- 2015年6月19日
- 日常風景
プロフェッショナル研究③―美術品の梱包と輸送―
少し遅くなってしまいましたが、第3回目のプロフェッショナル研究についてお伝えします!
今回のプロフェッショナル研究は、日本通運株式会社関西美術品支店管理課長、近藤努氏に美術品輸送についてご講義いただきました。
本講義の目的は、文化財を守り伝える仕事は、修復師や学芸員だけではなく、その周辺にたくさんあることを知り、歴史遺産を学ぶ学生の進路の一つとして視野に入れてほしいと思ったからです。
ご講義では、日本通運株式会社全体の業務に関する概要から美術品輸送業務、求める人材、そして梱包材料にいたるまで、幅広い内容のお話をしていただきました。
日本通運の採用には、総合職と技能職があり、関西美術品支店で働く多くの社員さんは、技能職という専門職です。総合職は全国転勤があり様々な部署を担当します。近藤課長は総合職で、美術品とは全く違う部署から1年半前に関西美術品支店に来られ、それをきっかけに博物館や美術館の展覧会にいらっしゃる機会が増えたそうです。さらに今までは展示作品を中心に見ていたものが、つい、展示方法にも関心を向けるようになられたということでした。
美術品業務は、毎回梱包する対象が異なり、関わる人も違うことから応用力や工夫する力が必要であり、それらは実際の現場で先輩の技術を学ぶことから始まるそうです。確実な技術、そして想像力や発想力を持った若い世代を育成することに力を注いでおられ、そして、やる気のある人にはチャンスを与えるという会社の理念も素晴らしいといました。
学生たちは初めて知る分野のお話にとても興味を持ったようです。講義後、学生たちから、仏像や美術品と近くで触れ合える仕事が学芸員以外にもあること、梱包の技術だけではなく、仏像などの知識が必要なこと、そして今学んでいるすべてのことが仕事にいかせるという感想が述べられました。