クロステックデザインコース

2022年8月「クロスの熊本県天草市プロジェクト通信」No.8(8月12日分)

世の中がお盆休みだということを、天草でニュースで知って愕然としている「夏休めない男」・クロステックデザインコースの教員・吉田です。

帰ったら、しばらくいろいろな人が私をそっとしておいてくれることを本気で願っています。

 

さて(前回の記事)の続き。

 

期間限定で復活した久しぶりのブログも、もう間もなく「再引退」の日が迫ってきました。

こういうブログって継続した発信がないと見てもいただけないのですが、意外なことに短期間にもかかわらず、高校の先生や行政の方や、いろいろな人に「読みました!」というご連絡をいただきました。

今回は一緒に来ている学生5名の振り返りの助けになればということで書いているのですが、「生徒の指導に参考になりました!」と言っていただけたり、「何を考えてこうしたのかわかりました」という感想をいただきました。

ありがとうございます。

あと、もう少しで最終回を迎えますが、もう少々お付き合いください。

 

さて、8月12日(金)は、「旅するキャンパス」の4講座でご一緒した4名の先生方が一足先に天草を離れるので、それを見送りしてから次の活動へ!と思っていたら、朝からまさかのトラブルが発生!

この緊急時に短時間で何ができるかを考えるのも、プロジェクトマネージャーの大切な仕事。

複数箇所に次々と連絡をして、まずは「現状」を確認。

そして、「この状況下で、どういう方法が選択できるか?」を「最善のケース」と「最悪のケース」双方を考えて、それぞれの場合で起こりうる対応をすぐに検討。

トラブル発生の状況が判明したのが9時05分。

9時55分の天草空港発までに、勝負を決めなきゃいけないので猶予は50分。

実際には、移動を含めると20分以内の勝負。

ヒリヒリする時間でしたが、市役所の方や天草エアラインの皆さんのお力もお借りし、そのピンチを乗り切ることができました。

どうにか無事に4名の先生方を天草空港からお送りして、私たちは学生と次の場所へ移動。

 

先日の記事でご紹介したSeabinのレンタル期間が終了し、その撤収作業に二江漁港に向かいました。

 

 

世間はお盆休みだということもあり、業者さんから連絡があり「熊本からの道が渋滞していて遅れます」と。

 

学生たちと業者さんを待っている間に、Seabinの最後の海洋ごみ回収作業を行いました。

 

約1ヶ月の調査を終えて、二江漁協組合の方とお話をすると、たくさんの気づきがありました。

 

まずは、よく「使うのを減らそう」という話もありますが、実際は、人間が海や川、街に捨てているものが流れています(街に捨てたごみも雨や風で川に流され、それが海へ)

海洋ごみを見ると、「自然の木や葉」と「人間が出したごみ」に分けることができます。

 

日本では、年間に1,000万トンのプラスチック製品が生み出され、

年間900万トンが廃棄されています。

そのうち、年間に14万トンのプラスチックごみが環境中に漏れ出ていると言われます。

その割合は、1.5%。

その1.5%を減らすことをどうしたら良いかというと、

それは、個人が「適切に処理する」「見つけたら拾う」という実に地道な基本的な行為を促すしかありません。

これは、遠くを見ると、「わぁ、キレイ!」と学生が思わず漏らしてしまうイルカが泳ぐ海のすぐ足元に目を落とした時の写真です。

 

「目に見えるもの」と、「見ようとしないもの」

 

学生たちと一緒にゴミを集めても、短時間でできることは限られているかもしれません。

でも、一つ集めれば、環境中から一つ減る。

 

こうしたことを「気づいた人」が、どうやって他者の「気づき」につなげるか?

そこに、今回のプロジェクトの役割がきっとあるはずだと信じています。

 

今回、このプロジェクトにご協力いただいた二江漁港の方にお話しを伺いました。

 

以前は、夏場の平均水温が25℃だったのが、ここ数年は28℃に(3℃海水温が上昇)

冬場の水温が15℃を下回ることが重要なのですが、それも近年は下がることがなく。

ごみの問題だけでなく、私たちの食を支えている海にはさまざまな変化が起こっていることを考えました。

 

そこから、学生たちと「御所浦」に船で移動。

熊本日日新聞で、熊本県内で赤潮が大量に発生し、1日に20万トンの養殖魚が死んでいるとの報道を見ました。

 

その被害が大きいと言われる御所浦に訪れると、見ただけでわかるほどの「赤茶色」の海。

死んでいる魚もあちこちに見られました。

 

赤潮の原因の一つは、農業肥料で使われる「栄養塩(リン、窒素)」や「有機物」が処理できないほど使用されると、雨によって土壌から河川に流出し、富栄養化して海の海水温が上昇すると赤潮の原因となるプランクトンが大量発生すると言われています。

 

海の問題は、農業とも繋がっていて、それを野菜や果物、魚、肉を食べる私たち生活者とも繋がっている問題です。

 

「キレイだなぁ」と「景色」として見る海と、見えないところで大きな問題が生まれている海。

 

そうした視点を「二次情報や基礎情報」に加えて、「一次情報」としても手にした学生たちが、

そこから、一人の人間として何を考え、何をアクションするのか。

自分達芸術を学ぶ人間にできることは何か?

を考えてほしいと願いますし、私も教員として、一人の人間として、彼らと一緒に考えたいと思った天草の出来事でした。

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