「好きこそ物の上手なれ」

9月 01日, 2013年
カテゴリー : プロデューサー目線 

5月1日付で、春秋座の芸術監督が市川猿翁さんから4代目市川猿之助さんにバトンタッチされてからはや4ヶ月経ちました。これに伴い社会普及系プログラムの旗振り役も、私橘から舘野プロデューサーに委譲されました。これからは、猿翁-橘コンビから猿之助-舘野コンビによる企画が立てられることになります。といってもわれわれの企画は1年前には決まっていますので、来年3月までのプログラムは私が立てた企画プラス舘野プロデューサーが急遽入れ込んだものが入ってきます。ある意味では豊富なプログラムになるということですね。それに今年は研究系の催しも数が多いので、現場のスタッフは大変です。
休みもとり難いし、オーバーヒート気味の人も出てきそうです。

こんな時、決め手になるのがモチベーションです。自分が本当にこの仕事が好きなのか、
それともただ給料をもらうために働いているのかということが判明してくるからです。
「好きこそ物の上手なれ」という諺にもあるとおり、好きであればこの難関を乗り越えることが出来ますが、そうでない場合ギブアップしてしまうケースが良くあります。
愛する人のためには何でもしてしまうのと似ていますよね。舞台芸術研究センターのスタッフはモチベーションが高い人ばかりです。きっと、これからの1年を経てさらに逞しくなるものと信じています。

春秋座が京都文芸復興の拠点になるためには、教育目的、研究目的、社会貢献目的の3本柱をバランスよく充実させていくことです。この考え方は杮落とし以来、私の憲法と思って守ってきたつもりです。新しい体制のもと、大学の中に建てられた劇場という特殊性を生かしながら、瑞々しい感覚と湧き出る情熱を注ぎ込んでいってほしいと思います。
春秋座という劇場は、決して単なる大きな教室でも、閉ざされた実験室でもありません。
徳山理事長と市川猿翁が意気投合して産み落としてくれた、この貴重な宝物をいつまでも健やかに育てて行きたいものです。

橘 市郎
(舞台芸術研究センター プロデューサー)