歴史遺産学科

授業風景

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2015年7月10日  授業風景

フィールドワークレポート!

7月に入り、京都は祇園祭の季節になりましたね!

さて、今回は久しぶりに1回生のフィールドワークについて紹介します!

 

前期前半は京都の遺跡を探訪しました。後半は「工芸と庭園」をテーマに授業を行っています。この日のフィールドワークでは「並河靖之七宝記念館」を訪れ、7月12日(日)まで開催されている春季特別展「並河七宝の匠たち」展を見学しました。

並河靖之は明治から大正期にかけて活躍した日本を代表する七宝家のひとりです。この靖之の自宅兼七宝工房が現在の並河靖之七宝記念館であり、作品が多数収蔵されています。

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このフィールドワークの授業では行き先の予習・復習のレポートを提出してもらっています。場やモノに関して、まず基本的な知識を得て、そして行き先で見聞したことからレポートを書きます。

 

さて、その「並河靖之七宝記念館」の見学を通じて、歴史遺産学科1回生堀岡さんはどのように考え、興味を持ったのでしょう。

 

以下、堀岡さんのレポートを紹介します。

 

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「並河靖之 作品と色使いについて」  堀岡奈央

 

今回のフィールドワークで私が最も興味を持ったのは並河靖之の作品の繊細な色使いである。

明治期に広がりを見せた靖之の有線七宝技法は、植線の工程を経て、線と線の間に釉薬を挿し焼成しては研磨する、という過程を繰り返す。実際にその作品の数々を見てみると、その繊細な技法や個性的な形が当時の人々を魅了していたであろうことがよくわかる。

 

今回、見学した作品の他にも並河靖之に興味を持ち、特に色使いの異なる「七宝菊唐草文大瓶」と「蝶花唐草文香水瓶」について調べた。

靖之の作品は工程も複雑な上、幾人もの職人が携わってようやく完成する。実際に焼きの工程について質問すると、焼きは基本的には、一つずつ靖之本人が行っていたという。「七宝菊唐草文大瓶」は実際に目にした作品よりも控えめな色合いで、記念館に展示してあった釜で焼くには少し大きすぎるのではと感じた。窯は作品によって組みかえて形を変えて焼いていたという。価値の高いものであるにもかかわらず、量産は行わず一つずつ丁寧に仕上げていたことであの色合いも生まれたのだと思った。控えめな色合いながらも美しい図柄がきちんとおさまっており、静かな均衡を感じさせる作品である。

 

一方、「蝶花唐草文香水瓶」は、深みのある黒を用いた「七宝菊唐草文大瓶」とは反対に派手ではない落ち着いた色合いのものを想像していたが、並河靖之の作品には鮮やかな色使いのものが非常に多いと感じた。小ぶりの作品が多いが、いずれもその色使いや有線に囲まれた図柄によって独特の存在感をかもしだしているように思う。いずれも色彩豊かであるが、その透明感も靖之の作品の特徴であると感じた。

色彩の釉薬は鉱物を用いた化学変化から作られるが、この美しい色彩を表現できるようになるまでには、鉱物の分量や配合の割合、焼成の時間や湿度についてかなりの試行錯誤を重ねて作り上げられた。このことからも靖之の色に対する強い執着とこだわりを感じることができる。こうして、今も人々をひきつけてやまない並河靖之の七宝作品が生み出されていったのである。

 

七宝がなぜ今も新しい魅力を持つのか、実際に目にして調べてみることで作品の素晴らしさをより深く知ることができた。これからも作品について見聞を深めていきたい。

 

七宝唐草文大瓶2

東京国立博物館蔵「七宝唐草文大瓶」

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歴史遺産学科では、モノを見る目とともに、そのモノに関しての知識やさまざまなことを論じるため、表現するための力も大切にしています。ご案内くださった並河靖之七宝記念館の学芸員平田景子さんに御礼申し上げます。

 

堀岡さんは知識として得たことにくわえ、見て感じたこと、考えたことから発展して調べています。そして技法や製作意図などの具体的なことがらと結びつけた結論を自分の観点で述べていますね。

 

とても初々しいレポートなので、この場で紹介させてもらいました。ありがとうございます。

この授業を通じて、1回生から、書く力をぐんぐん伸ばしていきましょう!

 

 

なお、レポートで取り上げられている「七宝菊唐草文大瓶」と「蝶花唐草文香水瓶」は、並河靖之七宝記念館の収蔵品ではありません。「七宝菊唐草文大瓶」の画像は東京国立博物館のホームページから転載させていただきました。

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