文化財保存修復・歴史遺産コース

「歴史遺産プロジェクト演習Ⅱ」 授業風景 その②

こんにちは、歴史遺産学科です。

前々回、「歴史遺産プロジェクト演習Ⅱ」Aクラスの紹介をしましたが(その記事はこちら→)、今回はCクラスの授業風景をご覧いただきます。

 

Cクラス(伊達先生)では、実物の民俗文化財の保存修復を行います。

 

奈良県立民俗博物館からお借りしている「イトマキグルマ:綛繰(かせくり)」「提灯」「行灯」などの修復を、グループに分かれて行っています。

 

諸優衣香さん(神奈川県相模女子大学高等学校卒業)、田原芽依さん(三重県高田高等学校卒業)は、「イトマキグルマ」の修復中です。

 

透明フィルムをアイスクリームのコーンのような形に手作りし、その中に樹脂を入れ、とがった先を目的に応じて切断し、細い亀裂や小さい虫穴に流し込みます。

 

虫害欠損部分に樹脂を補填していきます。ケーキ屋さんがアイシングでデコレーションする以上に繊細な手つきです

 

 

 

虫損による浸食が激しく、穴の奥までしっかり樹脂を埋め込むこと、資料本体に樹脂がはみ出さないこと、樹脂の表面を後から削るために少し盛った状態にすることが難しかったそうです。

 

 

田中優希さん(大阪府緑風冠高等学校卒業)は、行灯に貼られていた和紙の虫損部分の修復中です。

 

虫損部分の穴に合わせて、補修紙を形どるのが難しいそうです。

 

 

表から見ると、色合いも違和感なく、とても自然な仕上がりです!

 

 

修復した和紙は、この行灯の枠に元通りに貼られる予定です。

 

 

田中誠人さん(私立立命館守山高校卒業)は、「角行灯」の虫害による欠損部分の修復中です。欠損部分に補填した余分な樹脂を削って表面を自然な形に整えています。

オリジナル部分と違和感なく滑らかに仕上げるのには神経を使い、高い箇所の作業は腕が疲れてしまったとのことです。

 

 

次に「提灯」です。

山内菜摘さん(クラーク記念国際高等学校卒業)と、酒井綾乃さん(京都学園高等学校卒業)は提灯の破損部や虫損部の補修中です。

中に骨組みがあるので、それを避けて同じ色合いの和紙を内側から貼りつけていきますが、この作業がかなり難しいとのこと!

 

提灯は、箱に入れて収納するため、たためなければいけません。紙を貼る場合、注意が必要です。

 

外から見ると、見事に穴が塞がれていますね!

また、金具の部分にはサビの進行を防ぐために椿油を塗ったそうです。

 

 

西川奈緒子さん(草津市立玉川高等学校卒業)と、河村颯万さん(愛媛県立三島高等学校)は、弓部分の虫害による欠損部を樹脂で補填したあと、研磨機で形を整えています。

補填部がきれいに整えられています!

ヘッドの種類もこんなにたくさん!

回転速度を調節しつつ研磨するそうですが、削り過ぎになりそうな時はひやっとするそう。細かい作業で力加減も難しいですね。

 

 

各グループ、修復の完了が楽しみです!

 

返却後は奈良県立民俗博物館において、学生達の成果を写真パネルと修復を終えた実物資料とで展示する、コーナー展「民俗資料の保存修復」が毎年開催されていましたが、今年の予定は未定です。早くコロナ禍が終息し、博物館の活動が通常に戻るといいですね。

 

 

 

6月6日(日)にオープンキャンパスを行います。

https://www.kyoto-art.ac.jp/opencampus/oc06-06_08-01/

歴史遺産学科では、紙漉き体験、紙繊維の顕微鏡観察、土器の接合体験、歴史遺産クイズの盛り沢山4つのワークショップをします!

在学生が話していたアットホームで居心地の良い歴史遺産学科を是非、地肌で感じ取ってください。みなさんのご来場お待ちしています!

 

 

 

 

 

 

 

 

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