- 2019年10月5日
- 日常風景
ゼミ通ヒーローズ Vol.11~伊藤舞と「Japan Expo」について語るの巻 Part 1~
ゼミ通ヒーローズ Vol.11
伊藤舞と「Japan Expo」について語るの巻 Part1
今回のゼミ通ヒーローズは、村上ゼミ2年生(12期生)の伊藤舞さん(大阪成蹊女子高等学校出身)
をピックアップします。
村上
そういやこのゼミ通という企画の主旨をまだ話してなかったね。
伊藤
聞いていないですね。
村上
そもそも「ゲームゼミ」って何やってるか分からないという疑問に答えるための企画として、今年の頭からスタートさせたんだけど、
伊藤
あー、確かに分かりにくいですもんね。
村上
外野からは単に「ゲーム作ってるんでしょ?」って思われてる。
そりゃま確かにゲーム作るんだけどさ。
ただデジタルゲームの作り方を教えるだけみたいな印象を持たれてるんじゃないかと思ってね。
ゲームだけじゃなくて遊び全体を研究するところなんだって広く浸透させていきたいわけ。
かといって、我々のゼミはこんな活動をしていますってテキストにまとめたって誰も読まないし伝わるとも思ってない。
高校生や新入生に対して「先輩方がこんなことやってます」って言ったら一発で伝わるし、自分の近い将来のビジョンが見えるので一石二鳥かなと。
パリで開催されたJapan Expo2019のステージイベントにて、似顔絵制作の実演をする伊藤さん
村上
伊藤は絵が上手いからイラストゼミに行くものだと思ってたんだけど、ゲームゼミが第一希望だったから驚いたんだよね。
1年のときのグループワークでも、イラスト担当でありながらかなり積極的にゲーム企画に入り込んでたから「ゲームが好きなんだなぁ」くらいに思ってたんだけど。
伊藤
昔から絵を描くのは凄く好きで、ずっと続けてることなんですけど、それと同じくらいゲームも子供の頃から好きでした。
父親が凄くゲームが好きな人で、大人になっても小学生に混じってゲーム屋さんに並んだりして。
その影響からか小さい頃から「将来の夢は?」と聞かれたらゲーム関係で絵が描ける仕事に就きたいって言ってましたね。
高校生の時にこの大学に行くって決めて、村上先生とオープンキャンパスで話をさせていただいて、
村上
オープンキャンパスで話したっけ?
伊藤
…覚えてないと思うんですけど。覚えてます?
村上
お、おう。覚えてる覚えてる。
伊藤
本当ですか?絶対嘘(笑)
村上
いや、本当に覚えてるって。制服着てきたよね。
伊藤
着てないです。
(中略)
伊藤
芸術大学って絵を描いてばっかりなのかと思ってたら、ゲームも作れるし発想法も磨けるし、色々出来るって分かって、それでここに決めたんです。
だから実は入った時からゲームゼミ志望でしたね。…て、ずっと言ってたのに、村上先生全然覚えてくれない(笑)
村上
いや、覚えてる覚えてる(笑)
伊藤
もういいです。
(中略)
伊藤
企画をやりたいっていうよりは、チームとしてゲームの企画があってそれにデザイナーとして参加したいという感じで、
そこはプランナー志望の学生とは少し違うかも知れないですけど。
村上
今はゼミの内容的に絵を描くことがあまりないよね。周りのデザイナーに振ることの方が多いんじゃない?
伊藤
振ってはいましたけど、やっぱり最終的にはこちらで絵を加えたりとか、クォリティを一定に保つために結構描いてましたね。
今思えばそれが正解だったのかどうか悩ましいんですよ。ちょっと出しゃばり過ぎてしまったというか…。
思ってることを全部ストレートに言ってしまう癖があるので、ちょっとそこは反省点です。
村上
そのプロジェクトとは別に、今年度はJapan Expoという大きなイベントがあって、
パリでの出品に向けて全ゼミ合同で一つのものを作るという一見無謀とも思える企画が動いてたわけだけど、そこについて触れてみようかな。
伊藤
まあ色々ありましたね(笑)。でもうちらは企画をやって全体の方向性をまとめたりで、最初は大変でしたけど、
その後でイラストを描いたりアニメーションをつけたりする他のゼミの人たちに比べると全然ラクだったのかなと。
どのゼミも短い期間であの膨大な作業量をよくこなしたなと思ってビックリしました。
村上
確かに、よく間に合ったよね。
伊藤
各ゼミの皆さんが頑張ったのもありますけど、やっぱり全体を束ねたプロデュースゼミの力なのかなと思いますね。
Japan Expoにかける想いはプロデュースゼミのリーダーのお二人から色々聞いていて、本当にすごいなと思いました。
村上
石鍋先生(プロデュースゼミの担当教員)が最後の最後まで「学生を信じる」って言い切ってたところがゼミ生に伝わったのかもね。
「やれ」って強制されるんじゃなくて、信じてくれてるなら頑張るしかないっていうね。
今「ゲーム制作応用」の授業では、強制ではなく誘導の力を使って人を動かすという研究をしてるんだけど、強制でも誘導でもなく「信じる」ってすごいなって思うね。
で、今回はJapan Expo用のコンテンツとして「メンコ」を企画・制作したわけだけど、そのいきさつを説明してくれる?
伊藤
まず2年生ゼミで決めたというよりは、3年生のゲームゼミの方で先にメンコのアイデアが出てたんです。
その話を聞いた瞬間に2年生も全員「メンコ、ええやん」ってなって、それに追従する形になりましたね。
村上
メンコって聞いてどう思った?
伊藤
昔ながらの日本の文化だし、遊びの要素も発展させやすそうというか、色んなアレンジもできそうだし、逆に今までにないなって思いました。
それに非言語ゲームだと言葉の通じないフランス人でも楽しく遊び合えるんじゃないかなと思って、凄くいいと思いました。
村上
多分そこがウチらしさなんだろうね。最初にプロデュースゼミからオーダーとしてあったのは「トレーディングカード」。
ゲーム性よりも絵を見せることを中心にした企画にして欲しいっていうこと。
伊藤
Japan Expoのブースで実演販売というか、学生と一緒にフランス人来場者にも遊んでいただくというのを計画してたじゃないですか。
でも実際にはブースが思ったよりも狭くて、その場での実演はできなかったんですよね。似顔絵コーナーを設けていて、6人が座るともう一杯一杯で。
村上
元々は、日本の文化を伝えるということと、言葉はなくてもその動きを見てるだけで楽しいとか、更には絵柄の美しさで勝負できるという。
古さの中から新しさを見つける横井軍平イズムでゲームゼミらしい企画にはなっていたと思うけどね。
伊藤
「枯れた技術の水平思考」ですね。
村上
それでもプロデュースゼミのお陰で、全部のゼミを絡めて実現するという意味ではうまくまとめたな、って気がするね。
実際に出来上がったものを遊んでみてどうだった?
伊藤
メンコって思いのほかひっくり返らないんですね(笑)
村上
あれ実は上から叩きつけて風圧でめくるんじゃなくて、横からスライドさせてカードの下に潜り込ませると案外簡単にひっくり返ったりする。
伊藤
下に入ったらそれでOKとか、擦り抜けてもOKとか。地方ルールだけでも色々あるみたいですね。
でも企画段階では、素材とか大きさ、形、あと投げ方を含めて色々検証しましたけど、結局できたものでもちょっと難しかったですね。
村上
自分が子供の頃はもっと頻繁にひっくり返ってたような記憶があるんだけどね。
何度も遊ぶうちに厚紙がだんだんしなってきて、形が歪になるからどんな風にひっくり返るかも分からなくなってそれが面白いというか。
Japan Expoの会場で販売されたメンコ用カード
村上
そういえば現地で、カードを単体ではなく箱で買ってくれた人いたよね。ブースの壁紙も欲しいとか言われて。
伊藤
なんか、すごく気に入ってくれてましたね。やっぱりキャラクターイラストの力なんですかね。
絵が可愛いというだけじゃなくて、これで遊ぶこともできるっていう楽しみ方の広がりがあったのも大きかったと思いますね。
村上
似顔絵と抱き合わせで販売してたのも大きいかもね。
Japan Expoのブースにて。一枚描く度にお客様との記念撮影をしました。
伊藤
似顔絵の人気は本当にすごかったですね。前半、特に一日目はかなりヤバくて…。
京都造形大だけじゃなくて京都市のブースの方も並行して運営していたので、お客さんも次から次へと途切れることがなくてどんどん増えていって、
椅子を全部お客さんに渡して私たち描き手は地面に座って描いて、できるだけたくさんの人に入っていただけるようにしてましたね。
本来似顔絵担当ではなかった先輩も駆り出されて皆で休憩なしで回してました。
会期の後半には村上先生と小岩先生(音楽プロデュースの担当教員)が合流されて、
そこからお客さんが大勢いる時でも無理矢理休憩をとるようにしてローテーションを組んでいったので何とかなったんですけど。
村上
徐々に認知されてきてるのか、年々人気が出てきてるね。
そもそも似顔絵は予定になかったんだけど、一人の学生が何となく近くにいたフランス人の似顔絵を描いてプレゼントしたら喜ばれて。
そんなに社交的なタイプではない学生だったんだけど、そこから急に自信がついて楽しくなってきたみたいでどんどん無料で描き始めて、
「似顔絵コーナー始めます!」て勝手に言いだしたんだよね。そしたらガンガンお客さんが入ってきて二時間待ちの行列になったっていうのがそもそもの始まり。
あれれ、なんだか凄いことになってきたぞ。どうしよう、みたいな。
伊藤
今年も、最初は10€で始めたんですけど、あまりにも大勢来るし全然現場が回らなくなったので、人を減らすために15€に値上げしたんですよ。
それでも行列が途切れなかったですけど…。それを考えたら、最初に無料でやってたっていうのが信じられなくて…壮絶な状況だったんでしょうね。
Part2に続く