コミュニティの生成と参加意識を追跡した編集と制作
(大学院)文芸領域 弓指利武
コミュニティにはいるひと、 コミュニティをつくるひと
社会の多様化に呼応するかのように、世の中には様々なコミュニティが立ち上がり、関係性を作り、文化を構築している。著者自身も例外ではなく、スポーツや勉強会のコミュニティを作っている。人はそのコミュニティに一体何を求め、どういう未来を描いているのだろうか。仕事と家族の往復では飽き足らず、なぜ別のコミュニティに参画しようとするのだろうか。本制作はその問いを出発点に、コミュニティに入る人、作る人の想いをそれぞれ伺った。特に、戸惑いながらも何かしらの理想に向けて取り組んでいて、メッセージ性に富んでいた方をピックアップした。インタビュー記事をまとめる上で、綺麗に編集することも重要だが、できるだけ生の言葉、場の雰囲気を意識して、飾らない空間づくりを目指して本音を記事にまとめていくことを狙った。4名のうち3名は、二度目のインタビューを試みている。これは、一度実施したときに聞いた思考や考えが、時間を置いた後でどのように変化するのかを見てみたかったからである。
コミュニティに入った人として、団地の自治会に入りながら人類学のコミュニティに参画した久田さんという女性と、コミュニティに所属しては代表を拝命し続ける京都在住の大学生、鳥居さんに取材を実施した。それぞれが求めているもの、コミュニティに期待すること、その葛藤と苦悩を聞き取っていく。
もう一つはコミュニティを自ら作った人として2名、取り上げている。一人は人類学の社会人向けゼミを開設した比嘉さん、もう一人は農家で越境学習を追求し、お米食べ放題という法外なイベントを全国で展開する辻さんである。コミュニティの意味や求めているものを率直に伺い、コミュニティの可能性と、この先見据えている未来像を聞いた。7回のインタビューのうち6回は一人語り形式で、最後の1回を一問一答形式で掲載し、コミュニティへの想いを言葉にした。また、アポイントの取れた順番に実施した取材の流れをそのまま反映させて、出てきたキーワードを次のインタビュイーに引き継いでいくことで、コミュニティの見方を多角的に捉えることを目指した。
明快な回答や、具体的な道筋を求めたというよりも、よくわからないものだからこそ感じる魅力や可能性に迫る構成を狙った。現代のコミュニティ論をはじめ、この4名の取材から生まれた様々なキーワードや想いを通じて、この先の社会構造の可能性を見つめてみたいという想いである。
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