2021年12月23日
アクティビティ
11月24日(水)、12月8日(水)22日(水)の3日間、学内教職員・学生対象のオンラインセミナー文哲研3days#4「物語の意味ーマンガ・アニメについて臨床心理学の視点から考える」をzoomにて開催いたしました。
文哲研3days#4「物語の意味ーマンガ・アニメについて臨床心理学の視点から考える」
講演者:岩宮恵子(島根大学人間科学部教授,島根大学こころとそだちの相談センター長)
講演日時・参加者:
①2021年11月24日(水)18:30-20:00
幼いこころと物語ー「となりのトトロ」と一体感について (参加者137名)
②2021年12月8日(水) 18:30-20:00
思春期の入り口の物語ー「千と千尋の神隠し」と自分のこころの「影」 (参加者107名)
③2021年12月22日(水) 18:30-20:00
依存と自立と不安の物語ー原作よりもアニメのほうが深い「アルプスの少女ハイジ」から (参加者86名)
*講演概要ほか詳細:http://www.kyoto-art.ac.jp/iphv/topics/4869/
【参加者感想(一部抜粋)】
*臨床心理という面から漫画やアニメを見るということを学べて面白かった。また、なぜこの作品に心惹かれるのかということや、年代によって好きだった意味合いが違うということがわかり目から鱗が落ちました。
*何歳になっても「一体感」が大切と知り、いろいろ考えさせられました。ありがとうございました。
*物語を臨床心理学の視点から読み解いていくという先生のお話しが大変興味深く、言葉に納得する場面が多かったです。恥ずかしながら感動のあまり泣きながらの受講となりました。
*アマテラス神とスサノオ神で一体感を説明したことが面白かったです。また、神話の神様を児童心理学的に分析したことで児童の心理を理解しやすかったです。外国人の立場で見ても全部共感できる内容だったので、やっぱり人の心理学は国境を越えて、全部同じなんだなと思いました。
*今まで「となりのトトロ」を観ていて言語化できていなかった事(意味も無く涙が出るとか)を話していただき、この映画自体をまた違った視点で冷静に観られるような気がしました。
*アマテラスとスサノオの性質からお話いただき、さつきとメイの心の状況がわかりやすく、理解しやすかったです。子供が行動化、身体化をおこしていることには理由があり、まわりの人として、気づいて対応できる人でありたいと感じたお話でした。
*1つの物語をある視点から考察する、ということが物語に深みを与えていることが如実にわかりました。とても繊細にこころの機微を描かれている作品だと感じられる、岩宮先生の解説がすてきだと思いました。
*このような講義を私が思春期の時に聞いたら、親に反抗心が浮かぶ時そんなに罪悪感をもたなくてもよかったのにと思うほど、過去の私にみせたい講義でした。私だけではなく6割の人が経験することで、親から独立するため必要な課程ということを今日知りました。私が親になったら必ず今日の講義の話を覚えていて、子供に言ってあげたいです。
*今回も若宮先生のおはなしに引き込まれました。とても勉強になりました、ありがとうございます。思春期のお子さんの気持ちが理解出来たような気がします。
*家族との一体感を感じ、10歳ごろからは自立へと向かえた人たちは幸せだと感じました。そういう過程が少しも感じられずに成長してしまった大人にも救いはあるのだろうかと考えさせられました。
*今まで、「千と千尋の神隠し」が、興行収入1位(かつて)になるほどの作品か、と思ってましたが、本日の岩宮先生のお話を伺って、私は上っ面しか見てなかったことに気づきました。「のみこむ母性」と「実らせる母性」。湯婆婆と銭婆。豚になった親と元にもどった親。とても興味深く拝聴いたしました。
*人に必要とされる自分を見つける、自分の影・母性の影と向かい合うことが生きる力へと向かうというのが印象に残りました。
*こんなにも細かく千尋の内面の成長や、湯婆婆と銭婆に感じる母性の二面性について解釈したことがなかったので、とても新鮮でした。子供、大人、心理学、様々な立場から数多の解釈の違いがあると思うのですが、私は、子供ながらに千と千尋は違和感の塊の作品であったし、何も知らない子供だから腑に落ちなかったり説明できないモヤモヤを感じていました。今回の先生の解釈は、そのモヤモヤを言葉にしたような納得感がありました。
*ハイジのある種、傍若無人?とも言える行動に笑ってしまいました。突撃!結果にコミット! 大人から見ると勘弁してよーと思ってしまう行動も、子供同士には救いであり重要なファクターなんだなと妙に納得しました。3回ともとても興味深くてためになりました。ありがとうございました。
*蛹になったからには必ず蝶になるという言葉に救われました。アルプスの少女ハイジは幼い頃に切れ切れにみていたのであまり詳しくなかったのですが、こんなにも深く豊かな心理描写があったとは驚きでした。登場人物たちの言動に共感を得られる部分が多く、素敵な作品だと感じました。
*ハイジの本を読んで心にうずく感覚が小さい頃からいつもあったのですが、それが今回心理的な考察として、言葉となって聞いた時、まさにこの事だと思いました。
*子どもとしての部分が死んで、大人としての自分に生まれ変わる。というような表現をしていて目から鱗でした。自分も周りも、思春期やそれにあたるような蛹の状態の人が多いと感じる昨今で、生死を繰り返しているなら余裕ないときもあるだろうと思えました。また、相手に対して今まで通りに接して見守っていいんだという安心感を得られたのもよかったです。
*幾つになっても、人生のうちに何度でもサナギの時代はある、という事実は刺さります。面白くも切なく、心に残るお話をありがとうございました。
*原作とは違ったクララが車椅子を手放す過程が、自分から依存対象を手放す、という自立の姿を描いているという解説を受け、全く新しい視点から改めて該当のシーンを見ることができました。クララが何故車椅子に座っているのか、何故そこから立ち上がるシーンがあるのかを思春期の発達心理の観点から考えたときに、とても奥深い示唆があることに感激しました。
ご参加いただきましたみなさま、ありがとうございました。
対面での開催が難しい情勢ではありますが、今後もzoom等を活用しながらセミナーや研究会などを開催する予定です。一般公開セミナー開催の際はこのホームページにてお知らせいたしますので、ぜひ楽しみにお待ちください。
2021年12月15日
アクティビティ
日程終了しました
1月12日(水)18:30より、文哲研オンラインセミナー「芸術研究の世界#8 日本庭園にみる屋外美術の可能性」を開催します。
このセミナーは、一か月に一、二回の頻度で、実施します。
セミナーの講師は、文部科学省科学研究費(通称:科研費)の研究代表者である、11名の本学教員です。
科研費は、人文・社会科学から自然科学まで、あらゆる分野の優れた研究を発展させることを目的として国から支給される研究費で、厳正な審査を経て採択され、数年間、申請した研究計画に沿って研究に取り組み、その成果を公表します。
オンラインセミナー「芸術研究の世界」では、本学の教員が現在取り組んでいる芸術研究について、その研究を発想した経緯や研究の面白さ、難しさなども含めて存分に語っていただきます。セミナーでの質疑を通して、参加者の皆さんとともに、芸術研究の奥行きと拡がりに触れる機会となることを願っています。
芸術研究の世界#8
「日本庭園にみる屋外美術の可能性」
講演者:町田香(大学院(通信教育)准教授、日本庭園・歴史遺産研究センター嘱託研究員)
日 時:2022年1月12日(水)18:30-20:00
対 象:京都芸術大学教職員、学生
【講演概要】
現代において日本庭園は、観光資源として鑑賞の対象といった側面が大きいと思います。しかし、日本庭園は、本来は生活空間としてつくられたものです。歴史的に、どのような人々が、どのように庭園を楽しんできたのか、庭園でどのような文化的営みが行われてきたのか、それらの復元的研究を行っています。
研究の過程で、自分では思いもよらない想像を超えた庭園での文化的営みの発見がありました。それは、装飾、仮装、演出に満ちあふれた演劇的遊興ともいえるもので、人と自然を〈美術〉が結びつけた、豊かな屋外文化の歴史が脈々とあったことがわかりました。
【講師略歴】
町田 香(まちだ・かおり)
北海道大学工学部建築工学科卒業。京都造形芸術大学大学院芸術研究科博士後期課程修了。博士(学術)。国際日本文化研究センター機関研究員などを経て京都芸術大学大学院(通信教育)准教授。京都芸術大学日本庭園・歴史遺産研究センター嘱託研究員など兼任。主に、日本庭園史研究、文化財庭園の学術調査、公開講座などに携わる。著書に『すぐわかる日本庭園の見かた』(共著)、『都市歴史博覧』(共著)、『京都を学ぶ【洛西編】-文化資源を発掘する-』(共著)ほか。
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【今後の予定】 (タイトルは科研の採択課題です。講演内容は追ってご連絡します)
1月19日 齋藤亜矢 描画のプロセスにおける想像と創造の関わりの検証
2月2日 増渕麻里耶 希土類元素に着目した古代鉄製品の非破壊製作地推定法の開発
3月2日 森田都紀 日本の芸能「能」の演奏技法の伝承過程に関する歴史的研究‐能管を中心に‐
※日程は講師の都合等で変更の可能性があります
日程 | 2022年1月12日 |
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時間 | 18:30 - 20:00 |
費用 | 無料 |
対象 | 京都芸術大学教職員、学生 |
申込方法 | 学内掲示板・学生専用サイト(通学・通信)をご確認ください |
主催 | 文明哲学研究所 |
2021年12月2日
アクティビティ
12月1日(水)18:30より、文哲研オンラインセミナー「芸術研究の世界#7」をzoomにて開催いたしました。
芸術研究の世界#7
「〈美術建築〉研究への道程と展望」
講演者:河上眞理(京都芸術大学芸術学部教授)
日 時:2021年12月1日(水)18:30-20:00
参加者:57名(京都芸術大学教職員・学生)
*講演概要ほか詳細:http://www.kyoto-art.ac.jp/iphv/topics/4879/
【参加者感想(一部抜粋)】
*建築、美術、西洋との融合など興味しかない分野を研究されている方のお話を聞くことができ、大変貴重な機会でした。知らないことばかり沢山のことを聞けて自分の視野だけでなく、考え方や資料の探し方、人物についての知見も広がりました。
*辰野金吾のすごさを改めて知りました。〈美術建築〉の〈 〉の意味もわかりました。ありがとうございました。あと、ラグーザ氏によって、パレルモに連れていかれたたまさんのことも気になりました。
*建築家は絵がうまくないと、というのはかなり説得力があると思いますが、その中でも、バージェス先生が「人物画を学べ」と言ったのは、ウィトルウィウスが『建築十書』で述べているシュムメトリアに通ずるような考え方のようにも感じました。
*辰野金吾の建築は以前から興味があり、大阪市中央公会堂にはよく行きました。以前住んでいて大好きなイギリスに辰野金吾のルーツがあったとお伺いしたので、イギリスが保管するウィリアム・バージェスについての資料を調べてみたいと思いました。
*インテリアの仕事をしていることもあり、「美術建築」・・・建築+美術は重要、全てを合わせてアート、とのお話は大変興味深く聞かせていただきました。また自分の足を使って本物を見に行く・宝探しをする、司書の方に相談、キーワードはいろんな方向から、バラバラに見えてもその人の中では繋がっている、等、今後何かを調べたり、レポートを書く上でのヒントを沢山頂き、ありがとうございました。
*辰野金吾氏のお話大変興味深く拝聴させていただきました。今まで明治時代の日本美術界の話にほとんど触れたことがなかったため、河上先生から入り口の前に立てたことは本当に良い経験となりました。これが難しい話に思えたり、今とはかけ離れた話ばかりだと食わず嫌いになっていたかもしれません。西洋美術を身につけようとした最初の時代は想像以上にオープンな議論が展開されていたようですね。今の時代は、わかり切ったことをいうと相手にされないような雰囲気があり、そういったところが美術の壁を高くしているように思えます。誰もが通る道をしっかり見つめ、同じように感じる、そういうところ、初心的なところを明治から学べるような気がしました。
ご参加いただきましたみなさま、ありがとうございました。
対面での開催が難しい情勢ではありますが、今後もzoom等を活用しながらセミナーや研究会などを開催する予定です。一般公開セミナー開催の際はこのホームページにてお知らせいたしますので、ぜひ楽しみにお待ちください。
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【文哲研オンラインセミナー「芸術研究の世界」】
このセミナーの講師は、文部科学省科学研究費(通称:科研費)の研究代表者である、11名の本学教員です。科研費は、人文・社会科学から自然科学まで、あらゆる分野の優れた研究を発展させることを目的として国から支給される研究費で、厳正な審査を経て採択され、数年間、申請した研究計画に沿って研究に取り組み、その成果を公表します。オンラインセミナー「芸術研究の世界」では、本学の教員が現在取り組んでいる芸術研究について、その研究を発想した経緯や研究の面白さ、難しさなども含めて存分に語っていただきます。セミナーでの質疑を通して、参加者の皆さんとともに、芸術研究の奥行きと拡がりに触れる機会となることを願っています。
【今後の予定】 (タイトルは科研の採択課題です。講演内容は追ってご連絡します)
1月12日 町田香 『四親王家実録』を中心とした近世四親王家の生活環境に関する復元的研究
1月19日 齋藤亜矢 描画のプロセスにおける想像と創造の関わりの検証
2月2日 増渕麻里耶 希土類元素に着目した古代鉄製品の非破壊製作地推定法の開発
3月2日 森田都紀 日本の芸能「能」の演奏技法の伝承過程に関する歴史的研究‐能管を中心に‐
※日程は講師の都合等で変更の可能性があります
2021年11月24日
アクティビティ
11月8日(月)15日(月)22日(月)の3日間、学内教職員・学生対象のオンラインセミナー文哲研3days#3「美学ー自然と文明を往来する思考」をzoomにて開催いたしました。
文哲研3days#3「美学ー自然と文明を往来する思考」
講演者:吉岡洋(京都大学こころの未来研究センター特定教授・文明哲学研究所客員教授)
講演日時・参加者:
①2021年11月8日(月) 18:30-20:00 「山と森、ひるねするたぬき」 (参加者51名)
②2021年11月15日(月) 18:30-20:00 「性愛の力、春画からボノボまで」 (参加者51名)
③2021年11月22日(月) 18:30-20:00 「ファルマコン、両義性の思考」 (参加者49名)
*講演概要ほか詳細:http://www.kyoto-art.ac.jp/iphv/topics/4843/
【質問と回答】(時間内にとりあげることのできなかった質問に 回答していただきました)
*境界を往還する際の危険とその事故例がありましたが、境界線上に取り残されてしまうという危険性を思いつきました。
→面白いですね、
【参加者感想(一部抜粋)】
*『境界線を行き来するということは、どちら側からも常に危険に晒されている。そういう危険をかわすテクニックを持ち合わせる必要がある』というお話も興味深かったです。トリックスター・道化のような立ち振る舞いもその一つになるのかなと思いました。
*「怪しさ」を許すという言葉が印象に残りました。私も、境界を行き来するたぬきのような柔軟さを持ちたいと思いました。
*すっかり吉岡先生のファンになってしまいました。「美学」は難しいという頭で、今日の講義について行けるか心配でしたが、先生の語り口や資料の提示のされ方が分かりやすくて夢中になりました。境界線を引いてそこを行き来する面白さと危険!魅惑的です。
*春画の性行為場面の横に、無邪気に子供が存在していることを初めてしりました。 子どももいずれ、大人になり、性行為をする立場になり、死を迎えるという意味では、大人と子供の間に本来的には境界がないことを示唆しているように感じました。 一方、現代の西洋社会では性的表現や暴力表現を子供に晒さないことは本当に徹底していて、成人と子どもの間の境界を感じます。このような西洋社会においては、何を以て、子どもはその境界を越え、大人になるのだろうか、と疑問に思いました。
*性愛についての話題は、人の根源的なものであるはずなのに、世界的に(いわゆる「先進国」的な世界ですが)タブー視がきつくなっていくような風潮を感じます。締め付けることで逆に歪んだ方向にいくのではと、現実的にニュースなど見ているとそう思います。なので、ぜひこのような話題をフラットに、発信していってほしいです。そうすることで、逆説的に差別とはなにか、人を思いやる・価値観を認めるとはどういうことか、ということを健康的に考えることができるのではないかと感じます。
*パブリックには聞くことのない講義内容でしたが、文化や生活の現場を真に理解するためには、むしろオープンになって行く必要があると感じました。
*江戸時代の春画の受容のおおらかさを知り、江戸時代には銭湯が混浴であったという話を思い出しました。当時の人々の境界線の薄さのようなものを感じました。
*春画は笑えると思っていたので、江戸の人々が春画を見て笑っていたと聞いて合点が行きました。
*今の芸術作品の数のお話を聞いて、美しいものや便利なものも、増えすぎて普通になると逆に毒になる(言い過ぎかもですが)場合があるのかなとも思いました。
*思考を鍛えること、余裕をもつこと、とても大切だと思いました。
*システムの中に、反システム的なものを内包するほど安定するという考え方、非常に興味深い考え方でした。
*「毒」のつく言葉は色々ありますが、『毒娘』と聞き、誰でも昔は娘であったことから、広い範囲を含有している言葉であることに気づきました。ファルマコンは、二元論の解毒作用として機能すること、また、わからないことを持ち続けること、両義性は昔の方がよくはたらいていたことなど、今の社会を読み解く視点を持つことができました。
*吉岡先生のセミナーを三回も受けられ、大変幸せな時間を過ごすことができました。ありがとうございました。また、他にも先生のお話を美学と生死をどう結びつけてお考えになられているのか、様々な事例を通して、ずっとお聞きしてみたい気持ちになりました。
ご参加いただきましたみなさま、ありがとうございました。
対面での開催が難しい情勢ではありますが、今後もzoom等を活用しながらセミナーや研究会などを開催する予定です。一般公開セミナー開催の際はこのホームページにてお知らせいたしますので、ぜひ楽しみにお待ちください。
2021年11月12日
アクティビティ
日程終了しました
12月1日(水)18:30より、文哲研オンラインセミナー「芸術研究の世界#7〈美術建築〉研究への道程と展望」を開催します。
このセミナーは、一か月に一、二回の頻度で、実施します。
セミナーの講師は、文部科学省科学研究費(通称:科研費)の研究代表者である、11名の本学教員です。
科研費は、人文・社会科学から自然科学まで、あらゆる分野の優れた研究を発展させることを目的として国から支給される研究費で、厳正な審査を経て採択され、数年間、申請した研究計画に沿って研究に取り組み、その成果を公表します。
オンラインセミナー「芸術研究の世界」では、本学の教員が現在取り組んでいる芸術研究について、その研究を発想した経緯や研究の面白さ、難しさなども含めて存分に語っていただきます。セミナーでの質疑を通して、参加者の皆さんとともに、芸術研究の奥行きと拡がりに触れる機会となることを願っています。
芸術研究の世界#7
「〈美術建築〉研究への道程と展望」
講演者:河上眞理(京都芸術大学芸術学部教授)
日 時:2021年12月1日(水)18:30-20:00
対 象:京都芸術大学教職員、学生
【講演概要】
本科研費の研究は日本の近代美術史及び近代建築史研究においてほとんど重視されてこなかった「家屋装飾」という分野を、美術と建築を横断する〈美術建築〉の観点から分析し、その歴史的位置付けを明らかにしようとするものです。家屋装飾についての既往研究では、美術か建築のいずれかの観点からしか論じられてきませんでした。本研究では、〈美術建築〉という観点から、美術と建築を繋ぐものとして家屋装飾を論じ、明治期におけるその歴史的位置付けを世界史的視野から再考しようとするものです。
今回の講演では、〈美術建築〉とは何か、〈美術建築〉研究への道程と今後の展望をお話ししたいと思います。
【講師略歴】
河上眞理(かわかみ・まり)
早稲田大学大学院博士課程在学中の1995年度イタリア政府奨学金留学生としてヴェネツィア・カ・フォスカリ大学文学部美術史学科に留学、翌年同博士課程に入学、2001年工部美術学校研究により同大学から博士号(Ph. D)を取得。留学中、在イタリア日本国大使館外務省専門調査員の職を得て日伊交流事業に従事。2007年、京都造形芸術大学芸術学部准教授。2018年より教授。
単書に『工部美術学校の研究―イタリア王国の美術外交と日本―』、共著に『松岡壽研究』、共著『ミネルヴァ日本評伝選 辰野金吾 美術は建築に応用されざるべからず』は2017年日本建築学会著作賞を受賞。
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【今後の予定】 (タイトルは科研の採択課題です。講演内容は追ってご連絡します)
1月12日 町田香 『四親王家実録』を中心とした近世四親王家の生活環境に関する復元的研究
1月19日 齋藤亜矢 描画のプロセスにおける想像と創造の関わりの検証
2月2日 増渕麻里耶 希土類元素に着目した古代鉄製品の非破壊製作地推定法の開発
3月2日 森田都紀 日本の芸能「能」の演奏技法の伝承過程に関する歴史的研究‐能管を中心に‐
※日程は講師の都合等で変更の可能性があります
日程 | 2021年12月1日 |
---|---|
時間 | 18:30 - 20:00 |
費用 | 無料 |
対象 | 京都芸術大学教職員、学生 |
申込方法 | 学内掲示板・学生専用サイト(通学・通信)をご確認ください |
主催 | 文明哲学研究所 |