味噌汁リストラクチャリング
多様な現代の食環境の中で、味噌汁を構造として捉え直し、分解と再構築を通して、「選ぶ」行為の意味を問い直す。ひとりひとりの食の答えに出会う体験。
食文化デザインコース 小泉 優子
味噌汁の構造を学び・再構築・購入までを体験できるEC機能付きWEBサイト「みそ汁クリエイター」/商品モックアップ/
「味噌汁リストラクチャリング」は、日常的な料理である味噌汁を、具・出汁・味噌という要素に分解し、再構築する体験を通して、多様化する食の中にある、自分の答えを見つける試みである。
現代の食環境は、文化的背景や宗教的制約、体質や食スタイルの多様化が顕在化する一方で、パフォーマンスやスピードを重視する効率化という価値観も同時に進んでいる。いつでも、どこでも、買える、食べられる、という便利な世の中で、「迷わないこと」や「それらしい正解」によって食の選択が無意識のうちに均質化されやすい状況にある。
この制作のきっかけは、京都の老舗味噌店の通信販売サイトで、白みそのインスタント味噌汁が単品で購入できなかったという、ごく個人的で極めて小さなストレスから起点している。便利な世の中に潜む、この見逃しがちな当たり前の不便さは、個々の好みの問題だけでなく、自らの食を選択するという自由を静かに制限されているのではないかと感じた。
味噌汁を構造として捉え直すことで選ぶことができる要素が可視化される。具を選ぶ、出汁を選ぶ、味噌を選ぶという行為は、単なるカスタマイズではない。自分のために「選ぶこと」そのものが食の出発点であることを示している。
EC機能付きWEBサイト「みそ汁クリエイター」は、単なるインスタント味噌汁のショッピングサイトではない。面白い味噌汁の提案でもない、新しいみそ汁の販売手法でもない。正解を示すものでもない。分解・再構築・購入という「考え→選ぶ→食べる」をひと続きで体験ができる場だ。
ポイントは出汁・味噌・具をそれぞれフリーズドライ製品とし、商品として提供するところにある。そのため、展示や冊子のように「考え方の提示」に終わることなく、実際に購入し食べる行為へと接続されることで「体験」となり、ひとりひとりの答えが立ち上がる。
『ひとの数だけ、食があり、食の数だけ多様性がある』
この企画は、日常の食を、出発点である「選ぶ」という行為の前に立ち止まらせ、自分の答えを見つけるための場を提示するものである。
総務省統計局の人口推計2026年1月1日現在の日本の人口に1日3食の「3」を掛けた数です。食は、ひとの数以上に存在しています。
膨大な食の数は多様化と効率化を同時に生み、情報は拡大し、スピードは加速しています。
居住したことのない京都の、食べたことがない、白みその味噌汁を、個包装のインスタント味噌汁で、24時間365日通信販売で買うことができる便利な時代です。
しかし、便利な中にも、サービスを提供する側には「効率」が必要で、それは受け手である「購入者」には小さな制限となることも。
味噌汁を俯瞰してみます。
分解することで、見えてきました。
3つの要素をそれぞれフリーズドライ製品とすることで、まだない世界が生まれます!
「みそ汁クリエイター」は、面白い味噌汁の提案でも、新しいみそ汁の販売手法でも、正解を示すものでもありません。分解・再構築・購入という「考え→選ぶ→食べる」をひと続きで体験ができる場所です。
ひとの数だけ、食があり、食の数だけ多様性があります。
こちらのQRコードから、食の出発点である「選ぶ」という行為の前に立ち止まり、自分の答えを見つけてみませんか?
EC機能つきWEBサイト「みそ汁クリエイター」の紹介動画です。この動画は、藝術学舎で受講した「初めての挑戦!AdobePremiere Proで動画を作ろう!」で学んだ内容を活かし自身で制作しました。
小泉 優子
食文化デザインコース
大学卒業後、約20年間にわたり国内外の金融業界に従事。新規事業の開発部門で「ゼロから創る」ことに携わり、2016年からは日本茶インストラクターとして活動を開始し、セミナーや商品・メニュー開発・コンサルティングで独立。
数値だけでは測れない価値に関心を持ち、「なぜそうなっているのか」「別の視点はないか」を起点に考えることを、常に自身の思考の軸としている。身近な日常の中にある違和感を構造として捉え直し、別の選択肢を提示することを制作テーマとした。
今後は、大学で学んだ食の知識と、金融業界で培った分析力・構想力をクロスし「食でまだない世界を創る」ことを目指している。
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