- 2022年6月11日
- イベント
手で考える、ものの力を借りる 美工教員展に寄せた、清水博文さんの「声」【文芸表現 学科学生によるレポート】
違うジャンルを学んでいても、芸術大学でものづくりを楽しむ気持ちは同じ。このシリーズでは、美術工芸学科の授業に文芸表現学科の学生たちが潜入し、その魅力や「つくることのおもしろさ」に触れていきます。
文芸表現学科・3年生の出射優希です。前回に引き続き、美工教員展『逸脱する声』についての特集、今回は清水博文さんです。版画工房でお話をお聞きしました。私は時折訪ねるあの部屋が大好きです。工房であり、部屋でもある。なんでか好きになってしまう、居心地の良さの秘密が今回わかったような気がします。
(なお、美工教員展にまつわる一連のレポートでは、一人ずつの教員のみなさんの「つくる人」としての姿をおもに捉えたいので、あえて「〇〇さん」と伝えさせてもらっています)
美術工芸学科専任教員展、ギャルリ・オーブにて開催
京都芸術大学・美術工芸学科の専任教員23名による、大規模な展覧会『逸脱する声』が、人間館1Fギャルリ・オーブにて開催されます。
会期は
【第1期】2022年6月9日(木)〜16日(金)
【第2期】2022年6月22日(水)〜28日(火)
となっています。
今回の展覧会には作家の語った言葉によって構成された、「言葉の森」が設けられています。
そこには入りきらなかったお話も含めた「作家」の「声」を、ブログにてご紹介していきます。
今回は、版画工房にて語られた、清水博文さんの「声」です。
(展覧会について、詳しくはこちらからご覧ください。)
※竹内万里子さん展覧会記事
https://www.kyoto-art.ac.jp/production/?p=147939
版画には、材料も、道具も、技術も、おもしろいことがいっぱいあった
清水さんは、兵庫県の丹波篠山市で幼少期から高校生までを過ごし、大学時代を東京で過ごします。
自然あふれる故郷から、情報が忙しなく飛び交う土地での生活は、葛藤もあったそうです。
ですが大学で、清水さんは版表現に出会います。
で、2年生の終わり頃に木口木版の集中講義があったの。それまでやってきた油画とかは、細かい技術的なことは知らなくても絵ができちゃうんだよね。ところが版画はそうじゃなくて、道具渡されても、これどう使うのってことが多くてさ。知らないことがいっぱいあった。だけど、まだ先生が教えてくれたから。”
はじめは技術を学ぶ気持ちで入った版画工房で、版画とは切っても切り離せない、「道具」の魅力に目覚めたことをお話ししてくださいました。
版画工房に置かれた棚や引き出しには、さまざまな道具や材料が、たくさん詰まっています。
全て、役割があり、それぞれに物語のある「もの」たち。
置かれている机や棚、道具のなかには、清水さんが作られたものも数多くあります。
凹凸があれば版画はできる
清水さんのお話を聞いていると、「自分も版画をやってみたいな!」という気持ちになるような、ものをつくることの、一番はじめにある喜びに触れるのです。
版画でもやってみようかなってやったら深みにはまった。キリがないことがいっぱいあって、そして面白みがだんだんわかってきた。”
高校のときは美術部と写真部入っててね。印画紙、暗室ワークが好きだった。版画の技法には写真的なこともあるから、それも繋がってるかな。”
「手で考える、ものの力を借りる」を日々大切にされながら、今回の展覧会の作品も独自の技法(表面刷り圧ぼかし※過去OC記事)https://www.kyoto-art.ac.jp/production/?p=129838 で制作されたそうです。
あらゆるものがデータ化され、デジタルな空間に置かれていくいま。
手元に作品が保存できる喜びや意味は、振り返る瞬間にこそわかるのかもしれません。
人の手に残る。それはものだけでなく、記憶や経験が一緒に積み重なっていくことでもあるように思います。
展覧会は、一般の方もご予約なしでご覧いただけることになりました。
学外の方や高校生の皆さんも、この機会にぜひ、足を運んでみてくださいね。
▼ 清水博文先生(洋画家)
https://www.kyoto-art.ac.jp/info/teacher/detail.php?memberId=96009
▶京都芸術大学の資料請求はこちらから
▶高校生・受験生向け:近日開催のイベント
①5/21(土)~6/26(日)|全国13地域で開催👍美大・芸大進路講座
好評につき全国13地域で開催!高校生や保護者の方からよく寄せられる進路に関する疑問にお答えする講座です。
②7/3(日)|ブース型オープンキャンパス
京都芸術大学の全12学科22コースの学びがわかる!体験型ワークショップを開催。お申込みはこちらから