キューバ文化の魅力発信をめざす冊子制作
─滞在経験をいかに表現に変えるか─
(大学院)文芸領域 梅本 みき
領域奨励賞
<作品名>
HIERBA BUENA イエルバ・ブエナ ―広告のない街で―
本制作物は、筆者の2年間のキューバ滞在経験をもとに、現地のリアルな情報やエピソードをまとめた冊子である。読者像は海外旅行経験が豊富な30〜40代の男女で、特に途上国や僻地への旅行を好む層を想定した。また、キューバ関連の情報誌が比較的少ないことから、渡航未経験者や現地の実状を知りたい人、旅の心構えを養いたい人も視野に入れている。冊子はA5サイズ、全128ページ、約28,000字で設定。内容はキューバ滞在中のエピソードをもとに、アルファベットのAからZで始まるスペイン語のトピックで構成。これらに加えて「はじめに(プロローグ)」、「おわりに(エピローグ)」、キューバの地図、略史、目次のほか、コラムや詩の引用、写真のみのページを盛り込んだ。
AからZの26種類の切り口で綴られたエピソードにより、読者が幅広い視点からキューバの文化や実状を知ることができる仕様となっている。同時に、作為的な順序を付けないランダムなストーリー構成で客観性が保たれ、読者のキューバに対する多角的な理解を深める効果も見込まれる。各トピックは700〜1500字程度の短編で読みやすさを意識しつつ、作品全体にまとまりを持たせるため3部構成とした。また、執筆上の一貫性を保つため「光と影」を裏テーマとし、キューバの二面性を示すエピソードを随所に散りばめた。
メインのエッセイに加えて、2つのコラムやキューバの詩人ホセ・マルティの詩の紹介、写真のみのページを組み込むことで、作品の独創性を高めること、さまざまなアプローチでキューバ文化を知ってもらうことが期待される。文章表現においてはカルチャー誌に近い文体を目標として、客観性を意識したほか、三人称を主体とした俯瞰的な表現を試みた。さらにキューバの一般情報も一部取り入れたことで、ガイドブックとしての一面も兼ね備えている。
加えて、レイアウトはキューバの特殊な光景を明確に伝えること、視覚的に気軽な形でキューバ文化に触れてもらうことを目的に写真を織り交ぜて設計した。敢えて均一的なレイアウトとせず、文章と写真をランダムに散りばめた形式にすることで、読者の視線が変則的に行き来し、予測不能な次の展開への期待感を誘う効果が見込まれる。
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