2021年9月2日
アクティビティ
日程終了しました
10月6日(水)18:30より、文哲研オンラインセミナー「芸術研究の世界#5 謎のマンガ家-戦中の人気挿絵家・北宏二と韓国マンガの父・金龍煥-」 を開催します。
このセミナーは、一か月に一、二回の頻度で、実施します。
セミナーの講師は、文部科学省科学研究費(通称:科研費)の研究代表者である、11名の本学教員です。
科研費は、人文・社会科学から自然科学まで、あらゆる分野の優れた研究を発展させることを目的として国から支給される研究費で、厳正な審査を経て採択され、数年間、申請した研究計画に沿って研究に取り組み、その成果を公表します。
オンラインセミナー「芸術研究の世界」では、本学の教員が現在取り組んでいる芸術研究について、その研究を発想した経緯や研究の面白さ、難しさなども含めて存分に語っていただきます。セミナーでの質疑を通して、参加者の皆さんとともに、芸術研究の奥行きと拡がりに触れる機会となることを願っています。
芸術研究の世界#5
「 謎のマンガ家-戦中の人気挿絵家・北宏二と韓国マンガの父・金龍煥-」
講演者:牛田あや美(文明哲学研究所 准教授)
日時:2021年10月6日(水)18:30-20:00
対象:京都芸術大学教職員、学生
【講演概要】
北宏二というマンガ家を知っていますか。
彼は絵画を学びに戦前の日本へと留学にきました。そして当時の大人気少年誌『日本少年』『少年倶楽部』で挿絵を描いていました。
戦後は朝鮮で初めての職業マンガ家として活躍し、多くの新聞、雑誌で連載を持っていました。
朝鮮戦争を挟みこの謎のマンガ家は韓国、北朝鮮の新聞や雑誌でも描いていました。
1959年、アメリカ軍が発刊していた雑誌『自由の友』が日本で印刷されていたことから日本に戻ってきます。
日本に戻ってからも筆の力は衰えず、戦前に活躍していた『少年クラブ』に戻り、最終刊の最期のページを飾りました。また『週刊少年マガジン』にも描いています。
戦前戦後における国交のない時代の越境した活躍を中心に、ベールに包まれた謎のマンガ家の作品を繙きます。
【講師略歴】
牛田あや美(うしだ・あやみ)
トロント大学留学を経て、2006年日本大学大学院芸術学研究科芸術専攻博士後期課程修了。博士(芸術学)。
日本大学芸術学部オープン・リサーチ・センター整備事業ポスト・ドクター、日本大学芸術学部非常勤講師を経て、現職。
単著に『ATG映画+新宿 都市空間の映画たち!』(2007年D文学研究会)、共著に『横溝正史研究2-特集・ビジュアライズ横溝正史ミステリー』(2010年戎光祥出版)
『아시아 영화의 오늘 – 아시아 영화 미학과 산업 – (アジア映画の今-アジア映画美学と産業)』(2012年한울아카데미(ハヌルアカデミ))
『メディア文化論』(2013年ナカニシヤ出版)『メディア活用能力とコミュニケーション』(2016年大学図書出版)他。
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【今後の予定】 (タイトルは科研の採択課題です。講演内容は追ってご連絡します)
11月3日 天野文雄 アジアの舞台芸術創造における国際的な「ラボラトリー機能」の実践的研究
12月1日 河上眞理 〈美術建築〉の観点から見た明治期における家屋装飾の歴史的位置づけに関する研究
1月12日 町田香 『四親王家実録』を中心とした近世四親王家の生活環境に関する復元的研究
1月19日 齋藤亜矢 描画のプロセスにおける想像と創造の関わりの検証
2月2日 増渕麻里耶 希土類元素に着目した古代鉄製品の非破壊製作地推定法の開発
3月2日 森田都紀 日本の芸能「能」の演奏技法の伝承過程に関する歴史的研究‐能管を中心に‐
※日程は講師の都合等で変更の可能性があります
日程 | 2021年10月6日 |
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時間 | 18:30 - 20:00 |
費用 | 無料 |
対象 | 京都芸術大学教職員、学生 |
申込方法 | 学内掲示板・学生専用サイト(通学・通信)をご確認ください |
主催 | 文明哲学研究所 |
2021年9月2日
アクティビティ
9月1日(水)18:30より、文哲研オンラインセミナー「芸術研究の世界#4」をzoomにて開催いたしました。
芸術研究の世界#4「花咲ける『地方色』」
講演者:上村博(京都芸術大学芸術学部 教授)
日時:2021年9月1日(水)18:30-20:00
参加者:73名(京都芸術大学教職員・学生)
【講演概要】
今や地方芸術祭は花盛りです。各地で土地の色合いを反映した作品が創作されています。しかし実のところ、芸術に対して土地や場所の固有性が強調されるのは近代以降頻繁に見られます。
本講演では、芸術と土地を結びつける言説史をたどり、その背後にあるものは何なのかを、「1.地方色に求められているもの」「2. 地方色が期待される三つの要因」「3. 代償行為としての芸術」という話題の順に沿って考えたいと思います。
【講師略歴】
上村博(うえむら・ひろし)
1991年京都大学大学院文学研究科博士後期課程を中退。同大学助手、パリ第4大学研究員を経て1995年より本学。以来、主に社会人教育に携わる。
著書に『身体と芸術』(1998年)、共編著に『芸術環境を育てるために』(2011年)、共著に『日常性の環境美学』(西村清和編、2012年)、訳書に『美学への手引き』(C.タロン=ユゴン著、2015年)など。
【参加者感想(一部抜粋)】
*改めて歴史を学ぶことがいかに重要か、そしてその歴史もまた作られたものであるかもしれないと疑い、自分自身の心身で確かめようとすることが大切であるということを学ぶことができたように感じます。
*ノスタルジーのお話を聞いていた時に、過去に想いを馳せることは、今この瞬間も遠い未来でノスタルジーになるのかとふと思いました。今を必死で生きれば感じられるような気がしました。
*ローカルカラー、オリエンタリズム、ナショナリズム、ノスタルジーとそれぞれの意味するものを知ることができました。特にノスタルジーはもとはスイスの風土病のことであったとは興味深かったです。
*先生のお話は頭に様々な風景が浮かんでくるような語り方でしたので、あっという間に時間が過ぎました。実体験やその土地に触れた経験が作品に力を宿すという事例を先生から知り得たことが一番の収穫でした。やはり書物など文字のみで知るのと話者の熱弁を通して聞くのとでは受け取る情報がこうも違うのかと改めて思い知らされました。この経験も旅の経験と重なるのかもしれません。
*「作品がオリジナルのところにあるべき(見るべき)という事」は、たびたび考える事です。しかし、全体を通して先生がおっしゃっていたように、それが、「本来の意図でない」としても、つまり、この場合作品が作られた場所になくても、個人の作品に対峙する経験としては嘘では無いというか、それはそれで本当の美的体験だと考えた次第です。一方で、美術館で作品を見ることに慣れている現代の私たちとしては、やはり、オリジナルの状況に思いを馳せることもまた違った作品との体験をもたらすものだとも思いました。
*私自身は都会から見ればいわゆる「地方」出身者ですので、
*興味深いお話しありがとうございました。「同じ場所に置かれ続けると作品に根が生える」。新しいことも続けば伝統になるということにつながるのかなと思い
【質問と回答】(セミナー後のアンケートで寄せられた質問に 回答していただきました)
ご参加いただきましたみなさま、ありがとうございました。
対面での開催が難しい情勢ではありますが、今後もzoom等を活用しながらセミナーや研究会などを開催する予定です。一般公開セミナー開催の際はこのホームページにてお知らせいたしますので、ぜひ楽しみにお待ちください。
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【文哲研オンラインセミナー「芸術研究の世界」】
このセミナーの講師は、文部科学省科学研究費(通称:科研費)の研究代表者である、11名の本学教員です。科研費は、人文・社会科学から自然科学まで、あらゆる分野の優れた研究を発展させることを目的として国から支給される研究費で、厳正な審査を経て採択され、数年間、申請した研究計画に沿って研究に取り組み、その成果を公表します。オンラインセミナー「芸術研究の世界」では、本学の教員が現在取り組んでいる芸術研究について、その研究を発想した経緯や研究の面白さ、難しさなども含めて存分に語っていただきます。セミナーでの質疑を通して、参加者の皆さんとともに、芸術研究の奥行きと拡がりに触れる機会となることを願っています。
【今後の予定】 (タイトルは科研の採択課題です。講演内容は追ってご連絡します)
10月6日 牛田あや美 日本統治下の漫画家・北宏二/金龍煥の懸隔
11月3日 天野文雄 アジアの舞台芸術創造における国際的な「ラボラトリー機能」の実践的研究
12月1日 河上眞理 〈美術建築〉の観点から見た明治期における家屋装飾の歴史的位置づけに関する研究
1月12日 町田香 『四親王家実録』を中心とした近世四親王家の生活環境に関する復元的研究
1月19日 齋藤亜矢 描画のプロセスにおける想像と創造の関わりの検証
2月2日 増渕麻里耶 希土類元素に着目した古代鉄製品の非破壊製作地推定法の開発
3月2日 森田都紀 日本の芸能「能」の演奏技法の伝承過程に関する歴史的研究‐能管を中心に‐
※日程は講師の都合等で変更の可能性があります
2021年8月19日
アクティビティ
8月18日(水)18:30より、文哲研オンラインセミナー「芸術研究の世界#3」をzoomにて開催いたしました。
芸術研究の世界#3「 Open design studies」
講演者:白石晃一(京都芸術大学芸術学部 准教授)
日時:2021年8月18日(水)18:30-20:00
参加者:46名(京都芸術大学教職員・学生)
【講演概要】
近年デザインの分野において「オープンネス」という言葉を頻繁に聞くようになりました。講演者は、開かれた市民工房「ファブラボ」での実践や、科研採択研究「デジタルファブリケーション初学者に向けた設計支援マテリアルライブラリの構築」を通じ、デザインを開くことの意味と、その先にある可能性と不可能性を、Research Through Designの手法で研究を進めています。本講演では、これらの研究進捗と展望を共有いたします。
【講師略歴】
白石晃一 美術家(現代美術), 研究者(ヒューマンコンピュータインタラクション)
金属造形やデジタルファブリケーションの技術を使い機械やコンピューターを組み込んだ彫刻を制作、 自身でパフォーマンスを行ったり、観客参加型のイベントを仕掛け、公共空間を中心に発表を行う。
様々なフィールドにいる人たちと共にプロジェクトを展開・実践するため、デジタルファブリケーションを中心とした様々なツール・技術を使い、誰もが共創できる市民工房「ファブラボ北加賀屋」を共同設立。
近年の研究課題
・インターネットを利用した知識・技術伝承システムの開発
・共創活動の持続的組織構造の構築と実践
・公共空間における芸術表現を実現する方法論とその影響
【参加者感想(一部抜粋)】 (白石先生よりいただいたコメントも、併せて掲載しております)
*自分の研究分野が芸術(ものづくり)とこども、幼児教育への接続にあるので、「失敗」の記録に着目されている点にとても共感しました。こどもが育つプロセスで失敗が許されないような、または失敗しないような大人からの働きかけを感じます。素材を触りながら、たくさんの失敗の中から大人もこどもも学べると楽しいだろうなと想像が膨らみました。
―子供の学習というのも面白いテーマですよね。今わたしも幼児と一緒に生活しているので、重要性を強く感じるのですが、なかなか手を出しずらい部分でもあるのかなと思っています。先生が行われている取り組みも聞いてみたく、ぜひ事例共有などしていただけますと幸いです。
*大変ワクワクするお話をありがとうございました。同時に、少し心配にもなりました。身体性が、作る側と使う側に伴ったうえで、困難な状況にある人々にこのオープンデザインが届くと良いなと感じました。
―インクルーシブデザイン(包摂的デザイン手法)も広義のオープンデザインの一分野と思います。包摂性を考える場合、構造としてのシステム(法律やメソッドなど)を設計するということも重要なのですが、体感としては身体性や精神性をないがしろにするとうまくいかないという印象です。寄り添いすぎも、疲弊の原因になるので難しいのですが。
*本職がマテリアル・プロセスの研究開発ですので、大変興味深く聞かせていただきました。私は、いっけん失敗が許されないようにみえるエンジニアの中心にいて、「失敗を通じた創造」の存在を感じます。
私たちは失敗を恐れたり生産プロセスの効率化を求めるあまり、規格や前例を参照してモノをつくっています。それがまるでお互いを数値やルールによる監視をしているようで、魅力的な製品の製造を妨げているように思うのです。デザインの現場がものづくりのシステムやマインドを取り入れるのと同じように、私たちが「間違った道具の使い方はエラー」ではなく「活動的だ」と思えるマインドを取り入れ、オープンに創発するにはどうしたらよいのだろう考えてしまいます。
―同じような問題意識を持った現場の方からこのようなご意見を頂けて大変光栄です。また、現場で面白い事例などありましたらぜひ共有いただければ幸いです。
*クロステックデザインという学問を、今回初めて知りました。工学的なモノは無機質で冷たいイメージがありますが、芸術学の視点から介入することで、美しいモノが造られていくのではないかと想像しました。
難しそうな分野ではありますが、未来を創造している分野を知ることができ、ワクワクしました。
―クロステックはまだ学問分野としてしっかりと定義できていないのですが、引き続き考えていけたらと思っています。越境的な学際融合は徐々にではありますが実際に起きています。私自身の活動もそうなのですが、旧来の分野単体で閉じられない研究活動がどうしてもでてしまっており、結果として未分類なものになってきているのかなと。旧来の学問分野としての定義は境界を作るということと同義なので、この辺アンビバレントな気持ちでいます。何かいいアイデアあったら教えてほしいです。
*デジタルではないですけど伝統工芸の作家のものづくりをオープンに見られるようになれば興味が増えて後継者も増えるように思いました。
―技術継承などの問題に京都工芸繊維大が積極的に取り組んでいらっしゃいます。また技術の数値化などの研究も進めていらしたような?気がします(確からしい情報でなくすみません)。
https://repository.lib.kit.ac.jp/repo/repository/10212/2249/
*失敗するケースを見られるのはものすごく面白かったです。大体料理の作り方は失敗すると作る気がなくなるので、失敗例を見てそのポイントの方が成功よりも大切ですし楽しいような気がします。
―成功体験とやる気の問題は重要ですよね。しかし、レシピとは違ったけどうまい!という体験もある種の成功なのではと考えています。
【質問と回答】
*オープンデザインでは素材を営利目的には使えないということですが、グレーなもの二次利用など、そういった部分で苦労されていること、もめている事例などはあるのでしょうか?
―著作権の部分的選択(クリエイティブコモンズ)によって、商業利用可とすることもできます。これに関しては現行法ではグレーになりがちな部分を、可能な限り白黒に分けようとする取り組みだと考えています。係争の例ですが、オープンハードウェアとして開発され、世界中で使われているArduino というマイコンも商標の利用などのオープン化されなかった部分でもめて、分裂しその後和解しました。二次利用については、そこに「ちょっと待った!」を言う権利を開いているので顕在化しづらいです。もやもやする事例は聞いたことありますが、ここでの公開は控えておきます。(どこかで会った時にでも!)
*デジタルの人はオープンにすることに抵抗感がないようですが、アナログな工芸の分野からすると驚きです。先生も最初は抵抗感ありましたか?権利ビジネスなどで、誰が原案者か、など揉めることは少ないんでしょうか?
―権利をビジネス化しないというのがオープンデザインにおいての戦略なので、公開前に厳密な調整が必要です。アイデアだけでは、権利として主張することができないので、物質化されたものだけになりますが、現行法において共同著作なども認められており、権利保持者全員での話し合いがなされなければ、開くことは不可能です。(無理に開いてもその後クレームがつくかもしれない)また、共同研究に特化したものですが、情報共有と公開に関する事前契約に関してもフォーマットが公開されており、だれでもアクセスできるようになっています。
https://www.ycam.jp/archive/others/grpcontractform.html
個人的には、先行研究を調査していると過去の人々の発展の上に自身の研究・制作が成り立っているのをひしひしと実感します。自分のアイデアというものがどこまでがオリジナルなのかあいまいになっていく感覚があり、狭い範囲で権利を主張することに少し虚しさを感じるので、オーサーシップを一人に集中するような主張はしないことが多いです。
*オープンデザインを公開するときの審査機関などはあるのでしょうか?
―審査機関はありませんが、公開にあたっての権利の在り方に対しての取り組みはあり、それがクリエイティブコモンズです。
https://creativecommons.jp/licenses/
ご参加いただきましたみなさま、ありがとうございました。
対面での開催が難しい情勢ではありますが、今後もzoom等を活用しながらセミナーや研究会などを開催する予定です。一般公開セミナー開催の際はこのホームページにてお知らせいたしますので、ぜひ楽しみにお待ちください。
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【文哲研オンラインセミナー「芸術研究の世界」】
このセミナーの講師は、文部科学省科学研究費(通称:科研費)の研究代表者である、11名の本学教員です。科研費は、人文・社会科学から自然科学まで、あらゆる分野の優れた研究を発展させることを目的として国から支給される研究費で、厳正な審査を経て採択され、数年間、申請した研究計画に沿って研究に取り組み、その成果を公表します。オンラインセミナー「芸術研究の世界」では、本学の教員が現在取り組んでいる芸術研究について、その研究を発想した経緯や研究の面白さ、難しさなども含めて存分に語っていただきます。セミナーでの質疑を通して、参加者の皆さんとともに、芸術研究の奥行きと拡がりに触れる機会となることを願っています。
【今後の予定】 (タイトルは科研の採択課題です。講演内容は追ってご連絡します)
9月1日 上村博 芸術活動における「地方色」の受容と創出
10月6日 牛田あや美 日本統治下の漫画家・北宏二/金龍煥の懸隔
11月3日 天野文雄 アジアの舞台芸術創造における国際的な「ラボラトリー機能」の実践的研究
12月1日 河上眞理 〈美術建築〉の観点から見た明治期における家屋装飾の歴史的位置づけに関する研究
1月12日 町田香 『四親王家実録』を中心とした近世四親王家の生活環境に関する復元的研究
1月19日 齋藤亜矢 描画のプロセスにおける想像と創造の関わりの検証
2月2日 増渕麻里耶 希土類元素に着目した古代鉄製品の非破壊製作地推定法の開発
3月2日 森田都紀 日本の芸能「能」の演奏技法の伝承過程に関する歴史的研究‐能管を中心に‐
※日程は講師の都合等で変更の可能性があります
2021年8月16日
アクティビティ
日程終了しました
9月1日(水)18:30より、文哲研オンラインセミナー「芸術研究の世界#4 花咲ける『地方色』」を開催します。
このセミナーは、一か月に一、二回の頻度で、実施します。
セミナーの講師は、文部科学省科学研究費(通称:科研費)の研究代表者である、11名の本学教員です。
科研費は、人文・社会科学から自然科学まで、あらゆる分野の優れた研究を発展させることを目的として国から支給される研究費で、厳正な審査を経て採択され、数年間、申請した研究計画に沿って研究に取り組み、その成果を公表します。
オンラインセミナー「芸術研究の世界」では、本学の教員が現在取り組んでいる芸術研究について、その研究を発想した経緯や研究の面白さ、難しさなども含めて存分に語っていただきます。セミナーでの質疑を通して、参加者の皆さんとともに、芸術研究の奥行きと拡がりに触れる機会となることを願っています。
芸術研究の世界#4 「花咲ける『地方色』」
講演者:上村博(京都芸術大学芸術学部 教授)
日時:2021年9月1日(水)18:30-20:00
対象:京都芸術大学教職員、学生
【講演概要】
今や地方芸術祭は花盛りです。各地で土地の色合いを反映した作品が創作されています。しかし実のところ、芸術に対して土地や場所の固有性が強調されるのは近代以降頻繁に見られます。
本講演では、芸術と土地を結びつける言説史をたどり、その背後にあるものは何なのかを、「1.地方色に求められているもの」「2. 地方色が期待される三つの要因」「3. 代償行為としての芸術」という話題の順に沿って考えたいと思います。
【講師略歴】
上村博(うえむら・ひろし)
1991年京都大学大学院文学研究科博士後期課程を中退。同大学助手、パリ第4大学研究員を経て1995年より本学。以来、主に社会人教育に携わる。
著書に『身体と芸術』(1998年)、共編著に『芸術環境を育てるために』(2011年)、共著に『日常性の環境美学』(西村清和編、2012年)、訳書に『美学への手引き』(C.タロン=ユゴン著、2015年)など。
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【今後の予定】 (タイトルは科研の採択課題です。講演内容は追ってご連絡します)
10月6日 牛田あや美 日本統治下の漫画家・北宏二/金龍煥の懸隔
11月3日 天野文雄 アジアの舞台芸術創造における国際的な「ラボラトリー機能」の実践的研究
12月1日 河上眞理 〈美術建築〉の観点から見た明治期における家屋装飾の歴史的位置づけに関する研究
1月12日 町田香 『四親王家実録』を中心とした近世四親王家の生活環境に関する復元的研究
1月19日 齋藤亜矢 描画のプロセスにおける想像と創造の関わりの検証
2月2日 増渕麻里耶 希土類元素に着目した古代鉄製品の非破壊製作地推定法の開発
3月2日 森田都紀 日本の芸能「能」の演奏技法の伝承過程に関する歴史的研究‐能管を中心に‐
※日程は講師の都合等で変更の可能性があります
日程 | 2021年9月1日 |
---|---|
時間 | 18:30 - 20:00 |
費用 | 無料 |
対象 | 京都芸術大学教職員、学生 |
申込方法 | 学内掲示板・学生専用サイト(通学・通信)をご確認ください |
主催 | 文明哲学研究所 |
2021年8月5日
アクティビティ
8月4日(水)18:30より、文哲研オンラインセミナー「芸術研究の世界#2」をzoomにて開催いたしました。
芸術研究の世界#2「近代日本画の歴史的展開の究明-日本画家荒井寛方の生涯と作品を手掛かりに」
講演者:三上美和(京都芸術大学芸術学部 准教授)
日時:2021年8月4日(水)18:30-20:00
参加者:54名(京都芸術大学教職員・学生)
【講演概要】
科研の課題は、明治から昭和戦前期に活躍した日本画家、荒井寛方(1878-1945)の画業です。
寛方は一般にはほとんど知られていませんが、官展や院展という近代日本画をリードした画壇で、仏画を中心に制作しました。大正期にはインドのタゴールの招きにより渡印し、アジャンター石窟寺院を模写し、晩年には法隆寺金堂壁画模写にも携わるなど、文化財保護にも尽力しました。
講演では寛方の画業と、寛方研究に至る経緯や今後の研究についてお話ししたいと思います。
【講師略歴】
三上美和(みかみ・みわ)
2006年、学習院大学人文科学研究科博士後期課程満期退学(2008年「原三溪と日本近代美術」にて博士修得)。2006年より東京国立近代美術館工芸課客員研究員として勤務する傍ら、大学の非常勤講師を勤め、2011年より本学通信教育部芸術学科勤務。
主著『原三溪と日本近代美術』(国書刊行会、2017年)。主要論文「今村紫紅筆『護花鈴』試論―成立過程と文化史的背景をめぐって―」(2005年、『美術史』第159冊)、「富本憲吉の初期色絵作品と大原孫三郎の後援について」2007年、『東京国立近代美術館研究紀要』第19号、「日本美術協会主催『歴史風俗画展覧会』について」(2007年、『明日を拓く日本画「堀越泰次郎記念奨学基金」奨学生作品集』「堀越泰次郎記念奨学基金」堀越友規子)
【参加者感想(一部抜粋)】
*日本画、仏画などは、勉強不足ですが、美術の流れを知ることはこれからの作品つくりには重要になってくると思うので、これからも参加させていただきたいと思っております。
*荒井寛方の魅力が良く伝わりました。原三渓からの繋がりで、研究領域が更に広がり深まっている様子は、研究者としての先生の側面を伺うことが出来、とても学びとなります。
*原三渓から、三渓が支援した画家へ、研究を繋げていく過程に大変興味を持ちました。原三渓と荒井寛方の交流の実際はどのようなものだったのかなど、研究成果をまた拝読させていただきたいと思います。
*歴史画から始まってインドへ渡り、晩年は法隆寺金堂壁画の模写と、より根源的な部分を追求していく流れが研究の姿勢と重なって興味深かったです。
*荒井寛方について今まで書籍の一部やメディアの小話程度しか認知しておりませんでしたので、研究者の先生の貴重なお話を聞くことができて大変感動しております。お時間があれば社会的な時代背景も見ながら解説をお聞きできればもっとイメージしやすかったのですが、そこは今後自分で知識を積みげながら今日のお話を思い出したいと思います。
*最近、明治期から現代の日本の美術を調べていて、今まで自分が思っていた「日本美術」とは何だったのかと考えていました。荒井寛方のこともまったく知らなかったのですが、こういった明治から昭和初期にかけては時代に埋もれてしまった画家がたくさんいるんだろうなと改めて思いました。
【質問と回答】 (時間の関係でお答えできなかった質問に 回答していただきました)
ご参加いただきましたみなさま、ありがとうございました。
対面での開催が難しい情勢ではありますが、今後もzoom等を活用しながらセミナーや研究会などを開催する予定です。一般公開セミナー開催の際はこのホームページにてお知らせいたしますので、ぜひ楽しみにお待ちください。
——————————————————–
【文哲研オンラインセミナー「芸術研究の世界」】
このセミナーの講師は、文部科学省科学研究費(通称:科研費)の研究代表者である、11名の本学教員です。科研費は、人文・社会科学から自然科学まで、あらゆる分野の優れた研究を発展させることを目的として国から支給される研究費で、厳正な審査を経て採択され、数年間、申請した研究計画に沿って研究に取り組み、その成果を公表します。オンラインセミナー「芸術研究の世界」では、本学の教員が現在取り組んでいる芸術研究について、その研究を発想した経緯や研究の面白さ、難しさなども含めて存分に語っていただきます。セミナーでの質疑を通して、参加者の皆さんとともに、芸術研究の奥行きと拡がりに触れる機会となることを願っています。
【今後の予定】 (タイトルは科研の採択課題です。講演内容は追ってご連絡します)
8月18日 白石晃一 デジタルファブリケーション初学者に向けた設計支援マテリアルライブラリの構築
9月1日 上村博 芸術活動における「地方色」の受容と創出
10月6日 牛田あや美 日本統治下の漫画家・北宏二/金龍煥の懸隔
11月3日 天野文雄 アジアの舞台芸術創造における国際的な「ラボラトリー機能」の実践的研究
12月1日 河上眞理 〈美術建築〉の観点から見た明治期における家屋装飾の歴史的位置づけに関する研究
1月12日 町田香 『四親王家実録』を中心とした近世四親王家の生活環境に関する復元的研究
1月19日 齋藤亜矢 描画のプロセスにおける想像と創造の関わりの検証
2月2日 増渕麻里耶 希土類元素に着目した古代鉄製品の非破壊製作地推定法の開発
3月2日 森田都紀 日本の芸能「能」の演奏技法の伝承過程に関する歴史的研究‐能管を中心に‐
※日程は講師の都合等で変更の可能性があります