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FUDO - Guidebooks end here.

観光地化されていない日常の食卓を探求する架空のエージェンシー

食文化デザインコース 小川 理恵

「Guidebooks end here.」を掲げ、観光地化されていない日常の食卓を探求する架空のエージェンシー『FUDO』を提案します。 訪日客が直面する言語や文脈の壁を超え、土地の暮らしや歴史への没入を叶えるため、日本の風土を視覚的に翻訳し、まだ見ぬ食卓への招待状となるWEBプラットフォームを構築しました。

土地固有の物語をキュレーションした風土を紐解く3つの旅を提案します。

MT. FUJI: 山中湖・富士山麓で、四季を箱に詰める「BENTO」文化体験。麓の実りと風景を愛でる情緒に触れます。
AWA BLUE: 徳島の清流と「藍染」を巡る旅。食だけでなく衣食住を支えた藍の歴史、川と生きる暮らしを紐解きます。
KAMIYAMA: 山間部の果樹園で、特産品「すだち」等の収穫を行う旅。

実践として、徳島県神山町の一般農家にて欧米からのゲストを招いたプレツアーを実施しました。参加者からは「不便な場所の手つかずの風景こそラグジュアリー」と評価を得ました。 受け入れ農家にも変化がありました。プレツアー前には「何もない日常」「こんな場所に人が喜んでくるのか?」と謙遜していましたが、ゲストの感動を目の当たりにし「自分たちの仕事は世界に誇れる文化だ」と自覚し、再発見するに至りました。

FUDOの役割は、単なるツアーの手配ではありません。「深く知りたい」と願う旅行者と、「伝え方が分からない」地域。その間にある壁を、デザインと編集の力で翻訳することです。 日本の地方に眠る「当たり前の日常」を、世界中の人々が感動する「高付加価値な体験」へと変える。ガイドブックが終わる場所から始まるこの新しい旅の形こそが、これからのインバウンド観光のニュースタンダードになると確信しています。

訪日客の9割が食を期待する一方、言語や文脈の壁によりガイドブック掲載店に集中している。「知りたいのに手段がない」現状が課題。

コンセプトは「ガイドブックの先」。観光用に演出された「ハレ」ではなく、土地の風土と人が紡ぐ日常の「ケ」への入り口を作る。

言語の壁を越える「視覚的翻訳」。文字を減らし、写真の余白や詩的な物語を用いることで、直感的に価値を伝えるWEBサイトとInstagram。

ターゲットは「本物」を求める欧米の個人旅行者。ありきたりな観光に飽き、地域の人との交流や深い文化体験を渇望している層。

机上の空論で終わらせないため、徳島県神山町の一般農家にてプレツアーを実施。観光地化されていない「ありのままの日常」を舞台にした。

特別なイベントではなく、収穫などの「生産者の日常」に没入する時間をデザイン。泥のついた手や対話こそが、言葉を超えた体験になる。

参加者の反応。「不便な場所の手つかずの風景こそがラグジュアリー」という評価。背景を知り作り手と交流することで体験価値が高まる。

生産者の変化。「何もない」と謙遜していた日常が、客の感動を通じて「世界に誇れる文化」へと価値転換された瞬間。

世界の「知りたい」と、地域の「当たり前」をつなぐ架け橋に。「視覚的翻訳」で言葉の壁を超え、ガイドブックにはない新しい旅の形を提案します。

小川 理恵

食文化デザインコース

CONTACT

旅先で出会う「飾らない日常の食卓」にこそ、その土地の本当の豊かさがある。そう信じてきましたが、そこには常に「言葉」や「文脈」という見えない壁がありました。 「もっと深く知りたいのに、たどり着けない」。私自身が旅人として感じ続けてきたこの強いもどかしさが、卒業制作『FUDO』の原点です。 実践の舞台となった徳島県神山町では、農家の方が自身の営みに誇りを取り戻す瞬間に立ち会い、デザインが持つ可能性に心を震わせました。 この大学で得た視点を糧に、これからも食を通じて、地域と人の心が通い合う架け橋のような存在でありたいと思います。

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