- 2019年4月26日
- 日常風景
歴史遺産学科への招待-増渕麻里耶先生が語る文化財科学-
こんにちは。歴史遺産学科の副手です。
歴史遺産学科の教員紹介インタビュー第5弾と題して、
今回は「文化財科学」ご専門の増渕麻里耶先生です!
増渕先生はこの春より歴史遺産学科に着任されました。
先生のご専門分野について、大学で学べることについて詳しくお話を伺いましたので、ぜひご覧ください。
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Q1:先生のご専門分野を教えてください。
文化財科学です。特に遺跡から出土した金属製品を詳しく調べ、
いつ、どのように作られたかを解き明かす研究をしています。
私が学んだ英国ではArchaeometallurgyと呼ばれていて、単に分析や観察から技術を推定するだけではなく、
当時の社会や文化的背景と照らし合わせその技術が育まれた理由を考える文理融合した学問です。
この他にも、いわゆる「文化財科学」の専門家として、歴史学や保存修復のプロの方たちと一緒に
チームで仕事をしてきました。
国内外の様々な文化財、例えば古い漆工品や壁画に使われた顔料、僧院や王宮址の壁材の分析、
戦時中に開発された軍用機エンジンの特殊鋼の材質調査など、
また、展示室や収蔵庫での保存環境調査などを行いました。
Q2:文化財科学とは具体的にどのような分野なのでしょうか?
私はよく医学に例えるのですが、我々が病気や怪我をしたとき、お医者さんに診てもらうために病院に行きますよね。
特に現代の医療では、お医者さんの勘や経験だけでなくいろいろな検査をして、
科学的根拠に基づいた処置や投薬が行われています。
ここで患者を文化財、お医者さんを保存修復士とするならば、文化財科学、特に保存科学の専門家は、
検査技師や薬の特性を知り尽くした薬剤師にあたります。
一方、最近はテレビドラマでもよく法医学が取り上げられていますが、死者に対しても医学は意味を持つわけです。
その人がどんな人で、いつ、どうして死んでしまったのかを解き明かし、
特にドラマの中ではその人が生きた本当の意味が伝えられていきます。
この法医学医を考古学者とするならば、文化財科学の中でも考古科学者は検査技師であり、
特にArchaeometallurgyの専門家は法医学者そのものの役割も担います。
Q3:先生がこれまでにされてきた研究、またその分野において大学で取り組むことの出来る活動について教えてください。
私個人の研究テーマとしては、世界で初めて鉄を利用したヒッタイト文明の
鉄器製作技術の解明を目指して研究を続けています。
でも今、芸大である本学への着任を機に考えているのは、鉄に限らず、
古代のいろいろなものづくりの技術について実験を通して学生さんたちと一緒に実証していきたいということです。
また、興味や意欲のある学生さんには、国内外での文化財保存の最前線での体験の機会を
なるべくたくさん提供したいと考えています。
ミャンマーの僧院での調査の様子
©東京文化財研究所
Q4:海外の文化財保護について教えてください。
私はこれまでに西アジア、東南アジアのいくつかの国々で文化財保護事業に関わってきました。
国が違えば文化遺産の時代や種類、それを護る仕組み、保護活動に従事する人たちを取り巻く状況、
そして社会状況もすべてが違います。
そのような多様性の中で日本を見つめなおしたとき、どうしても長所だけでなく
まだ足りないところも見えてきてしまいます。
・・・この話を始めると長くなるので、詳しくは別の機会に。
Q5:歴史遺産学科で学ぶにはどのような授業がありますか?
歴史遺産学概論での座学を通してまずは文化財科学の概念を理解します。
歴史遺産学基礎実習では文化財科学の方法論を学び、科学分析を実際に体験します。
そして、歴史遺産プロジェクト演習では、古代のものづくりの復元実験を行います。
Q6:学生や受験生へのメッセージをお願いします。
今目の前にある文化財を通し、過去に生きた人々に思いを馳せるのがこの分野のロマンです。
そして、日々様々な分野の専門家がその文化財を守るために力を合わせています。
そこに客観性や論理性を加える文化財科学の世界はとても広く奥行きがあり、
みなさんの人間性を高める貴重な経験がたくさん待っていると思います。
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増渕先生、ありがとうございました。
今後、増渕先生の実習の様子についてもご紹介いたします!
また、4/27(土)、4/28(日)に開催される春のオープンキャンパスでは、
先生に直接お話を聞くことができる機会となっておりますので、インタビュー中にあった海外でのご経験についても
是非、お話を聞きにいらしてください!
春のオープンキャンパスの詳細は下記をご覧ください。
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〇春のオープンキャンパス開催のお知らせ〇
4/27(土)、4/28(日)に今年度はじめてのオープンキャンパスが開催されます!
学科ブースでワークショップ体験、キャンパス見学ツアー、大学全体説明会と
イベント目白押しです!
歴史遺産学科のブースでは、「陶芸の名品をつなぎ合わせて復元しよう」、「世界最古の記録方法である拓本の体験」、「挽き抹茶自手前」などの3つのワークショップを実施します。
また、教員相談コーナーで先生からじっくりお話を聞いたり、
現役の学生に学生生活や学びについても聞ける機会となっております!
高校1、2年生も参加可能です。ぜひ学科ブースに遊びにきてくださいね!
4/27(土)、4/28(日)春のオープンキャンパスの詳細はこちらから!
参加が難しい方は、今後のオープンキャンパスの予定をこちらよりご確認ください!
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