歴史遺産学科

山崎隆之先生特別講義「仏教美術とその保存修復」

こんにちは、歴史遺産学科です。

 

11月17日(水)「歴史遺産学基礎実習Ⅲ」の授業において、昨年に引き続き客員教授(愛知県立芸術大学名誉教授)の山崎隆之先生に特別講義をしていただきました。テーマは「仏教美術とその保存修復」です。

 

まず始めに、仏像の種類、釈迦の生涯についてお話いただきました。

 

残念ながら明王だけはありませんが、教室には如来、菩薩、天部と歴史遺産学科所有の仏像も勢ぞろいです。

 

山崎先生がお持ちくださった伎楽面です。

 

 

『袈裟』の説明では、山崎先生がお持ちくださった袈裟を使って、どのように纏うのかを実際に見せていただきました

袈裟は、何枚もの布が継ぎはぎされて一枚の布になっています。

 

こちらの輪袈裟の内側は幾重も布が重なっています。

 

衲衣の着装例(通肩)

 

腰への巻き方を教えていただきました。

 

次に、仏像の損傷と修理についてご講義いただきました。

ほとんどの仏像が長い歴史の中で、さまざまな損傷を受けてきました。損傷の種類としては、表層の漆箔彩色の剥落、干割れと腐食、虫蝕と鼠害、火災、地震による被害などがあります。

そして、それらの仏像の修理方法も時代によって変遷していきますが、修理例の中には興味深い事例が沢山あります。

 

 

東大寺の大仏は、完成直後から頭部の脱落などにより数度の修理が行われました。現状では、顔は江戸時代、上半身は室町時代の後補となっており、天平当初部は右の胸から腹部の一部と膝周囲、蓮弁の大部分のみです。また当初像の復元試案によると、正面から見ると異様なプロポーションの像も、下から見上げると正常な姿となるよう計算されており、当時の技術の高さがうかがえます。

 

 

こちらは秋篠寺技芸天像。鎌倉時代の仏師が奈良時代の仏像を修理する際、遊び心なのか、まっすぐだった首を少し傾けて接着しました。そうするとかえって憂いが出たという創作的修理の例。

 

学生からのコメントに、「修理をしたときに少し首を傾けただけで像の魅力を増させたというのが興味深かった。もしかしたら今自分達が感動している仏像たちにもそのような像があるかもしれないとワクワクできる。」とうものがありましたが、確かにそのとおりですね!

 

こちらは、厚い彩色で覆われていた愛染明王像の彩色を除去すると、平安時代当初の大威徳明王像が姿を現した改変の例。「現状維持が当たり前となっている今では考えられない修理で驚きました!」という学生のコメントがありました。

 

他にも学生からは以下のようなコメントが寄せられました。

 

「時代によって修理の考え方が変わっているところがとてもおもしろいです。今の現状維持修理も後世ではどう評価されるのか緊張ものです。」

「江戸期は町人文化が発達し、特に伝統工芸の分野においては非常に高度な技術があったイメージだが、仏像修復においては粗悪な内容が多かったというのは一体どうしてなのか、疑問が生まれました。」

「災害にあった時や修理工程などで、毎回写真を撮って記録を残すことが重要だと感じました。」

「銘文や他の資料、史料から情報を得て、少しの解釈を含みつつ、根拠のある復元修理を行い、事前調書と修理報告書を作成するというお話を聞き、物と情報を結びつけながら、後世に残してゆく行為について考えることができました。」

 

 

阿修羅像のお話が始まったところで残念ながら時間切れとなってしまい、もっとお話を聞きたかったという声も寄せられましたが、ぜひまたこのような講義をしていただけたらと思います。

 

山崎先生には、仏像についての論文を作成中の学生からの質問にも快く応じていただきました。

 

山崎先生、ありがとうございました!!

 

 

 

【高校1・2年生のための、1day!! 芸大体験 _ 歴史遺産学科、あと5名参加可能です!】

 

歴史遺産学科の体験授業は、2021年12月25日(土)です。

 

『江戸時代へタイムスリップ!—名所図会に色を塗ってみよう—』

歴史を学ぶとは、さまざまな史料や遺物を自分の目で見て過去から未来を考えることです。今回の体験授業でとりあげる「都名所図会」や「都林泉名勝図会」は、京都の名所をビジュアルに紹介した、いわば京都観光ガイドブックのルーツです。モノクロのこの絵に彩色をしながら、今に残る名所が当時の人々の目に、どのように映っていたのかを想像してみましょう。

 

[定員 20名(あと5名参加可能です!)]

持参物|筆記用具、メモ用紙

 

興味を持ってくださった高校1・2年生のみなさま、ぜひご参加ください!

 

<ご予約はこちらから ↓> 

 

 

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