文化財保存修復・歴史遺産コース

【歴史研究クラブ ご参加ありがとうございました!】ハンコの祖先「円筒印章」をつくってみよう!その②

前回では、ハンコの歴史について学びました!今回は円筒印章の制作をご紹介します!

 

実際に円筒印章を粘土と円柱の発泡スチロールを使って、制作していきます。

当時も現在も印章は所有者と物を結びつける役割を果たしていましたが、当時は特に他の人と区別するために、ユニークなデザインが多く使われていました。

 

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まずは、粘土に絵の具を混ぜ込み、オリジナルの印章にしていきます。当時の円筒印章と同じく個性が大切ですね!

 

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次に円筒印章に彫り込んでいくデザインを考えます。円筒印章は転がして印影をつけるハンコなので、再現したいデザインと鏡写しのデザインを彫る必要があります。そのため、アイデア用紙に正転のデザインを描いた後に、反転のデザインを描いていきます。頭の体操ですね!

 

⑥歴史研究クラブ①

 

オンラインで参加している方にも制作手順が分かるように、増渕先生お手製のYouTube動画を見ていきます。いつでも見返すことができるので、オンライン参加している人も安心して授業を受けられますね!

 

本番に挑む前に円柱の発泡スチロールを使って試作をします。

爪楊枝を使って、デザインを彫り進めていきます。細かい作業ですが、みなさん集中して取り組んでいました!!

 

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さて、実際にデザインを彫れたら、次はいよいよ印影を転写していきます!思ったとおりのデザインが浮き上がるかドキドキですね・・!

 

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おっ!!きれいにデザインが浮き出ていますね!!文字に挑戦した方もいい感じです!!

 

試作ができたら、次は本番の色をつけた粘土にデザインを彫りこんでいきます。粘土は乾かすのに時間がかかるため、陰影の転写の作業はすぐにはできません。試作の陰影と共に乾燥させて、作品として完成させてくださいね。

 

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最後に増渕先生より、まとめのレクチャーです。

円筒印章の制作途中で参加者の方から、「当時は石材やガラス等の固い材料にどのようにして模様を彫っていたのですか?」という質問をいただきました。円筒印章のような石の加工に、先の尖った今でいうキリの形をした道具や、弓の弦を引く力を応用したドリルのような道具が使われていた様子が当時の壁画から確認がされています。このように制作の途中を示す壁画等の資料が、そのまま発見されたらラッキーですが、そのようなケースはごく稀のようです。多くは、使用した道具の遺物や制作痕等を分析観察して、明らかにしていくようです!

今回の歴史研究クラブを通して、①当時より自分だけのマークを押すことや書くことによって、所有者と物の関係性を持たせていたこと、②ハンコの歴史を読み解くことで、なぜハンコが今まで継承されてきたのか、残し続ける「価値」とは何か、を学べました!

 

さて、今回で歴史研究クラブに興味を持ってくれた方へ、次回の歴史研究クラブのご案内をします!

次回、202126日(土)14001600(対面での実施)

「拓本で考古学者に挑戦してみよう」を行います!下のURLから詳細をご確認いただけます。

この日は、卒業展も開催している日なので、是非お申込みをお待ちしております!!

https://www.kyoto-art.ac.jp/bukatsu/

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