クロステックデザインコース

クロステックデザイントーク#05

クロステックデザイントークは教員やゲストと共にクロステックデザインコースの授業内容やイベントについて、ビジネス、デザイン、テクノロジー、アートのトピックスを織り交ぜながら、縦横無尽に話し合うトークセッション。

 

第1弾は2020年4月から共に、クロステックデザインコースに教員として着任した家入一真(客員教授)と石川琢也(専任講師)が2時間にわたる対談を実施。今回の対談の最終回では、スタートアップ・NPO、これからのリーダー像、課題先進国としての日本とどう向き合うかなど、より活発なトークが繰り広げられました!

 

 

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スタートアップNPO

 

石川:先ほども少し話が出てきましたけど東京都知事選がまさにいま行われている中で、例えばリバ邸だったり、ある種そのパブリックやガバメントが本当はセーフティネットとして、やってたほうがいいんじゃないか、と思うことがあるのですが、家入さんの中でパブリックなものと、例えばスタートアップNPOというものはどういった見方をしているのでしょうか。

 

リバ邸

家入一真が立ち上げたシェアハウス。

「現代の駆け込み寺」をコンセプトに掲げて各地に展開しているシェアハウス。様々な価値観をもった若者が行き交うシェアハウスとして開放して、若者の「挑戦」や「夢」を応援している。

 

家入:なるほど。リバ邸をやってく中で、こういったまさに石川さんがおっしゃったようにセーフティネットみたいな居場所は本来は民間じゃなくて、その政治がやるべきなんじゃ気なんじゃないかって思っていて、じゃあ政治側からアクションを取るにはどうしたらいいのだろうって考えて都知事選にでたっていう経緯があったんです。

 

石川:うんうん。

 

家入

その中で僕の中では民間でやっていくってことと、まあ国家や政治として、その居場所を作るセーフティネット作っていくみたいなものの両極みたいなイメージはすごくあったんですね。結果的に都知事選出て見えてきた世界みたいなものもやっぱりあるんですけど、それはやはり政治だけではもちろんなかなか物事って大きく変えることは難しく、スピードが遅いし、やっぱり再分配の仕組みは税金をベースにやるのでやっぱ税金を使ってセーフティネットを作るっていうのはなんでしょうね、そんな単純な話じゃないんですけど。納税者のお金をどう使うかってやっぱりなかなか意思決定は難しい、時間が掛かってしまう。

 

石川:そうですね。

 

例えば、最初のリバ邸なんて僕持ち出しでやってましたし、いまは会社として回るようになっていてそれで少しずつこうリバ邸の場所は増えてるんですけど。要は活動を広げていくっていうことにおける意思決定とか調達の幅広さってものは民間だからこそできるものがあるんですよね。どっちかだけが素晴らしいって訳でもなく、両方だからすごく大事でその間のグラデーションみたいなモノをどう作っていくかすごい大事だなあという風に思っているんですよ。

 

石川:なるほど。

 

家入:僕の友人のアサダワタルさんが、住み開き(https://karigurashi.net/ours/asadawataru-1/)っていう活動をやられている方がいまして。アサダさんが言われたことで、今でも凄く印象に残っている事があって。彼は、週末だけ開放するみたいなことやるんですよね、普段は自分の家だからもちろんプライベートなんですけど。土日だけは開放して誰でも来ていいよみたいな。

 

石川:うんうん。

 

家入:ちょっとした世間話をして、お茶して帰るみたいなことを住み開きって言ってて。これによって何が起きているかっていうと、完全にプライベートな家という空間が完全にパブリックにもならないんですけど、グラデーションのようにパブリックになるんですね。「この感覚がすごく面白いんだ」みたいなことをおっしゃっていて、あ、なんかすごいヒントあるなって思ったんですよ。やっぱりパブリックとかプライベートとかオープンとクローズとかそういう二極で分けてしまうからそこに断絶が生まれてしまうんだけど、一見プライベートだよねって思い込みがちな空間を何かの入り口をこうなだらかにしてあげるだけで、新しいパブリックが生まれるんですね。なんかそういう感覚を持ってたいなとはすごく思いますね。

 

石川:いまの話聞いて思い出したことで、僕、大学院のときに、大学院が古民家を運営してたんですよ、美濃市という街の中に借りていて。その古民家はもともと学生が作品を発表する場所だったんですけど、僕はできれば町の人たちの道具としてその古民家はどうやって使えるかを考えていて、石窯を作ったんですよ。3ヶ月ぐらいぼくは住んでいて、週末だけ町の人達に石窯で作れる料理を作ってきてください、って告知して。結構皆さん作ってきてくださるんですよね。石窯で作れるような料理を。

 

家入:うんうんうんうん

 

石川:滞在中は、割とそれで生活できてたんですよね、皆さん作ってきてくれて食べるっていう(笑)

 

家入:へー

 

石川:そもそも3Dプリンターとかレーザーカッターの導入するみたいな話もあったんですけど、何かを作りたいってモチベーションを高めることが先だ!ってのがあって、それで石窯をつくったという。

 

家入:うんうんうん

 

石川:料理はすごく奥行きがあるので、料理以外でも次何しようかってことをどうデザインできるか、というのをたくらんで行っていました。先程の話をきいて、あの石窯の空間はパブリックな空間だったかもしれないなって思いました。

 

家入:面白いですね

 

コロナ禍について、経営とリーダーシップについて

 

石川:最後に少し方向変わるんですけど、例えば今回コロナ禍の中で、台湾などが特にテクノロジーの部分でスムーズな動きがあって、一方はそのデジタル監視みたいな怖い目にはあるにしろ、僕は現状のデジタルな使い方、導入の仕方にちょっと羨ましさを感じました。

 

家入:うんうんうんうん

 

石川:ああいう動きを見てデザインの理解度が違うなと、すごく感心してしまって。少し、投げやりな質問ではあるんですけども、台湾の動きとかどうでした?

 

家入:隣の芝生は青いじゃないけどその周りを見渡したときに、例えばシンガポールはどうだったかとか、台湾はどうだったかとか、韓国はどうだったかとか、意思決定の大胆さとそのスピードの速さみたいなものは、ある種スタートアップの動きを見てるような感覚も凄かったんですよね。特に台湾とかはね。正直そういう国に住みたいなって思いましたし、スタートアップっぽさありましたよね。あのスピード感カッコいいですよね。

 

石川:ああいう人をまずこう大臣に抜擢するっていうところがすごいですよね

 

家入:素晴らしいですよ、本当すごい。ね、比較してこうやっていうのもね、あまりこうそういう風な言い方したくないけどもフフフ(笑)っていう感じですよね

 

石川:あんまりいきすぎると人気が集まりすぎる傾向は怖かったりするんですけど、風通しの良さや透明性も感じて、日本でこれできるのは、少なくとも10年以上は必要だな、って思ったりしました。

 

課題先進国:日本にどう向き合うか

 

家入:そうですね、やっぱ経営などやってると、よく考えることは多いですけど、リーダーシップとかは何かとか、マネジメントとは何かとかやっぱり考えますね。求められるリーダー像って時代とともに変わっていくし、新しいリーダーだったり新しい理論がどんどん出てくるんですけど、やはりいま日本にはどういったリーダーが必要なのかみたいなことを考えると、もっとこういったリーダーが必要なんかじゃないか考えることはよく多いです。

SDGsみたいな文脈でもよく使われますけど、やはり課題先進国って呼ばれる国ですよね。日本は豊さを実現したけど高齢化少子化が進んでいく中で、将来の経済みたいなものも長期で考えるとどうしてもやはり苦笑せざるを得ない中で、一方で戦後の高度成長期に作られたシステムのまま改革が起きてないので歪みが今めちゃめちゃ起きてる。少子高齢化が進み、経済が小さくなることに対して、いままでの基準で考えるから悲観的にならざるをえなくなるだけであって。そういったこれからの日本、課題っていうものがたくさんあるってことはある意味、宝物もたくさんあるってことだと思うんですよね。解決すべき課題があるってことは。

 

石川:ほんと、そうですね

 

家入:だからそこに対して、自分たち僕たちはもうこういう風に向き合っていくよって

ことを行動で示せるリーダーがすごく求められているんだと思うし、この日本で起きている問題ってきっと日本だけじゃなくて、やっぱ世界で先進国において問題になっていく問題でもあるんですよね。だから日本におけるモデルを作ることができればきっと海外にも輸出していけるし、海外のそのロールモデルになり得るなることができるいいチャンスなんだと思う。僕の友人とかで地方創生とかずっとやってきた仲間が、台湾とか韓国に招聘されて講演会に行ったりとか勉強会でなんか講師やってくれって言われて行ったりしてるんですね。これはもうやっぱりやっぱり圧倒的に日本と同じことや地方における課題とか、人口減少における課題とかって他の国でも起きてきてる中で、日本がやっぱ先端をいってるから日本から学びたいっていうのがすごくあるんですよね。だからこの課題をちゃんと向き合っていくことができれば、まだまだっていうかロールモデルには全然なれる国なんだと思うし、まあやることたくさんあるなっていう。

 

石川:そうですよね。僕がYCAMに居たときに毎年イヤーブックを1冊発行してて、その中で好きな人と対談していいよって言われて最初オバマって言ったら、オバマはダメだよって言われて(笑)

 

家入:フッフフ(笑)

 

石川:その後に当時、夕張市長だった鈴木直道さんにお願いしました

 

家入:うんうんうんうん僕も何度かお会いしたことあります

 

石川:なぜ夕張の話を聞きたかったというと、インタビューした2017年の10年前に夕張は財政破綻していて、財政破綻した自治体はどうなるかという想像力は全く僕にも無かったし、人々にもないなと思い、10年たってどうだったのか、それを見て話をしてみたいと思い依頼しました。

 

家入:うんうんうんうん

 

石川:現状どうなってたかを調べていくと、小中高18校あったのが3校になったりとか、公園が無くなったりとか、色々とやっぱり減らされていって、財政破綻したら僕が当時いたYCAMはすぐに潰されたと思うんですよ。

 

家入:うんうんうん

 

石川:僕はそのときに、文化っていうものをどうやって残していくかという実感が湧いたといいますが、なんとかして守らんといかんみたいな逆に決意を込めた感じでした。地方創生ってあんま僕の中でピンと来なかったんですけど、残した方がいいものがある、というより逆にいうと一回無くなっちゃったらもう本当に文化とかは一気になくなってしまうので、どうやってそれを継続させていくのか、そのためにいま自分ができることは何かっていうのは、すごく考えさせられた機会だったんです。

家入:うんうん

 

石川:先ほど色々出ていますけど、課題全部を上向きにするみたいなことも含めてその辺はまた改めてお話ししたいですね。時間がないんで(笑)

 

家入:したい(笑)これもねあの飲みながら話したい(笑)

 

石川:ちょっとこれは多分今日収まらないのでまたその辺の話はぜひ。本日は長い間本当にありがとうございました!

 

家入:いえいえこちらこそありがとうございました!

 

 

 

 

こちらで家入×石川による対談は終了となります!

 

いかがでしたか?また次回、新たな組み合わせでのクロステックデザイントークをぜひお楽しみに!

 

 

 

 

 

 

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