キャラクターデザインコース

ゼミ通ヒーローズvol.43「小林鈴果と鈴木うららと卒制作品『Ast1αst』について語るの巻 Part1

※「ゼミ通ヒーローズ」とは、京都芸術大学キャラクターデザイン学科ゲームゼミの学生の研究や取り組みについてピックアップし、担当教員村上との対談形式で綴る少々マニアックなブログ記事となっています。

 

卒業制作展での展示の様子

 

村上

今年度卒業研究で優秀賞を受賞したゲーム作品「Ast1αst(アストラスト)」を制作した小林鈴果さんと鈴木うららさんを紹介したいと思います。

 

小林鈴果(以下「小林」。たまに「すずまる」)

私は企画とプログラミング、その他諸々、エフェクトだったり音響効果だったり、色々やってました、小林鈴果です。

 

鈴木うらら(以下「鈴木」。たまに「うらら」)

イラスト、デザイン、UIデザイン、背景ビジュアル、モデリングを担当した鈴木うららです。

 

村上

では今回制作したゲームの説明をお願いします。

 

小林

これはPC向け一人プレイ用のワイヤーアクションゲームです。テーマが「挑戦し続けること」で、アクションの要素であったり、主人公が冒険していくストーリーであったり、私たち制作陣側の挑戦というコンセプトが掛け合わさったアクションゲームとなっています。

ゲームの見どころとしては、デザイナー鈴木うららの世界観をこれでもかと詰め込んだところですかね。

 

鈴木

ワイヤーアクションなので、ふわっと浮いた感覚とか、すずまるがつけてくれたエフェクトと効果音の気持ちよさを楽しめるようになっていて、実際に展示をしてみて、来場者の方がそこを楽しんでくれてるのを実感することができました。

 

小林

ワイヤーを発射したときの気持ち良さは、結構試行錯誤を重ねて力を入れてやってきたところなので、ぜひ体感してもらいたいです。

 

ゲーム画面でのワイヤーアクションの様子

 

村上

企画の発端は?

 

小林

うららが今まで描いてきた作品の中に宇宙のイラストがあって、そこに描かれていた命綱を見て、ワイヤーアクションの企画を広げることになりました。

 

鈴木

その絵は、4年生ゼミのエントリーをするときに出した課題ですね。私は第一希望がゲームゼミで第二希望がイラストゼミだったんですけど、イラストゼミに入るために出された課題として提出したものでした。自分でも結構気に入ってた絵で、あれをすずまるも気に入ってくれて、企画がスタートしました。

イラストゼミにエントリーする際に作成された課題作品

 

鈴木

私は元々宇宙が好きなので、宇宙を舞台に描きました。命綱としてつながってる赤と青のケーブルは、よく映画の爆弾解除のシーンなんかで登場するケーブルをイメージしていて、どっちを切ろうかと迷ってる男の子を描いたって感じです。でもこの時はまだイラストゼミに入るための課題としてしか考えてなくて、ゲームにする想定ではなかったんですよ。

 

村上

それで小林がこの絵に触発されてチームを組もうと。

 

小林

3年生の後期になって「卒業制作どうしよう」って話がゼミ内で出ていたんですけど、そのとき私はずっと企画とプログラミングをやってた流れで卒業制作もこの形でやりたいなと思っていて、また、うららの絵がずっと好きだったので、こちらから誘いました。

 

鈴木

そうでしたね。3年の後期は私も別の学生とチームを組んでいて、そこでも「卒制どうしようか」って話が出て、他でも「次は誰と組もうかな」って話が出て、ゼミの皆で離婚調停みたいな話が飛び交って、結局私は小林と再婚しました(笑)。

 

小林

私が娶った形になりますね(笑)。

 

村上

なるほど。で、この段階ではまだ「どっちのワイヤーを切断するか」っていう内容だったものが、ワイヤーを使ったアクションゲームへと発展していったのね。

 

小林

そうですね。この赤と青のワイヤーを命綱と考えて、宇宙を探検するゲームってなんかいいよねって話になって。そこからどんどん話が膨らんでいって、命綱一本を使って場所と場所をつないでゴールを目指すっていうゲームデザインが見えてきました。

 

村上

ワイヤーアクションっていうと、スーパーファミコンの名作『海腹川背』だったり、最近だとPS4の『スパイダーマン』とか、ワイヤーアクションとしてはある種定番のイメージがある中で、あえてそこに斬り込もうとした意図は?

 

小林

他タイトルとの比較対象とか、そういうことは一切意識してなかったです。宇宙らしさっていうのを優先したかったので、動き方一つをとっても既存タイトルの爽快感とは全く違いますね。

 

村上

既存のワイヤーアクションだと爽快感を狙ったものが多いけど、今回の作品は重力が弱い中でのアクションだから、全体的にフワーっとしてるよね。その動き自体にゲームデザインとしての意図はあった?

 

小林

ブランコに乗ってジャンプするような感覚で、角度によって変化する飛距離の違いを楽しんで欲しかったっていうか、自分の操作一つでどこに飛んでいくのかが変わるワクワク感を意識しながらプログラミングで動きと速度を調整していきましたね。

中間合評のときはまだアクション部分のプログラミングに手こずってて、雰囲気が伝わる程度のムービーを作ってプレゼンしたところ、「面白くなさそうなんだけど」って評価されて一人で憤慨しておりました(笑)。

 

Part2に続く

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