クロステックデザインコース

【生産技術論】「新工芸舎」へお邪魔しました!

こんにちは!

 

クロステックデザインコースです。

 

 

今回は1月下旬に白石先生の授業「生産技術論」にて、ゲスト講師をお迎えしましたのでご紹介いたします!

 

クロステックデザインコースでは、モノづくりに興味のある学生や、自分の手で作ることは難しくても企画構想や試作を依頼するなど、「製品」に関わっていくという学生もいます。

この授業では、「製品」にまつわる生産技術の歴史を学びながら、既存の製品をよく観察したり、実際に手を動かして作ってみたり、量産や外注するにはどのようなプロセスがあるのか、授業を通して取り組んできました。

 

 

1月下旬、この日京都では雪が降っている中、

白石先生は京都の下京区にある新工芸舎さんのスタジオにお邪魔していました!

スタジオと学生たちとオンラインで繋いだ状態で、新工芸舎の主宰 三田地 博史さんに新工芸舎のプロダクトや三田地さんのこれまでについてなど、たくさんお話しいただきました。

 

 

「新工芸舎」は、3Dプリンタなどのデジタルファブリケーションツールを使った新時代の工芸的なものづくりの可能性を探求する設計者集団です。

スタジオには3Dプリンタが十数台もあるような場所でした!

ギャラリースペースには、販売しているプロダクトや試作品などが溢れんばかりに並んでいます。

 

 

 

まずご紹介していただいたのは、

 

新工芸舎の中でも特徴的なシリーズ、tilde(チルダ)

フィラメントと呼ばれる樹脂を3Dプリンタから出力する際、繊維状に押し出されるため、積層痕(せきそうこん)というプラスチックの層が痕跡となって生成されます。

 

積層痕の見た目は品質としてどうなのかと三田地さんはずっと悩んでいたところ、積層痕自体をデザインとして取り込んでしまえば解決するのではないかと考え、この「tilde(チルダ)」シリーズが生まれました。

 

編み込みのようなデザインにすることで、造形時間も短くなり、積層痕自体もデザインの一部になるため、この3Dプリンタの技術として一番ふさわしい形態なのではないかと気付いた、と三田地さんは言います。

 

 

そこから、他の様々な製品にも展開していきます。

新型コロナウイルスが大流行している時期に、コロナウイルスをイメージして作られたPandemic Vase(パンデミックベース)

 

RGB(赤・緑・青)の3色のフィラメントを1本にまとめ、3Dプリンタから出力することで、見る角度によって色が動いているように変化して見えるという、とても不思議なプロダクト。

 

オンライン越しにみても、色の変化の不思議さが伺えます。

 

 

かわいいしっぽが特徴のpig

 

よく見るとブタさんの脊椎が曲がっています。

このブタさんは出力する際にX,Y,Z軸を同時に動かしながら造形することによって、プロダクトに動きが生まれています。

 

ブタさんのしっぽも後ろにちょこんと付いています。さりげない工夫がとってもかわいい!

 

 

こちらは、のせ物シリーズ。

 

自然の石をあらかじめ3Dスキャンし、それにぴったり合うデータを元に生成することで、自然物の表面に造形物がぴったりはまるよう構成された道具たち。

 

3Dプリンタでデータを出力しただけでは不十分なため、新工芸舎では削って塗装してという手作業で行うアナログな部分を含んでいるプロダクトが多いのだそうです。

 

 

今から約170年ほど前の幕末・明治時代に使われていた写真の撮影技法である「湿板写真」。

現代ではほとんど使われなくなったこの技法とカメラを、現代版に作り直してほしいとの依頼によって進められている湿板写真と機材の再設計プロジェクト

 

湿板写真は、あの坂本龍馬が写った写真でも有名。写真技法としては、現代のデジタルカメラよりも高い解像度で撮影することができるそうです。

 

三田地さんが今回手掛けたカメラでも、レンズのピントを合わせるための部品や、シャッターを押す仕組みなど、様々な工夫がされていて一枚一枚のシャッターの重みが感じられるようなものを作られています。

 

 

 

 

ひと通りプロダクトの紹介のあとは、三田地さんが新工芸舎をどのように作られていったのか、白石先生がお話を伺います。

オープンソースの3Dプリンタが広がり始めた頃、まだあまり知られていない状況の中、三田地さんが初めて大学の研究室に3Dプリンタを持ち込んだところから遡ります。

 

最初はプロトタイピング用として3Dプリンタを活用していて、周りのみんなからも出力してくれと頼まれるようになっていったそうです。

 

大学院卒業後は、デザイナーとして会社へ就職。

当時、Arduino(アルディーノ)にもはまっていたそうで、「電子回路をつくれて、筐体もつくれたらたいがいのものは作れる。これらを組み込んで自力で販売することが出来たら、就職しなくてすむのでは」と、次第に自分が作り出したものを「売る」というモチベーションに移行していったそうです。

 

そこからYOKOITO INC.という会社に加わり、スタジオを借りて、3Dプリンタの研究をし始めました。

 

そして、新たに「新工芸」というコンセプトを思いつき、2020年夏コロナ禍の真っ只中に「新工芸舎」は立ち上がりました。

 

 

話が進んでいる中、白石先生がおもしろいとこちらも絶賛!

3Dプリンタで使用するフィラメントの必要な量を切るために、長さを測ることができる道具を自作したものだそうです。

三田地さんはこれを自身で、“百姓プロダクト”と呼んでいます。

 

昔のお百姓さんは生産性をあげるために、自分で様々な工夫をした工具をつくるなどしていたことから、三田地さんも自身で作ったものをこう呼んでいるのだそう。

 

 

三田地さんは、大量生産されるものを次々とデザインし、これがどこでどういう風に使われていったかも分からないうちにものすごい量が生産されるという、会社に勤めていた時に経験した「虚しさ」がベースにあると言います。

 

 

「新工芸舎」のやりたいこととして三田地さんは、

 

「量産の行き過ぎた世界に対するオルタナティブ(主流な方法に取って代わる新たなもの)でありたい。大量生産に対して、効率的ではないけれども、3Dプリンタは一人一人のアイディアを中量・少量生産に実装していくことができる。なにより必要とされているんだと実感することが嬉しい。自分の技術をもってそのひとつひとつに答えてあげられるということが、作り手としては嬉しい。」

 

と話してくださいました。

 

 

 

この「生産技術論」の授業では、これまで世界で作られてきたものの生産工程は技術と共に進化してきたということを歴史的に振り返りながら、現代的に製造するとはどういうことか学んできました。

 

「新工芸舎」での取り組みは、現代における製造のあり方の一つとなりつつあるのかなと白石先生は話します。

 

またお話の中で、「機械との対話の中で生まれる技術」という言葉が出てきました。

 

基本的にデータを作り3Dプリンタを使えば、自分1人で何かものを作ることができます。

デジタルファブリケーション(デジタルデータをもとにして、ものづくりをする技術のこと)によって生み出されるものは、仕組みさえ分かれば、誰でも基本的なモノは作れたりします。

 

自分で考えて、自分で素材も選んで、作ることができる。

そういった工程や失敗を何度も繰り返し、機械と対話するように少しずつ改良したりアナログな手作業も取り入れていくことで、新工芸舎では新たな造形や作り方が生まれています。

 

新工芸舎が作るものはデジタルファブリケーションを扱ったプロダクトでありながら、その工程や取り組む姿勢には、ひたすら技術を磨く工芸家のようにすら感じられ、デジタルとアナログの境界も超えて新たな可能性を模索し続けているようです。

 

 

 

 

三田地さんには今回、非常に大切なお話をしていただきました。

 

 

何事も自分の頭の中にあるものをぱっと形にすることはなかなか難しかったりしますね。

 

なにか作れたとしてもそれで本当に良いのか、誰が手に取ってくれるのか、というところまで考えられていないものも実際に世の中にはたくさん溢れています。

 

だからこそ、自分たちの手で何を作るか・どう届けるか、実際に取り組まれている三田地さんの言葉からもその重みが伝わってきました。

 

 

 

三田地さん、ありがとうございました!

 

 

 

 

 

また随時、クロステックデザインコースの様子をお届けします!

 

 

 


\\さきどりOpen Campus//

高校生・受験生の皆さん、いよいよ新年度が始まりますね!

 

これから自分はどんな進路に進んでいこうか探していたり、悩んでいる方は、春休みの間から少し早めに進路に向けて動き出せますよ!

 

3/25(土)3/26(日)にさきどりオープンキャンパスを開催!!!

 

【日程】

3/25(土)3/26(日)

12:20~16:00 (11:40より開場)

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大学全体説明や入試説明、各コースそれぞれブースを設けての体験ワークショップ・相談会も実施!

 

大学の中はどんなところなんだろうという方には、ぜひ「キャンパス見学ツアー」にも参加してみて下さいね。

 

 

 

そして、

 

👀注目!👀

オープンキャンパス(3/25, 3/26)に参加すると、

2024年度入学試験「体験授業型選抜Ⅰ期・Ⅱ期」の検定料が、20,000円免除されます!

(35,000円→15,000円で出願可能!)

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皆さまのご参加、お待ちしております!

 

 

 


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この講座の講師としては、クロステックデザインコースの吉田 大作先生が皆さまの街へ伺います!

 

芸術大学ってどんなところ?入試や就職は?有名企業が採用を熱望する芸大生の特徴とは?

今から始められる“力がつく学び方”など、様々なことをこの講座で聞くことができます!

 

【日程】

3/18(土):高松(午前)、岡山(午後)

3/19(日):金沢(午後)

3/21(火・祝):名古屋(午前)、浜松(午後)

4/1(土):東京(午前)

 

 

参加無料、定員50名

 

事前申し込みが必要です。

👉こちら👈からお申し込みください!

 

 

受験生はもちろん、高校1,2年生も参加可能です。

保護者・教員の方のみの参加も歓迎!

 

 

こちらもぜひ参加してみてくださいね!

 

 


 

クロステックデザインコースの最新カリキュラムや進路について紹介|先生によるコース紹介動画2022

クロステックデザインコース 在学生へのインタビュー

 

 


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