アートプロデュースコース

【特別講義レポート】『「アートによる地域づくり」は 評価できるの?―『瀬戸内国際芸術祭』における新たな評価指標構築の試み―』ゲスト:山本暁美さん

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7月15日(水)開催の今年度前期最後の特別講義は、株式会社ベネッセコーポレーション商品戦略企画本部にてブランディング、マーケティング、市場調査、教育研究等を担当されながら、首都大学東京大学院にて「アートによる地域振興が社会に与える影響」を研究されている、山本暁美さんにお越しいただき、『「アートによる地域づくり」は 評価できるの?―『瀬戸内国際芸術祭』における新たな評価指標構築の試み―』と題してご講義いただきました。

 

今回、ボランティアとして山本さんが10年ほど前から関わられている、新潟の越後妻有アートトリエンナーレでのマーケティング調査、そして現在専門に研究されている豊島のアートプロジェクトにおける地域づくりの調査活動を中心にお話いただきました。

 

あまりその重要性が注目されにくい、アートプロジェクトの「評価」ですが、実施するだけでなく、その後も成果のあるものとして継続させるためには、可視化できる形でのデータを収集し、根拠に基づいた立証をする必要があるということがとてもよく分かる講義でした。「アート」「地域」「人々の繋がり」といった目にみえないものを取り扱うからこそ、しっかりと理由づけされた「評価」をすることは、とくにこれからのアートプロデュースにとって重大な課題だと考えさせられました。

 

『説明責任を果たすための武器をもっていきましょう』という言葉がとても胸に刺さりました。

 

山本さん、1、2回生だけでなく、卒業論文を執筆している4回生にとってもとても役立つお話を、ありがとうございました。

 

■以下、学生レポートから抜粋■

 

・豊島の存在は知っていましたが、ここまで詳しく知れたのは初めてです。私が意外に感じたのは、もっと美術中心の話になると思っていたのに、最終的に最も印象に残ったのは島そのものの魅力だったことです。のどかな島ならではのふれあいや人々の温かさが本当に大切なものなのであって、アートはそれを発見するための「手がかり」になったんじゃないかと思いました。

 

・アートを調査、評価することはアートに対してネガティブになるのではないかと思っていたけれど、アートをなくさないようにするため調査も評価も必要なのだと思いなおしました。でも、その調査を一体どこまで行っているのだろうとか、データをどう活用しているのだろうとか疑問もたくさんあり、「アート」が分かりにくいものだからこそ、データをうまく活用していかなければいけないと思いました。

 

・実際に瀬戸内国際芸術祭に足を運んだ人たちが作品だけでなく、島の自然や人にも思いを寄せるというお話を聞いて、美術館という箱を超えて、地域全体でアートに関われる環境が人と人の繋がる場になるのだと思いました。作品を見ることだけを目的としていても意味がないということをこの学科に入って知りましたが、問いをもつこと、地域について考えることはこれからもっとつきつめていかなければならないと感じました。

 

・データや内容もさることながら、プレゼンの組み立てや調査方法の構造がすごく論理的で評価もさることながら、論文執筆や論文発表にとても参考になる講義でした。

 

・「アートを見に来て楽しかった」だけで終わらせないように、観光客にアンケートを取り結果をデータ化し、今後につながるように検証することもアートプロデュースをするにあたって必要だなと感じました。

 

 

 

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