- 2021年11月18日
- 日常風景
ゼミ通ヒーローズvol.41 ゲームゼミ2年生と『キャラデコネクション』について語るの巻 Part2
※「ゼミ通ヒーローズ」とは、京都芸術大学キャラクターデザイン学科ゲームゼミの学生の研究や取り組みについてピックアップし、担当教員村上との対談形式で綴る少々マニアックなブログ記事となっています。
村上
今回のゼミ通ヒーローズでは、前回に引き続き、ゲームゼミ2年生の前期プロジェクトとなっていたゲーム作品『キャラデコネクション』の開発秘話について、ゼミリーダーでありプランナーである松下君、シナリオ担当の野村さん、デザイナーの藤原さん、プログラマーの吉中さんと玉倉さんに参加していただき、それぞれの役職の目線からこのプロジェクトを振り返ってみようと思います。
松下星斗(以下松下)
手探りだったとはいえ企画班の仕様が固まるまで結構時間がかかったので、その分の負担が最後全部プログラマーにいっちゃって…
村上
そこは手探りが前提のプロジェクトだから別に構わないよ。
とはいえプログラマーの数を増やせば仕事が楽になるかっていうとそういうわけでもないのがゲーム作りの難しいところだよね。
このゲームの追い込みの時期にほとんどのコアメンバーがゲームジャムのタイミングとも重なって、ホテルに缶詰めになって二つのゲームを完成させるっていうね。
で、実際にグループで一つのゲームを作ってみて、何か得られたことってある?
松下
スケジュール管理だったり、最初に決めておくべきことや優先的にやるべきことをちゃんと決めておかないと後々大変なことになるってことを実感しましたね。最初ゼミ生全員で企画を決めたのですが、カッチリ固まってはいなかったのでゲームの流れだったり雰囲気だったり、盛り上がりのポイントだっ たり、システムの細かい部分だったり、そういうところを一から企画班の方で話し合う必要があってみんな初めてデジタルゲームを作るということもありスムーズにはいけなかったですね。その作業の間にデザイナーからは「こんな資料がほしい」と言われ、プログラマー からは「ここはどうしたらいいの?」と聞かれ、その都度対応していたら企画の土台の部分 が固まり切らずに進めるしかなくなってしまって、その結果企画班は常に大慌ての状態でした。なのでもう少し最初の段階で土台を固めようとか、そういう感覚が得られたのは大きかったですね。
村上
その反省は次のプロジェクトに活かせると判断していいのね?
松下
まあ、活かせる…ように頑張ります。
野村夏望(以下野村)
私は、手探りすぎて全然作業が進まなかったので、次にやるときは多少の不安要素があっても、思い切ってまずはやってみるという気持ちを持ちたいですね。
藤原莉子(以下藤原)
報連相と情報共有ですね。企画立ち上げ当初はZOOMで授業やってたので、仕様書とかスケジュールとかを共有してたんですけど、なかなかうまくいかなくて…。あとは今誰がどんな作業をしてるのかっていうのをお互いに把握できるようにすることが大事だなと思いました。
玉倉有悠希(以下玉倉)
その情報伝達の方法というか、ツールが多すぎて、Google DriveとかSlackとかLINEとか、どこに何があるのか分からなくなって情報がグチャグチャになってたので、そこは綺麗にまとめる必要があるなと思いましたね。
でも必要に迫られて色んなアプリケーションに触れたので、RPGツクールで一人でもゲームを作れるくらいにはなったし、AdobeのAuditionを使って音楽編集もできるようになったし、色んなソフトの技術向上はできたかなって思いました。
あとは火事場の馬鹿力を出せばなんでもできるってことがよくわかりました。
村上
必要に迫られるっていうのが一番の上達の近道だと思うね。Premiereの使い方を最初に習うよりも、「明日までにこの映像を編集しといて」って言われて映像素材だけ渡されたら、「Premiereというソフトを使わなきゃいけないみたいだぞ」ってなって、完成イメージに近づけるための必要最低限の機能だけを触りながら覚えて、それで何とかなったりするしね。実際今回のゲーム制作って全部そんな感じだったよね。「やるしかない」っていう状態。
玉倉
プログラムは途中参加みたいな感じだったんですけど、吉中さんが操作してるところを横で見てRPGツクールの使い方を覚えました。
村上
先輩の動きを見てたら分かるけど、去年とは違うツールに挑戦したり、電子工作の延長でゲームを作ったり、そういう切磋琢磨感が楽しんでるよね。
俺もそうだけど、ゲームゼミの学生ってみんな貧乏性だから、同じことをやると「時間がもったいない!」ってなる傾向がある。今回Unityを使ったなら次回はUnreal Engineだ、みたいな。
吉中紫月(以下吉中)
初回の授業のときに先生が「ツクールでやろうか」って言ったときに、ゼミ生の中では誰も触ったことがないってことだったので、私の場合は前々から少し興味もあったんですけど、勇み足でツクールを買ってしまったのが始まりでしたね。
勇み足が昔からの私の武器かなって思ってるので、あとはC#の習得もしながら、もっと色んなことに挑戦していきたいですね。
村上
その行動力がいいよね。「初めてのことをやってみよう」とか「他の人がやってないからやってみたい」とか。
さっきも言ったけど、この企画の追い込みのときにコアメンバーはゲームジャムにも参加していて、今は授業の課題以外にも自主制作でゲームを作ってるよね。それはみんな参加してるの?
玉倉
私は他のプロジェクトを3つ兼任してるので、そこには入ってないです。
村上
この大学の特徴なのかな。忙しい人間にしか仕事を振らないっていう。これ以上は無理ですよ、って言ってる人に仕事を任せると、他人に振ってマネジメントしたり、何とか効率を考えて回す方法を考えたりするからね。
ゼミ担当教員がこんな人間なので、ゼミ生もみんなMっ気があると思い込んでるんだけど、そんなことない?
吉中
ヤです。ないです(笑)
村上
あそう…。
でも、新規の仕事振られたときって、「マジかよ、このクソ忙しい時に!」って思いながらもちょっと嬉しかったりしない?
一同
…
村上
…ぉ…!?
なんか、新しいことができるぞ、とか、初動の喜びとか、そういう感覚よ。
玉倉
うーん、それはちょっと理解できるかも。
私は元々怠け癖があるから、無理やり詰め込んでるって感じですね。
吉中
それは分かる。
村上
今回RPGツクールを使うって言ったのは実は別の思惑もあってね。
まんべんなく皆が忙しくなるゲーム作りができるというか、それぞれがデータの組み方や受け渡しの仕方を工夫しないとすぐに破綻するから、そこのスキルアップを狙った部分もある。
例えば乙女ゲームを作るときに、ティラノビルダーを使って会話劇だけで進んでいくゲームでも良いんだけど、結局フラグだけの問題になってきて、制作の難易度自体は低いなと。RPGツクールなら、ツールの構造自体はそんなに難しくないので、一人で作る分には時間さえあれば何とでもできる。でも複数人で作るとなったときのワークフローの組み立て方が結構大変なので、そこを乗り越えてほしいと思って今回はこのツールに決めた。
ドラゴンボールでいうところのカリン塔に登ってる状態を体験してほしかった。あからさまな強化訓練をするんじゃなくて、修行場に到着する頃にはいつの間にか物凄いスキルが身についてた、みたいな感じ。「ほらできたでしょ?」って後から言われたらそれが自信にもなるわけだし。これを経験したら次の脱出ゲーム制作はかなりラクになるんじゃないかな。
藤原
(苦笑)
村上
藤原、なんで今笑った?
藤原
いや、先輩結構苦しんでたんで(笑)
村上
いや、それは、あのね。スキルが上がったら、その分それを超える仕様に挑戦したくなるわけよ。ゲームゼミにいる以上、一生ラクなんかできないんだよ。苦しむことを楽しもうよ。
一同
(苦笑)
村上
はい、では今日はここまでー!
キャラデコネクションのリンク
ここから実際にゲームで遊んでいただけます。
https://game.nicovideo.jp/atsumaru/games/gm21640
以下、過去の「キャラデコネクション」メイキングブログの記事のリンクとなります。
ゼミ通ヒーローズ増刊号 キャラコネ日記vol.1「企画スタート」
ゼミ通ヒーローズ増刊号 キャラコネ日記vol.2「システム構築」
ゼミ通ヒーローズ増刊号 キャラコネ日記vol.3「ビジュアルデザイン」
ゼミ通ヒーローズ増刊号 キャラコネ日記vol.4「ゲームシナリオ」
https://www.kyoto-art.ac.jp/production/?p=128274
ゼミ通ヒーローズ増刊号 キャラコネ日記vol.5「OBJデザイン」