⾝近なプロフェッショナリズムを紐解く編集実践
友⼈・家族 7 名へのインタビューを通じて
(大学院)文芸領域 左雲 翔太
作品タイトル:
となりのプロフェッショナル 『働く』をひらく
本制作研究は、⼀般に「プロフェッショナル」と認識される職種(スポーツ選⼿や芸術家、有資格者等)の範疇を超え、⽇常のあらゆる労働の現場に潜在する職業的流儀と専⾨性を明らかにすることを⽬的としたインタビュー集の制作である。
通常、プロフェッショナルという⾔葉からは、華々しい成功や特殊な技能を持つ⼈物が想起されがちである。しかし、視点を⽇常に向ければ、あらゆる職業において、その仕事固有の思考法や技術があることが想像できる。本研究では、この⾝近な場所に潜在する専⾨性を「となりのプロフェッショナル」と定義し、その実態を記述することを試みた。
制作の⼿法として、インタビュー対象者を筆者の友⼈や家族、かつての同僚など、関係性の深い 7 名に限定した。彼らは、⼀般的な取材で⾒られる成功者や有名⼈ではない。取材者と親密な関係性があるからこそ吐露される、働く個⼈の⽣々しい感情、迷い、そして独⾃の職業哲学を抽出するための意図的なアプローチである。事前に配布した質問票をもとに、⼀⼈あたり約 1 時間のオンラインインタビューを実施し、現在の業務内容だけでなく、その背景にある思考や将来への展望を深掘りした。
本書の構成は、対象者の属性に基づき「研究者」「教育者」「会社員」の三部構成とした。このカテゴリ分けは、職種による類似性を⽰すためではなく、むしろ同⼀カテゴリ内であっても、個⼈の資質や環境によって全く異なる働き⽅やアプローチが存在することを対⽐的に浮き彫りにするためである。
収録したインタビュー対象は以下の通りである。
第⼀部「研究者」では、国際関係論・北朝鮮研究者、タイ研究者・⼤学教員、現代⾳楽作曲家の 3 名。
第⼆部「教育者」では、多様な学び充実⽀援員と、⽇本語教師の 2 名。
第三部「会社員」では、損害保険会社社員と航空会社社員の 2 名である。
本制作物は、これら 7 名の語りを、個⼈の微細な感情の揺れ動きや仕事のディテールやこだわりに焦点を当てて編集・記述したものである。全体を通して、差異と共通点を⾏き来しながら「働くこと」の普遍性を提⽰するものであり、すべての働く⼈々に対し、⾃⾝の職業観を相対化し、再発⾒するための参考書となることを⽬指した。
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