尾上さんとお話をしてきました。

2月 25日, 2012年
カテゴリー : 過去の公演 

大嶋です。
暖かくなってきました。春も近い…と思いたいのですが、おそらくまた寒くなるんでしょうね…。
スギ花粉症の皆さんには、大変な季節がやってきました。私も程度はそんなに重くないのですが花粉症でして、最近少しハナがムズムズしたり、妙に乾燥したりしています。今年は例年に比べ飛散量が多くないようなのですが、花粉症の皆さん、頑張って耐えて乗越えていきましょう。

さて、先日オペラ「月の影」の作曲をされております尾上さんとお会いしてインタビューをしてきました。内容に関しては劇場のニュースレター等、他の媒体でも掲載されますのでお楽しみに!
ここでは、作品の簡単な紹介を、インタビューの内容を元に紹介したいと思います。

尾上さんはこの「月の影」を作られる前には仏陀の生涯を描いたオペラや親鸞、平家物語を元にした「藤戸」などのオペラを作られていました。ヨーロッパでの公演の際に海外のお客様から「世界最古の長編心理小説である『源氏物語』のオペラは作られないのですか?」と聞かれ、気になって調べ始めたのが作品創りの最初のきっかけだったそうです。
源氏物語には仏典からの引用の言葉が多いこと、ちょうど平安時代が『末法の時代』であったこと、仏典と源氏物語の構成や仏陀・光源氏それぞれの設定・役割など、源氏物語が仏教(仏典)と非常に密接に関わって作品が創られていることを発見し、これはぜひ作品としてつくらなければならないと思ったそうです。「この作品を創るために今までの作品があったのではないか」とまでおっしゃっていました。
仏陀は業を捨て、悟りを開く道を進んでいきましたが、尾上さんの作品の光源氏はその真逆のような立場で、末法の世界観を描いています。

ちなみに、この作品には紫式部の役がありまして、今回は女性と男性(!)のダブルキャストです。
男の世界も女の世界も仏教の思想もこれだけ知り尽くした、とてつもない偉業といえる作品を創る人なのだから、男・女であるというものを超越した人物であろう、という尾上さんの考えの元、男女のキャストになっております。男性はカウンターテナーではありません。
この試み、とても面白いですよね!

作品の中身を知る一助となりましたか?
また近々に、今度は尾上さんの生い立ちに関してお話したいと思います。

大嶋