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2020年3月19日  学生紹介

王吟賀と「ゲームのストーリーについて語るの巻」 Part2

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ゼミ通ヒーローズ Vol.21

 

Part1はこちら

 

村上 今回の制作期間は?

 

 ずっとシナリオだけを書いていたわけではなくて、

少し書き進めたらイメージ画を描いて…これを交互にやって全体像を明確にしていきましたね。

だから実際にシナリオを全部書き終わらせたのは後期の中盤なんですよ。

前期はシナリオを中心に、卒業制作の中間合評に間に合うようにキャラクターの立ち絵とキービジュアルを仕上げました。

 

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卒業制作作品『桃夭』のキービジュアル。

 

村上 合評の時に提示したキービジュアルはかなりインパクトがあったね。

作品のテーマを的確に表現していて、構図も色彩も素晴らしく美しい。

 

 なんか、細かい絵を細かく描くのが好きなんですよ。

今回のゲーム用としては、表情差分も含めてヒロインの服装が3パターンあったんですけど、

宮廷の服だけで表情を70個くらい描きまして、他は…もう覚えてません…。

男性キャラクターは150枚くらい描いたと思います。

 

村上 実際に中国でのロケハンもあって、膨大なシナリオと膨大な絵のデータの作成をして、

そこからゲームの世界観を伝えるための展示の設計や準備にも時間をかけて作り込んで…。

本当に大変な作業だったね。

 

 好きなことなので楽しかったですよ。

 

村上 確かに、制作中は本当に楽しそうに書いてたもんね。

ずっとセリフを呟きながらニヤニヤ笑ってたところが印象的だった。

今度はこれをゲームの媒体に落とし込んだ時に、読み物ではなくてゲームストーリーとして、

つまり遊ぶものとして工夫したポイントはある?

 

 やはりゲームである以上、インタラクティブな遊びとしてのストーリーを見せなければいけないので、

物語を分岐させることと、その中のパラメーターとして、「好感度」と「運命度」というものを組み込みました。

好感度は既存商品などによくあるパラメータで、攻略キャラクターとの愛情を示すものです。

運命度は、これが高ければ、好感度を問わずに直接「史実エンド」に向かうというものです。

要するに歴史に沿った形の展開ですね。史実エンドへの選択肢は普通は政治絡みの内容と関わってます。

運命度は恋愛感情以外のものに心を揺さぶられるということなんです。

例えば、蕭寧さんの第四章で「逃げる子供の後を追うかどうか」という選択肢がありまして、

もし子供を追うと、ここで初めて未央が平民の感情に触れることができて、

苦しんでるのは自分だけじゃないと気付くんです。

それによって、以前だと知ろうとはしなかったことを知ろうとしたり、行動が変わってきます。

そういった行動によって運命が変わっていくという展開になっています。

 

村上 そもそも悲しい歴史の話だし、史実エンドだからといってそれがグッドエンドというわけではないよね。

何がプレイヤーにとって良いエンディングなのかはあまりハッキリさせてないところが面白い。

ちなみに、物語の中に選択肢を組み込むポイントは何か法則があるの?

 

 物語は序章と本編の四章で構成されていまして、一章ごとに選択肢を2つずつ組み込んでいます。

ストーリーを読み進めていく上で78分に一回分岐が訪れるくらいのテンポ感になるので、

モチベーションの維持にはちょうど良い設計になってるかなと思いますね。

 

村上 演出的に工夫したところはある?

 

 やはり恋愛ものとして定番の見せ場ですね(笑)。

 

村上 定番の見せ場ね、ドキドキするよね(笑)。

全体を通してストーリー展開も文章もちゃんとしてるので、盛り上がるポイントが心得られてるなと思った。

 

 ありがとうございます。

 

村上 作業としては、二週間で一章完成するくらいのペースで書いてたかな。

内容自体は全く問題なくて、たまに誤字の指摘をするくらいで。

まるで連載小説作家の編集者になった気分で、毎回新作を楽しみにしながら待ってる感じだった。

ちなみに、普段はどんなゲームで遊ぶの?

 

 大学に入るまでは乙女ゲームしかやったことがなかったんですけど、

この大学でゲームを学び始めてからは経営シミュレーションゲームを少しやりました。

アクションゲームだと『トゥームレイダー』ですね。

アクションゲームでもストーリーがしっかり作り込まれているものは好きですね。

乙女ゲームの中でも、スケジュールを埋めるだけでイベントをこなしていくような

作業的なタイプのものはあまり好きじゃないんです。

好感度を上げ下げするような事件がたまに起こるだけとか。

特にスマホ用の乙女ゲームは普通は凄く短いんです。

展開の面白さというよりは、そこに登場するキャラクターとのやりとりによる

パラメータの変動が面白いってことですよね。

でもやはり読み物として成立するくらい作り込まれたストーリーが好きです。

私はオトメイトさんの作品が好きで、

一番最初にやったのが『薄桜鬼』という日本の新選組の話なんですけど、

最近だと『ニル・アドミラリの天秤』ですね。これは大正時代の話です。

 

村上 やっぱり時代物が好きなんだ。

個人的に乙女ゲームは避けてきたので実はよく分かってないんだけど…。

 

 乙女ゲームは、コーエーテクモさんから発売された『アンジェリーク』が発祥で、

これがヒットした後、ストーリーの中にパラメータを組み込んで、

読み物というよりゲームとして面白くする方向で『ときめきメモリアル』が出たと思います。

年々新しいシステムを搭載して進化しつつあるんですけど、

今回私が作ったものはキャラクター選択系のゲームで、これは既に市販されているタイプのオーソドックスなシステムです。

その他は、一本のストーリーの中に複数のキャラクターが登場して、

その中で誰との好感度を上げていくかというタイプのものになります。

そこには共通ルートというものがあって、その中の好感度によってキャラクターごとのルートに分岐していきます。

 

村上 君はストーリーの設定や展開に対して拘りがあるけど、ではストーリーを作る上で大事なこととは?

 

 まずはちゃんと感情移入できる物語であることですね。

ゲームの感情移入って二種類あると思ってるんですけど、まず一つ目はヒロインへの代入です。

つまりヒロインになり切って物語を体験するというものです。二つ目は傍観者としてヒロインを見守る形です。

 

村上 その時の感情移入の違いって何?

 

 自分の娘を見てる感じなんでしょうか。成長を見届けるというか。

 

村上 アクションゲームでいうと、完全にプレイヤー=主人公になるよね。

マリオとピーチ姫の関係性を外から傍観するって事はないし、この二人の将来がどうなろうと知ったこっちゃない。

ピーチ姫は監禁されてる身でありながら手紙を送ってきたりするから、

案外快適に暮らしてるやんけ、て余計なことを考えてしまう。

それよりも、自分がマリオになって飛んだり跳ねたりする方がゲームとしては面白いわけで。

で、今回作った『桃夭』はヒロインになりきって展開するんだね。読んだ感覚は男女で違うのかな。

 

 そうですね。違うと思います。

 

村上 女子は完全になり切れるんだと思うけど、

今回シナリオのチェックをしていてもどうしても男子目線で見てしまうから、

なり切るということはできなかったな。

選択肢がきたらその時ヒロイン目線で考えるという感じかな。

その場の状況そのものを楽しむ感じで読んでた。

 

 今回は二つのストーリーに分けていて、各ルートの中で二人の攻略キャラクターが出会うことはありません。

でもお互いの言葉の中では少しだけ触れる場面があります。

一つのルートで遊ぶと必然的にもう一つのルートでも遊びたくなるように

好奇心を掻き立てるようなシナリオ構成にしています。

 

村上 読む順番はどっちが先でも良いのね?

 

 はい、そこは自由です。

あと、今回詩をたくさん入れたんですけど、唐の時代は誰でも詩を作る時代だったので、

これは欠かせないと思って入れました。私自身も詩がとても好きですし。

できれば日本の人にもこの詩の美しさを伝えたいと思っています。

 

村上 詩の翻訳は苦労してたよね。中国語を直訳しても美しさのニュアンスがうまく伝わらないって。

多分そこは中国人にしか分からない微妙な空気感もあると思うんだけど、

どう訳せばその空気が伝わるかはだいぶ試行錯誤したね。

 

 日本には和歌があるので、古文っぽく訳したりしましたね。

私が自分で作った詩も一つ入れてあります。ストーリーの中では主人公が作った詩という設定なので、

ここはどうしても先人のものを使いたくなくて。

それは簫寧さんの第三章の上元節で詠んだ詩なんですけど、

「正月中旬紅蓮夜、火樹銀花万灯明。」「千門鉄鎖争相開、笙歌舞袖動帝京。」というものですね。

あと、笑い話をする掛け合いがあって、そこにはちゃんとした答えはあるんですけど、

主人公の未央はとても真面目な人なので、この笑い話を真面目に受け取り過ぎて普通に返してしまったんですよ。

その時の対句もヒロインのキャラクター性が出るように、ちゃんと言葉が対照的になるように意識して書きました。

対句とはそういうものなので。

 

村上 最近だと日常生活でも「表現」というより

「説明」ばかりになっていて言葉のやり取りに情緒が失われてきてるから、

こういう詩を読み解く面白さとか、何かを感じ取る面白さをプレイヤーに味わってもらえると良いね。

 

 そうなると嬉しいです。

 

村上 さて、君はこの春に学部を卒業した後は大学院で

更に深くゲームとストーリーの関係性を掘り下げていく形になるけども、もうシナリオの構想はあるの?

 

 はい。また同じように時代設定から突き詰めていっています。

初唐と盛唐については史書に残されてるものがたくさんあるし、中唐は今回書いたので、それ以外でと考えていて。

私が二番目に好きな時代が民国なので、この時代を書こうかなと。

近代史は中国人にとって屈辱と抗いの激動の時代で、とても魅力があります。

 

村上 その動乱の世の中で揺れ動く乙女心を描きたいと。

 

 そういうことです。舞台は19201930年代の上海です。具体的な年はまだ決めていません。

でも中国共産党は1921年で成立しましたので、その後の第一次国共合作と、

合作が破裂した後の10年内戦期に関わる内容になります。

今回は攻略キャラクターが3人登場します。

 

村上 だいぶ雰囲気変わるね。ていうかまた物語のボリュームが凄いことになっていそうで期待してます。

ということで、また引き続き頑張ってやっていきましょう。

 

 はい、ありがとうございました。

 

※王さんの作品『桃夭』はこちらURLから実際にプレイしていただけます。

 

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