- 2019年10月7日
- 日常風景
ゼミ通ヒーローズ Vol.11~伊藤舞と「Japan Expo」について語るの巻 Part 2~
村上
似顔絵と言いながら、ただ単に似せるんじゃなくて「キャラクター化する」ていう考え方が人気の要因だったのかも知れないね。
フランス人からしたら、せっかく日本からアーティストが来てるんだし、似てる絵を描いてもらうよりはジャパニーズ萌えキャラ風にアレンジしてもらったり、日本人であることの価値を求めて来てる印象はあったね。
伊藤
確かに、可愛くとか格好良くとか、そういうディフォルメがあったから人気があった気がします。ステージのイベントでも似顔絵やりましたしね。
村上
フランスで、25 万人が来る会場のステージを使って、
セーラー服を着て似顔絵描くんだから、そりゃ大勢見に来るよね。
伊藤
セーラー服はともかく本当に貴重な経験をさせてもらいました。その時はもう必死でしたけど、後から写真を見返してみて「あ、こんなことやってたんだ」てなりました。
村上
あとはエヴァンゲリオンの新作のプロモーションも重なって、日本のキャラクターコンテンツの力を見せつけられたね。
伊藤
ゆるキャラとかアイドルとか。
あとはゲームのエリアだけでも凄い密度が高かくて全然先に進めないっていう。
任天堂のブースがとにかく大きくて豪華で、試遊の行列も長くて、
任天堂ブースだけでビットサミット一個分丸ごと入るくらいの規模で圧倒的でしたね。
村上
なんかゴリラみたいな体型で黒服サングラスのボディガードが大勢並んでて…あんな光景ギャング映画でしか見たことない(笑)
伊藤
ゴリラて(笑)。
ポケモンとかゼルダとか新作の試遊で並ぼうかなと思ったんですけど、
人が多すぎて諦めましたね。
村上
我々が最初にJapan Expo に参加したときは、
「スプラトゥーン」が目玉商品で、会場はとんでもないことになってたよ。
あの時の様子を思い出すだけでも鳥肌立つもん。
伊藤
「スプラトゥーン」ですか!?それはかなりヤバいですね。
どんな騒ぎになったか想像つかないです。
村上
でも実際どうだった?任天堂の主力商品としては
「マリオメーカー2」と「ルイージマンション3」と「ゼルダの伝説夢をみる島」
ってことで、日本で見たら「ああ、新作ですな」で終わるんだろうけど。
伊藤
異国の地で日本のコンテンツにあれだけの人が群がるところを見ると、
改めて「日本って凄いんだな」て思いましたね。
村上
外に出て初めて知るってことあるよね。
村上
さて、今度は伊藤の作品について触れていこうかな。
伊藤
まだ2年生だし勉強中なので何とも言えないんですけど、
とにかく丁寧に仕上げることを意識してますね。
まだまだ構図だったりキャラクターのデザインだったり、
そういうところはまだ勉強中なんですけど、
最終的に仕上げる段階で雑なところって直せるじゃないですか。
そういう自分で直せるところはできるだけ面倒臭がらずに
全部直そうとは意識してます。
「高解像度」ってよく言われますね。絵の雰囲気が。
株式会社Happy Elements との合同授業「ゲーム制作特殊演習」での課題作品
村上
伊藤の作品はとにかく繊細で丁寧な印象を受けるね。メインのツールは何?
伊藤
Clip Studio です。
中学生の頃からずっとClip Studio を使ってたので、
将来のことを考えてというよりは、昔から使ってたからその流れで今も使ってるっていうだけですね。
今はClip Studio が主流になってきてラッキーって感じです。
村上
最近だとスマホアプリのibisPaint が流行ってるね。
以前学生が授業中にスマホをいじって凄いスピードで両手の親指を動かしてるから、てっきりゲームで遊んでるのかと思ったら実は絵を描いてて驚いた。
しかも割とクォリティの高い絵をサクサク描いていくんだよね。
あれを見たとき時代の変わり目を感じたね。
伊藤
先日のオープンキャンパスでもそれは思いました。
高校生のほとんどがibisPaint で絵を描いてるんですよね。
「絵見せて」て言ったらみんなibisPaint を起動させるんです。
私が対応した高校生たちがたまたまそうだったのかも知れないんですけど。
村上
この間うちの小4 の娘からも「ibisPaint 入れて」ってお願いされて、
何でそんなの知ってるの?って聞いたらYouTube で見たって。
普通に発光レイヤーとかクリッピングマスクを使いこなしてて、
なんだか凄い時代になったなぁって思ったね。
伊藤
あれ結構本格的に描けるんですよね。
学生もiPad で絵を描くのが主流になってきてますしね。
もうパソコンすら使わないっていう。
村上
伊藤が描く絵ってキャラクターがメイン?
伊藤
そうですね。将来的にもキャラクターのイラストでやっていけたらとは思ってますけど、まだ具体的にどの企業でどんなことをして、というビジョンはなくて、作風も含めてまだ模索中ですね。
企業のこともよく分からないので、いくつかの会社のインターンシップに応募している段階です。
村上
2 年生からインターンか。偉いね。
伊藤
先生が応募しろって言ったじゃないですか(笑)
村上
ゲームのデザインって言っても、キャラクターだけで構成されてるわけじゃないしね。背景がありUI がありエフェクトがあり。
また演出のことも理解しないといけないし。
だからキャラクターだけ描けてもねぇ、というのを理解してほしくて早い段階でのインターン参加を勧めてるんだよね。
伊藤
世界観の表現みたいなものも勉強していかないと、とか、表現手法の幅を広げたくて焦ってます。
村上
なるほど。伊藤の拘りのポイントって何?さっき「丁寧さ」て言ってたけど、プロの世界ではそんなことは当たり前なので…。
伊藤
見本になる好きなイラストレーターさんの絵とか、好きなゲームのキャラクターの絵とか、そういうのを参考にしてずっと描いてきたんですけど、
本当にありそうな感じっていうんですかね、商品化されてるゲームの中に本当にいそうなキャラクターっていうのを意識してますね。
でもまだ自分らしさがどこにあるかは見つけられてないです。
ちゃんとデッサンを始めたのは美術系の高校に入った頃からで、授業以外にも居残りして描いてたりとか。
大学に入ってから他の課題に追われてあまりデッサンが出来てないですけど…。
村上
人生哲学ってある?
伊藤
高校の時に、クラスにものすごく絵の上手い人がいて、ずっと徹夜をしてクォリティを追い求めてるんです。
とにかくすごい頑張り屋さんだったので、その様子を見ながら、自分ももっと頑張らなきゃって思って色々なプロジェクトの参加やコンペの応募をしたりしましたね。
やらない理由がなければとにかく全部やろうかなって思ってます。
村上
それはポジティブな理由でいいね。やる理由がなければやらない、ていう言い訳ははよく聞くけど。
伊藤
生きざまとか人生哲学ってほどではないですけど、そういう自分の中にある行動指針みたいなものは持ってます。
村上
自分も、残り人生の時間を考えると、とにかく色々首を突っ込んでみようとは思うね。
とりあえずやってみたら何らかのネタにはなるだろうし。
ネタ探しのための人生って感じもするね。
他の人にはない経験をたくさんしたくて。
伊藤
色々ネタ持ってますよね。海外旅行で銃を向けられたりとか(笑)
村上
あれは単にテロリストに間違えられたからだな。
「あそこの人怪しいですよ」って誰かが通報したんだと思う。
伊藤
人相悪いですもんね。
村上
ハッキリ言うね。
でもそういう経験から、実際に銃を向けられたらどんな風に目線が泳ぐかとか、ネットで調べても分からない情報が蓄積するわけでしょ。
絵を描くにしても企画をするにしても、役に立たない情報はないからね。
ゲームゼミにはアグレッシブな感じの学生が多いし、皆で色んな経験をして色んなことを吸収していってくれたらいいんじゃないかな。
ではそろそろ時間なのでこの辺でお開きにしましょう。
今日はありがとうございました。
伊藤
ありがとうございました。