彼は、若い頃から多くの女性に人気があり、瑤子もしだいに彼へと引き込まれていったが、彼とは一線を越えることが出来ずに終わってしまった。
30 年以上の時を経て、思いがけず瑤子は仲村との再会を果たした。昔には考えられなかった連絡ツールの LINE 上でのやり取りが、またしても 2 人を近付けていくこととなり、お互い既婚でありながら逢瀬を繰り返すようになっていく。2 人は様々な街を訪れ、その時見た風景やその時々の思いを共有していくが、一緒に過ごす時間が増えるにつれ気持ちのずれや罪悪感が募っていく。やがて瑤子は仲村と別れる決心をし、罪の深さから夫とも別れ独りになる。
二年後の桜の季節、瑤子が仲村との思い出の場所へと向かった先には彼の姿があった。
逢うたびに、なお惹かれ合ってしまう男女の恋愛を瑤子の視点から紡いだ物語。
序章
瑤子は 31 年ぶりに再会した仲村のことを考えながら、出逢った頃を思い出そうとしていた。
第1章「あの頃の2人」
瑤子は大学卒業後、都内の区役所に採用され、同期である仲村に出逢う。彼は女性が放っておかないような魅力があり、瑤子も彼から誘われるうちに惹かれていく。お互い好意を寄せてはいたが、瑤子は彼との一線を越えられないまま終わってしまう。
第2章「再会」
50 歳を過ぎた瑤子は近くの出張所で仲村を見かけるが、昔の切ない思い出から会うことを躊躇していたが、1 年後、会いに行く決心をする。再会後、2 人は LINE を通じてやり取りし、ついに 2 人きりで会い思い出話をしながら距離が近づいていくようになる。
第3章「逢瀬」
お互い既婚でありながら 2 人は逢瀬を繰り返すようになり、ある日、一線を越えてしまう。その後も様々な街を訪れ思い出を増やしていくが、瑤子は気持ちのずれや罪悪感を募らせ、やがて彼との別れを決意する。
終章
仲村と別れてから二年後、瑤子は夫とも別れ独りとなっていた。桜の季節が訪れ、思い出の場所へ行くとそこには仲村の姿があった。
宮﨑 麗子
(大学院)文芸領域
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