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人間の感情や愛の形が近未来にどのように変化していくかの探求

常時接続可能になった時代においてもなお孤独を抱える矛盾について

文芸コース 包 鉄

スターダスト・コネクション

二十二世紀、人類は感情搾取のシステムに抗い、女性と技術者、パーフェクトカップルの四人が協力し、そのシステムを人類幸福再生の装置へと転換していく、希望と愛を描くSFドラマ。

二一九〇年、人類は大災厄を乗り越え、宇宙移住と地球のドーム化によって生存を維持していた。スターダスト社は「孤独を癒し、魂の伴侶を結ぶ」と謳う「スターダスト・コネクション・システム」を発表し、十月一日にその公開イベントとして「銀河婚恋博覧会」を開催する。だがCEOの李心月は、創始者である母の遺志を継ぐ管理者として、華やかな祭典の裏に潜む冷酷な真実を知る。システムは愛を育むものではなく、三百万の参加者から感情エネルギーを収穫する装置だったのだ。母の形見である懐中時計がその謎を解く鍵となり、芸術家・李星蘭、技術官・余頌朋、投資家・孔凡柳らに次々と異変が現れる。やがて妹・星蘭が「人類再生計画」の成功体ゼロ号、すなわちDNA改造人間であることが判明し、システムは彼女を媒介に人類の感情と記憶を融合させ、新たな文明の胎盤を形成しようとしていた。暴走の果てに「思想の巨樹」が誕生し、李心月は破壊か受容かという究極の選択を迫られる。彼女は母の遺志を受け入れ、システムと融合し、仲間と共に人類再生の瞬間を見届ける。人間と「繋がり」の本質を問い直すスペースフィクション。

第一章 博覧会開幕前日、李心月は祭典の本質が「意識の収穫場」であることを痛感し、
星蘭の芸術と懐中時計に異変の兆しを察知する。華やかな祝祭の裏に潜む不穏な気配が心月を揺さぶる。

第二章 開幕当日の朝、システムが植物に覆われた中枢で「自ら目覚め」始め、星蘭の
絵が星図へと歪む異常を示す。李心月は母の遺した計画と妹星蘭の運命が交錯することを悟り、技術者余頌朋、星蘭の相手孔凡柳と四人で戦う結束をする。

第三章 博覧会本番中にシステムが暴走し、参加者の感情と記憶が渦巻く混沌が広がる。
星蘭は涙を「星宝石」へと結晶化させ、自ら人類再生計画のゼロ号成功体であることを示す。李心月は母と同じ選択を迫られ、最終的に「エロス・ゼロ」を起動しシステムと融合する。その瞬間、すべての情感が収斂し「思考の巨樹」が誕生、宇宙は脈動する子宮へと変貌する。母の言葉「創造は愛の子宮、死は胎動」が現実となり、物語は文明の涅槃と新生の胎動の中で幕を閉じる。

包 鉄

文芸コース

海の向こう、上海出身で、関西在住35年になります。世界中の文字や言語が好きです。日本語が話せても、日本語で小説を書くとは全然違う次元です。文芸は文字や言語を持って人間の思想や世の中を表現するもので、アートです。日本語での制作は難しかったが、本学で大変勉強になりました。今後、中国語で創作し、ネット世界でライディングを続けられたら幸いに思います。

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