文芸表現学科

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2020年4月22日  インタビュー

【先生紹介02】書評家・江南亜美子先生

 

 

無事、豆苗を収穫し終えたスタッフの大賀です。

(中華炒めにして美味しくいただきました)

 

新入生・在校生、そして文芸表現学科に興味を持ってくださっている皆さんへ。

前回に引き続き、今日は、書評家の江南亜美子(えなみ・あみこ)先生をご紹介します◎

 

 

 

 

【先生紹介02】書評家・江南亜美子先生

 

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江南先生は、様々な本と出会い、対話をするように読み、実社会との繋がりなどを導きだし、その本を必要とする人に届くように「ことば」を紡ぐ、「書評」というお仕事をされています。

 

また、当学科では「百讀Ⅴ・Ⅵ」の授業を担当していただき、さらに、一時期には研究・制作を進めていくプレゼミやゼミでの指導教員として、お越しいただいていたこともありました。

 

これまで、書評のお仕事と同じように学生たちとの関わりも大切にしてくださった江南先生。

そんな先生が、今年度から文芸表現学科に専任の先生として加わってくださることになりました!

(専任とは大学に常勤してくださっている先生のことです◎)

 

先生のお仕事である「書評」の魅力、そして、おすすめの本(!)をお訊きしましたので、ご紹介いたします◎

もちろん、おすすめ本はこのBLOGを読んでくださっている、みなさんへ向けた特別番ですよ〜!

 

 

 

 

 

先生の専門領域とその魅力について教えてください

専任講師に着任した、江南亜美子です。これまでも非常勤講師としてこの学科にかかわってきましたが、これからはもうすこし濃密に。よろしくお願いします。

おもに日本の現代文学や翻訳小説について、日々考えています。文学は社会とどんな関係があるのか、とか、いい小説の「いい」ってなんだろう、と考えては、それを書評や論考のかたちにして、新聞や文芸誌あるいはファッション誌などで発表しています。

人間は言葉を自在に使えるようになったときから、詩をつくり、歌い、物語をつむぐという表現をしてきました。現代文学は、そんな長い人間の言語活動のいちばんあたらしいところ、新陳代謝が起きているまさに「現場」の産物です。なにがそこで日々生まれているかを見るのは、現代社会を見ること、いまの人間のありようを見ることにつながると考えています。

また、書評というのは、道しるべとして、ひとの役に立つことがあります。何かを探したりまどったりするひとに、こんな本(表現)がありますよと伝える媒介物(メディア)になれる。あるいは、新人賞への応募作品から、これぞという原石を見つけ出す仕事においても、「目利き」である必要はあります。
小説を実作すること以外にも、文芸の領域にはいろいろとおもしろいことがあるんです。

 

 

 

江南先生のおすすめ本を教えてください

なにしろ書評家を名乗っているぐらいなので、ひとに本をおすすめするのは得意です。

得意ですが、簡単ではなくていつも悩みます(このことはまたあとで言います)。

 

『坂下あたると、しじょうの宇宙』(町屋良平/集英社)

詩や小説を書く高校生が主人公の小説です。「詩情」なるものがあるとして、それはAIにも生み出せるのか。逆に言えば、人間しかできない「表現」ってあるのかな、と問うていく物語です。みなさんにぴったりじゃないでしょうか。

 

『去年の雪』(江國香織/KADOKAWA)

一冊の小説に、100人を超える登場人物が描かれます。なかには死者も。文学の欲望のひとつがこの「世界」を余すところなくとらえることだとしたら、この小説はそれを明らかに目指し、とてもうまく実現しています。表現ってすごい、と感じるために。

 

『資本主義リアリズム』(マーク・フィッシャー/セバスチャン・ブロイ・河南瑠莉訳/堀之内出版)

(とうとつな選書ですが)みなさんは、この社会ってうまくいってるのかな?と疑問に感じたことはありませんか。金儲けのうまい人が「勝ち組」と呼ばれ、効率化・大量消費・グローバリズムが良しとされる世界は、ほんとに唯一絶対? この本は資本主義以外のオルタナティヴなかたちを模索しますが、その語り口は、クールで切れ味がいい。「〇〇ってどうなの?」とひろい視点で見る批評性を養える一冊です。

 

 

『ヴィール夫人の亡霊』ダニエル・デフォー /岡本綺堂訳/青空文庫)

スーパーナチュラルな出来事が起こり、それを「真実だ」と語り手が語っていくとき、フィクションの裂け目が見えてくる。物語るとは何か、考えるためのヒントに。

 

 

 

 

 

続いて、江南先生からいただいた、みなさんへのメッセージです〜!

 

 

 

 

 

入生、在校生、高校生・受験生の皆さんへ

さっき言ったことの繰り返しになりますが、じつは得意なことが、必ずしも簡単にできることとは一致しないんです。得意なのは、それにたとえ労力がかかっても熱心に粘りづよく取り組めることだから、かもしれません。あるいはこうも言えます。これは楽しくやれるなということが、必ずしも楽(らく)にやれることとは一致しない。
みなさんには、イージーでも楽でもないけど、自分にとって情熱の傾けられる得意なこと、そして楽しくやれることをぜひ見つけてほしいと思っています。

 

 

 

新入生の皆さんへ
この4月から5月、よく知らない学生や先生がいっぱいいて、あたらしい場所があって、面白そうなことに鼻をきかせながらおずおずと、わくわくと、そこへ飛び込んでいく喜びを味わってもらいたかったです、それが大学一年生の春の醍醐味のひとつだから。だからいま大学が閉鎖なのは気の毒です。でもきっといくらでも取りかえせます。大学という場を使い倒してください。

 

在校生の皆さんへ
この困難な状況下、不安を感じたり不満を抱いたりすることもありますよね。そんなときでも、他のひとはどうかなと、くっと顔をあげてひろい視界で世界をみられるようにしたいものです(わたしも努力中)。エンパシーの能力というのでしょうか、ひとを「かわいそうに」と同情的に見るのではなく、「困ってないかな」と相手の立場になりかわって共感していくこと。きっとそんな能力を身につけつつあるはずの皆さんですから、うまく乗り切れると思います。

 

高校生・受験生の皆さんへ
言葉は力を持っています。表現は、生き方の問題にもなります。この学科には、そんなことを日々考えている学生がいて、教員がいます。それ、ちょっと興味があるなあということであれば、いつか訪ねてきてくださればうれしいです。

 

 

 

 

 

書評についてや、先生のおすすめ本をもっと知りたい!という方には、下記のWEB媒体でも江南先生の書評をご覧いただけますので、ぜひ◎

 

 

【江南先生・書評】
レッテルを逃れ、もがく
書籍:『ポラリスが降り注ぐ夜』李琴峰(り・ことみ)著(筑摩書房)
掲載:東京新聞(4/19)、Chunichi/Tokyo Bookweb

 

「ひどいことが起きたときに、それぞれ自分のやり方で反応するんだよ」大人になることの意味
書籍:『サンセット・パーク』(ポール・オースター 著)
掲載:週刊文春(2020年4月23日号)、文春オンライン

 

 

 

 

 

 

今は、直に人と会う機会が減ってしまいましたが、この機会に「ことば」についての表現を一緒に模索していきましょう!

文芸表現学科の「先生紹介」、まだまだ続きますので、どうぞお楽しみに◎

 

 

 

 

(スタッフ・大賀)

 

 

 

 

 

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