文化財保存修復・歴史遺産コース

特別講義-日本通運株式会社「文化財を守る仕事」

こんにちは、歴史遺産学科です。

 

2021年7月9日(金)の「歴史遺産学概論Ⅱ」では、日本通運株式会社 関西美術品支店の徳田さんに、特別講義をしていただきました。

徳田さんは、美術品輸送33年、本社教育担当7年のキャリアをお持ちで、また2009年より梱包移送専門家としてエジプトにて文化財輸送を指導されている、いわば文化財輸送のスペシャリストです。

当日は、お仕事で着用されている制服姿で講義をしてくださいました。こちらの制服は文化財を傷つける可能性のあるペンなどが入れられないように胸にポケットがなく、ボタンも表に出ていません。また、ベルトのバックルも表に出ず、隠れるようになっています。すごく工夫がされていますね。

 

日本通運株式会社には60年以上の歴史を持つ美術品事業部があり、美術品輸送業界においては国内最大手です。

 

1964年の「ミロのヴィーナス展」、1965年の「ツタンカーメン展」を担当されたと聞けば、その歴史と輸送技術の確かさが伺えます。

 

文化財輸送の目的は主に3つあり、「所有者の移転に伴う移動」「作品の調査・研究」「展覧会に出品」だそうですが、現状は90%以上が展覧会に出品のための輸送だそうです。

 

大事な文化財を輸送するためには、確かな梱包技術が必要になってきます。

 

 

こちらは会社所有の練習用の仏像で、梱包の練習をしているところです。

仏像に直接触れる部分は、化学変化を起こさないよう紙のみを使用します。

 

こちらは、道成寺の重文、千手観音立像を梱包されているところです。

 

しっかり固定されているので、寝かせても大丈夫です。

 

輸送は基本陸路で、鉄道よりは車での輸送がメインだそうです。鉄道は事故率が低く、渋滞がないですが、車での輸送はドアツードアが可能で、クーリエ(学芸員など作品に同行する輸送の監督者)の添乗も可能になります。そのため、日本通運株式会社の美術品専用車には、人員が6、7名乗車できるスペースが確保されており、トラックとしては大変珍しい構造になっています。また、エアコン、加湿機、エアーサスペンション、作品の固定金具、セキュリティーオートロックなどもついているそうです。乗車してみたいですね!

 

海外輸送の場合は船か航空機になりますが、航空機による輸送が基本だそうです。

ドラクロワの「民衆を導く自由の女神」は、超大型貨物機、通称ベルーガで輸送されました。

 

以上のように、文化財を輸送するために様々な工夫がされていることを知ることができました。

 

講義を聞いた学生からは以下のような感想が寄せられました。

 

「普段行っている美術館の裏側ではこのようなことが事行われていると知り、現場のリアルな声を聴けて勉強になった。」

「以前から輸送の仕事に興味があったが、もっと調べてみようと思った。」

「文化財を守るために制服に工夫がされていることに驚いた。」

「仏像を輸送するときは、しっかりと魂を抜く法要をしてから彫刻に戻すことに驚いた。」

 

日本通運株式会社関西美術品支店では歴史遺産学科の卒業生2名も活躍中です。インターンシップを受け入れてくださるとのことで参加者をつのったところ、すでに多くの学生が名乗りを上げています。現場でしっかりと体験してきてくださいね!

 

徳田さん、ご講義ありがとうございました!

 

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さて、歴史遺産学科では以下の日程で、「歴史研究クラブ」のオンラインワークショップを行います。

 

歴史研究クラブ オンラインワークショップ

//////  写真立てを作って、伝統的な屏風の構造を学ぼう! //////

 

こちらは、試作品の屏風の写真立てです。大学の正面大階段からの写真を使いました。

皆さんも、ご自身の好きな写真をご用意くださいね。

 

7月24日(土)13:00~16:00 Zoom

7月25日(日)13:00~16:00 Zoom

※両日とも、同じ内容です。お申込みいただいた方に、材料を事前にご自宅にお送りします。

 

<お申込みはこちらから ↓> 

 

 

//////  8/1 (日)ブース型オープンキャンパス //////

※紙漉き体験、紙繊維の顕微鏡観察、土器の接合体験、歴史遺産クイズの盛り沢山4つのワークショップをします!

<お申込みはこちらから ↓>

//////  8月28日(土)、8月29日(日)体験授業型オープンキャンパス //////

 

「歴史遺産を読み解く方法」

私たちの周りには古い建築、工芸品や絵画、庭園や遺跡など、たくさんの歴史遺産があります。専門家はこれらから、作られた年代や当時の技術、修理の有無や本物か偽物かまで、一目で読み取っていきます。なぜそんな事ができるのでしょうか。ポイントは目の付け所です。今回は皆さんにその技を現地でお教えしましょう。

 

<お申込みはこちらから ↓>

みなさんのご参加をお待ちしております!

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