美術工芸学科

インタビュー

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2018年5月11日  インタビュー

【油画】卒業生インタビュー♯02

#02  神馬 啓佑  JIMBA Keisuke

 

1

 

……

1985年

愛知県生まれ

 

2011年

京都造形芸術大学大学院  芸術研究科   表現専攻修了

 

2016年

「肉とヴェール 清田泰寛 神馬啓佑 二人展」(京都芸術センター/京都)

「VOCA展 現代美術の展望-新しい平面の作家たち-」(上野の森美術館/東京)

「2015年「塑性について」(Division/京都) (N-mark/愛知)

「眼球に近い面」(HAPS /京都)  2014年

「THE MIRROR」(名古屋商工会/東京)

 

他、展示・受賞歴多数

 

————————————————

 

神馬 啓佑 :J

蒲原 早奈美(聞き手):K

 

K:「夜になるまえに」(2014ARTZONE)の本に神馬さんの学部の時の作品が印象的でした。

何か投げ入れているみたいなやつ。

 

 

菴懷刀逕サ蜒・magic

 

 

J:3年生の時の作品やな。その時は人物と風景画みたいなの描いてた。

それ多分、デッサンとかじゃなくて、自分でこういうものを描こうと思って描いた絵は初めてやったんちゃうかな。

それがなんかよかったから、頑張ろうみたいに思ったと思う。

その時、フード被って火起こしみたいなことをしている自分を撮って、月面の写真をコピーしてきて、コラージュして。

月面で火起こしをしている絵。酸素ないから途中で無理やと思って、ポーズだけをとっている絵にした()

 

 

菴懷刀逕サ蜒・moon

 

 

K:描いてる途中に気づいたんですね()

 

J:そう()けど初めて自分が思って描いたっていうのは達成感があって、経験としてでかい。

 

K:これは?

 

 

菴懷刀逕サ蜒・RAKU

 

 

J:感覚でしかない。(作品見ながら)

 

K:感覚。

 

J:丸1日で全部完成させなあかんから。今思ってもやばいと思う。結構頑張ってたなって。

大学院の時の。

 

K:何描こうというのも明確には考えてないんですよね。

 

J:そうそう。描画道具を作って、テクスチャをつけるっていうのを繰り返すって作品。洒落てるやんな、めっちゃモダンや。今でも思うもん。もう一回やってみてもいいかな。

 

K:見たいです。何色使おうとかも考えてた?

 

J:そんなことはないと思うけど、作りながら考えるようにしてたと思う。

 

K:色とか道具?

 

J:そうそう。こうやってたらさ色がちょっとずつ混ざってきてさ、あ、この色も作ろうかなって足していったり、厳密にやろうとして厳密にやれないみたいなこともある感じ。結構いいよなこれ。

 

K:めちゃいいですね。

 

J:これ大学院ラストやな。多分。修了制作でインスタレーションみたいなのやりたいから、色彩だけ揃えて、全部。真っ白に塗って。白すぎたわ。

 

 

修了展

 

 

K:床も塗って、ってことですよね。

 

J:そうやで、白い空間に、白っぽい絵があったら目が変なモアレを起こして、霧みたいに見えて、おもろかった。

 

K:それは意図してた?

 

J:してなかった。やったらなった。正確には、前に描いた絵の写真を見返してて、そんときに、ちょっと変やなって思って。誇張したらできた。スモーク焚いてるみたいな感じになった。ちょっとほんまにもっかいやるわ。

 

K:昔やってた技法を改めて今やってみると面白いですよね。

 

J:そうやな。これ第1(自分の中での)。これ第1期の終わり。

 

K:Anteroomで飾ってたやつ見たんですけど。

 

 

菴懷刀逕サ蜒・2painting

 

 

J:おっきいやつな。4mのやつか。懐かしい。

 

K:あの時めっちゃカラフルでしたよね。

 

J:あれ、第1期の終わりやな。

 

K:院出てる時ですか?

 

J:完全に出てるな。またやろうかなと思ってて。思ってた以上にいいよなこれ。

 

K: (笑)

 

J:次こんな感じやしね。(写真見る) 1期の終わりからどうしようって。

道具とかを全部指に絞って、描いた。指のテクスチャーだけで。

 

K:見ました。大学院Pr Projectで飾ってなかったですか。

 

 

菴懷刀逕サ蜒・12btp

 

菴懷刀逕サ蜒・13btp

 

 

J:そうやな。

 

K:どんどん色なくなってきますね。

 

J: 1個の道具()に絞ってきたから。

 

K:あ、そういうことか。

 

J:そこに厳密って言う。

 

K:ちゃんとそこ守るんですね。

 

J:守ってた。それでムリやと思ってやめた。やめたというか。

 

J:第2期目は、例えば、筒の先っぽにスコープみたいになってて、こうドローイングみたいになってて、奥にクッションがあって、みたいな。これも絵やろって作品。やばいやろ。僕の過渡期。

 

K: (笑)

 

J:他は、例えばその時いった場所で、そこにあるものを全部メモってくようにしてて、それをドローイングのようにしてて、なんかならないかなって。あるときに、そのメモみてこれどこやったっけなってわからんくなって。普通の野外彫刻とかどっかにあってそこに行くやん。これはここにあって僕がどっかに行っている。だから野外彫刻のプランっていう作品。

 

K:なるほど。

 

J:そこから離れてしまったから結果的には野外彫刻になってしまったっていうビックキャプションっていう作品。誰にも分からんと言われた()

 

K:意外な。

 

J:誰もわからへんていってた()けど、良いっていう人もいた。逆に絵は全然だめですね。って言われた(笑)

 

K:ええ()

 

J:めっちゃ迷ってて。絵を描くっていうことに対して飽きてしまってるってとこもあって。このままだと別のものを作らないとできなくなっちゃうっと思ってやって見た感じ。今見ても結構面白い。なんか煮詰まってて、いろんなこと考えて描いてなんとかしようとしてて、気分がいい。ニューペインティングやろ80年代から90年代のおさらいと復習みたいにさ。

 

K:おさらい中()

 

J:めちゃ遅いねん、僕の美術史() 思わん?こんなにいろんなことあってさ。まだリュック・タイマンスとか出てきてないもん()まだニューペインティングやもん。

 

K: (笑)

 

J:今第3期で、アイデンティティや個人史をやりたいと思ってる。エリザベス・ペイトンとかリュック・タイマンスとかみたいに。だって抽象表現主義がとりあえず終焉迎えて、そのあとポストモダン、ニューペインティングでてきて。それも考えて、もう本当にやっと個人の問題とかさ、扱うようになってきた。今そこにきてる。

 

K:辿ってますね。

 

J:辿ってるの、最近気づいてん。あ、辿ってるんやなって。無意識に。ゆっくりやってたんやなって。なんかいろいろさ、刺激が多いし、そういうのに行くのも分かるし、でも結局自分のペースでやらないとできないし。ちょっとずつゆっくりやったほうが、結局早く終わるんやなって思う。

 

(パンフレットに掲載)

 

芸術ってさ、難しくない?

 

K:そうですね。そんなに芸術って遠くないと思うのに、イメージで区別つくられること多いかも。

 

J:それすごい思う。むずいよね。先入観で言われている感じがするよね。一度父親に話したことがあって、別に父親美術に関心があるってわけじゃないんだけど、その時言われたのが、わからないってことをわかろうとしずぎてるって言われて。わからんでええやんって。何が問題かは、「あなたたちはわからないでしょ」ていう姿勢が問題でしょって言われて。

 

K:確かに。

 

J:じゃあどんな作品作ったらいいと思うって聞いたら、要はビジュアルでわからないでしょっていうことをいうから、わからへんっていうふうになるっていってて。楽譜みたいなのがいいって。音符みたいに描いて、それがある一定のルールで並んでると、そのルールがわかったら音が聞こえくるみたいになったらいいやんって。言われた。どんなコンセプチュアルアートやねん。ってなった。まあ、そういうおとうさんの話。

 

K:おとうさんおもしろいですね。

 

J:修了制作、見にきて。その時、作品タイトルをAからZにして描こうと思ってて。アルファベット1字やってん。それがよくないってお父さんに言われて。タイトルっていうのはそのものの方向性がわかるやん。タイトルでそれを示せるのにタイトルで示さないのあかんやんって。無意味っていってるもんやぞって。そういう意味やったらいいけど、そうじゃなかったらやめとけって言われて。はー、困ったなあって() その話の2回かな、父と美術の話をしたのは。

 

K:どきっとする話ですね。

 

J:芸術難しいねんっていったら、芸術が難しいんじゃないって言われて。

難しいことは山ほどあって、難しくしてる原因があるんやって、言っててそのときは。それやぞって。そういうのは結構効いてくるよね。

 

K:あ、ぐさっとくるってことですね。

 

J:芸術っていう枠組みに放りこんだ瞬間に、色々視野が狭くなってきてるなって。いろんな問題がさ、絡んできてるからさ、普通にしててもわかるのにお高くとまってるからやんって。それはすごいハッとした。だから第2期はそれを得るためにはじめた。父の言っていたことを踏まえて、もっと造形的に今までやってきたことももちろん考えて。今は、そこからもう一段階新しい何かを立ち上げることが必要やなっていう第3期を迎えている。

 

K:迎えて、次、何するか決めてるんですか?

 

J:いや決めてない()いま頭ん中整理してる。もっとエッセンシャルにしていきたい。なかなか難しいと思うけど(笑)

そうや、生活面のはなしか。話変わるけど(笑)大学で教えるってことで、生活面とか意識的なこと変わったかも。自分のことは置いといてさ、教えるってことが結構良かったりしたかな。なんか生徒とか相談に乗ってそれに対してどう思うかとか。

 

K:聞きながら、自分にも言ってるみたいな。

 

J:そうそう、今まで話してなかったんやなって。今まで言わずにわかんないってなってて。高校の時、わかんないってのが口癖やった。

 

K: (笑)

 

J:高校の友達にあったら、わかんないって(口癖)言われていじられる()

 

K:そんなに()

 

J:そういう意味では自分を通して理解すること以外のことが増えた。こういう考えの人もいるんやって。どんどんそういう機会増えてきたかな。

 

J:自分一人では、わかんないってことを解消するのがどうしてもできなかった。絵描いて、集中してるのが強くなってしまって、自分がどうやって見られてるんやろっていうのは、先生やって見えてきた。みんな誰もが自分に対して必死なんやなって。

 

K:確かに。

 

J:俺だけじゃないし、みんな平等に自分のことが大事やなってわかるやん、先生やってたら。生活する面でも制作する面でも。先生になってすごく自分が成長した気がする。たいした感じじゃないねんけど。

 

K:先生楽しんでるんですね。

 

J:僕はね。新たな発見もある、母校やから今まで教えてもらった先生がいるのも大きい。昔の作品を見られてるし、最近の作品を見られてるし、色々話せるし。

 

K: 芸術センターとかでの仕事も、いろんな人と話して為になってた?

 

J:そうだね。

 

K:書店(仕事先)の方はどうですか。

 

J:芸術センターと違って、より普通というか。なんで海老の絵描いてるんですかって聞かれたり()

 

 

菴懷刀逕サ蜒・3716

 

 

K: (笑)

 

J:私海老好きですよ。とか言われて、いや、好物とかそういうことじゃなくてって()とか(話して)

芸術と言うこと自体を完全に見る立場からから入っている人たちで、今まで出会ってこなかった人たちとまた出会っているという感覚がある。発見もいっぱいある。さっき言っていたことでさ。サービスしすぎると見る人は、冷めるみたいな。それぐらい分かりますよ。みたいなこと。やっぱりそうなんやなと思ったし、芸術は日本で伝わっている部分と日本独自で備わってる部分はあるからさ、勘違いはあるけど。それぞれにあるんやなってすごく感じた。職場には僕と同じようにダブルワークのひともいるし、なんかいろんな人がいて、話すのが面白い。

 

…END 

 

■卒業生インタビュー■

 

#01 西垣 肇也樹   NISHIGAKI Hayaki 

 

#02  神馬 啓佑  JIMBA Keisuke

 

#03  井上 裕葵 INOUE Yuki

 

      

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