- 2022年7月28日
- イベント
Storyvilleより『「 」に隣る 今日マチ子さんと考える いま、戦争を描くこと読むこと』イベントレポートをお届けします。
こんにちは!Storyvilleです◎
今回のブログでは、7月13日に私たちが行ったイベント『「 」(くうはく)に隣る 今日マチ子さんと考える いま、戦争を描くこと読むこと』当日の様子をレポートしていきます!
その前に、まずはStoryvilleについてご紹介します。
Storyvilleとは、2009年から続く文芸表現学科のイベントグループです。
現在は「文芸と社会」という選択必修授業のひとつとして、2年生後期から3年生前期にかけて1年間学生が主体となって運営します。
読書会、トークイベントなどのイベントを開催して、文芸を中心にさまざまな人たちが関わりあえるコミュニティの形成が目標です。
今回開催した『「 」(くうはく)に隣る 今日マチ子さんと考える いま、戦争を描くこと読むこと』では、漫画家の今日マチ子さんをお呼びしたトークイベントを行いました。
現実に戦争が起こっている一方、戦争それ自体をどこか遠い世界の話のように感じてしまう現在。いまを生きるうえで戦争を題材とした作品に触れることによってわたしたちはどう変容するのか、学生と今日さんが対話のなかで考えていこうという試みです。
今日マチ子さんは、この夏に「春秋座」で上演される舞台『cocoon』の原作漫画、そして、『アノネ、』『いちご戦争』『パライソ』と、戦争を題材とした作品をこれまで多数手がけられています。
文芸と漫画、と一見すると別のジャンルですが、作り手の根底に共通する「なぜかくのか」「どうかくのか」という想いや疑問を、ジャンルを超えて重ね合わせながら、さまざまなお話を聞かせていただきました。
また読み手として、戦争文学といま向き合っていくことも今回の重要なテーマとなっていました。
イベントはインタビュー、座談会の二部構成。
一部のインタビューでは、『cocoon』をなぜ描きはじめたのかに始まり、これまでの漫画やイラストのお仕事にも触れながら、今日さんの描くことに対する想いや記憶に残る経験についてお聞きしました。
インタビュアーを担当した2人の学生の感想です。
「イベントでインタビュアーを務める事も、漫画家の方とお話をするのも初めてで、とても緊張しました。今日さんの創作に対する思いや次の作品で新しい事に挑戦し続ける姿勢など、創作に携わる身としてどのエピソードも印象に残っています。まだインタビュアーとして拙い部分はありましたが、本当に貴重な経験でした。」
「常に最前線で表現してこられたからこそにじみでてくるお話がたくさんありました。セリフやモノローグなど、言葉数が比較的少ない今日さんの漫画ですが、だからこそ一言ずつが記憶に残ります。大学時代に、言葉を大事にしてない人が多いと感じたエピソードなども含め、ジャンルを超えて表現に関するたくさんの刺激をいただきました。」
二部の座談会では、三つの議題をテーマに話し合いました。
一つ目の議題は、「いま戦争を描くこと読むことにはどのような意味があるのか」について、今日さんからは「自分が正義に埋もれぬように」という描き手としての考えをお聞きすることができました。学生は読み手として、戦争作品を一人1、2作品ずつ読み、考えました。
↑戦いや争いを題材にした作品を全10作紹介した。小説はもちろん、写真集や映画も。
次に当事者性をキーワードにお話しました。高橋弘希さんの小説『指の骨』、スヴェトラーナ・アレクシエーヴィッチさんのノンフィクション『戦争は女の顔をしていない』などの作品を例にとり、当事者ではない作家がセンシティブな題材を扱うことへの葛藤について考えました。「覚悟をもって書く」「表現することの暴力性」など、作家の現代的な問題について言葉を交わしました。
↑スヴェトラーナ・アレクシエーヴィッチ『戦争は女の顔をしていない』岩波書店
最後には「実際に戦争が起こった今、戦争を用いた作品は、戦争を描く、読む人間にとってどのようなものになったのか」についてお話をしました。わたしたちは戦争を題材にした作品を読むことで、現在の問題に向き合って行けるのではないか、などといった意見が挙がり、現在の戦争文学の意味について考えました。
今回のイベントを通して、書き手として読み手として、戦争文学について考える時間をたくさん持った過程が、このイベントで何よりも重要だったように思います。
イベントにご参加くださったみなさん、ご協力いただいたみなさん、ありがとうございました。
Storyvilleは今後も活動していきます!
活動の様子はインスタグラムより随時更新します。
文芸表現学科の取り組みの様子、普段の様子も垣間見える投稿になっています。
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(Storyville)