文化財保存修復・歴史遺産コース

歴史遺産学科への招待-歴史遺産ニストを目指そう!-

こんにちは。歴史遺産学科の副手です。

新年度が始まり、入学式からはや2週間。少しずつ新入生たちの緊張も和らいできたように見えます。

 

さて、歴史遺産学科の教員紹介インタビュー第2弾と題して、

今回は「考古学」ご専門の杉本宏先生です!

 

 

 

 

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Q1:先生のご専門分野を教えてください。

 

私の専門は日本考古学、特に平等院などの平安期寺院関係を研究してきました。

発掘調査も今までに縄文時代から江戸時代までのさまざまな遺跡で120回ほど経験してきたし、

平等院の本格的な発掘調査は私が担当したんですよ。それとともに、遺跡や歴史遺産をどのように

保存し社会に役立てていくか、ということも専門の一つで、遺跡学や文化的景観学も勉強しています。

 

 

 

Q2:考古学のおもしろさや魅力について教えてください。

 

大学2回生の春、日本海地域のある弥生遺跡の発掘調査に初めて参加した時、

水分を含んだ泥の中から弥生土器とともに黄色の稲束を発掘したことかあります。

それは身震いするほどきれいな黄色をしていました。しかし、時間とともに乾燥しながら黒ずんでいき

半日ほどで見る影もなくなりました。20歳の私は稲束が2000年の時を一挙に経てしまう姿を茫然と見ていました。

この美しい弥生の稲束は私の記憶と数枚の写真にだけ留められています。

考古学は保存されてきた過去の遺物と向き合い歴史を語る学問ですが、この稲束の教訓のように、

どのような発掘の仕方がよいのか、遺物をどのように保存し未来に伝えてゆくかも考えなければならない

学問でもあるんです。そういう考古学の深さや広がりそして技術も大きな魅力だと思います。

 

 

 

Q3:歴史遺産学科で学べる考古学について、また、他大学とは違う歴史遺産学科の魅力とはなんでしょうか?

 

本学は歴史遺産学科で歴史学科ではないんですね。

歴史学は過去がどうであったかを究明する。歴史の真実を追い求めるわけです。

歴史遺産学科は、歴史の証人である歴史遺産の価値を読み、社会に活かす術、未来へ伝えてゆく術を研究します。

その点では歴史学プラス文化財学が歴史遺産学といえる。過去だけではなく、現在と未来まで射程に入れる。

芸術系大学の長所だと思います。考古学でいえば、遺跡の発掘を行い価値を研究するだけではなく、

その遺跡の発掘の仕方からどのように整備し活用するかまで取り扱うことになります。

実際のカリキュラムでは、理論は考古学や日本史特論の講義で学び、

演習では和中庵という近代庭園の発掘調査と整備活用計画づくりをして、

庭園考古学という本学ならではの分野で実際の技術を学習しています。

 

 

和中庵

和中庵での演習の様子

 

 

 

Q4:歴史遺産学科で取得できる「考古調査士」の資格について教えてください。

 

現在、博物館学芸員資格のような、発掘調査に関する国の資格制度はないんですね。

このため、国と全国のいくつかの大学が一緒になって、「考古調査士」という資格を認定する制度が作られています。

本学はこの資格が取れる関西でも数少ない大学の一つとなっています。

資格を取るためには、卒業までに指定する授業を10単位受けてもらうことになります。

文化財の専門職員を目指す人には必ず取得してほしいと思います。

 

 

 

Q5:公務員としての文化財行政の役割について教えてください。

 

文化財の保護は、法律によって行政が大きな役割を果たしています。

全国の自治体には文化財専門の職員が総数6000名近く配置されていて、日々文化財保護の活動をしています。

本学の卒業生も全国の文化財行政現場で活躍しています。

じつは今年の41日に法律の改正があって、これからの文化財行政は今までの文化財の調査や保存にプラスして、

歴史遺産を活かしたまちづくりが仕事の一部として加えられることになりました。

現在の日本の課題を解決する一つとして、地域に伝えられてきた文化財・歴史遺産の積極的な活用が求められたわけです。これからの文化財行政は、文化財・歴史遺産の価値を読み整備し活用するまでが仕事です。

まさに歴史遺産学科が提唱してきたスキームが社会で動き始めたわけです。

 

 

 

Q6:学生や受験生へのメッセージをお願いします。

 

文化財が好き、歴史遺産が好き、という皆さん、ぜひ本学に来ませんか。

私は、歴史遺産の価値が読め、保存の仕方がわかり、活用の方策が提案できる人のことを「歴史遺産ニスト」と

呼んでいます。今、日本の社会に必要とされる人材は歴史遺産ニストなのです。

私たちと一緒に、歴史遺産ニストを目指しましょう。

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杉本先生、ありがとうございました。

 

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