- 2022年8月13日
- 日常風景
2022年8月「クロスの熊本県天草市プロジェクト通信」No.7(8月11日分)
「芸術大学界の高橋一生」に改名した翌日に泊まった宿泊先のボディソープが、
『泡の極み』だった、持っている男クロステックデザインコースの教員・吉田です。
(前回の記事の続き。)
さて、「旅するキャンパス」の一つ、「オンライン×対面」授業ということで、今回は、4つの講座を実施しました。
【歴史・地域資源】絵はがきからみる、天草の絶景(通信教育部 芸術教養学科 野村朋弘先生)
地域のことを考えるには、その地域の「歴史」に光を当てることが、天草内外には重要だと考えて、通信教育課程の野村先生に依頼をしました。
京都芸術大学には、通学課程に4,000人の学生がいますが、通信教育課程にはなんと1万人を超える学生が学んでいます。
もはや、「人生100年時代」に、18歳の時に進学した大学やその後の大学院を「最終学歴」という価値観は、非常に古い価値観です。
いくつになっても、新しい学びに出会って、自分の視点が増えていくことを大切にする、本間正人先生のよくおっしゃる「最新学習歴の更新の時代」です。
野村先生は、その通信教育課程の先生で、今回「旅するキャンパス」の趣旨と、地域のことを考えるときに、「歴史を縦軸に、地図を横軸に」という考えから参加を依頼しました。
野村先生の歴史に関する知識が広がり、誰かについ言いたくなるような話題満載のレクチャーの後は、
参加者の皆さんが考える「天草の絶景」ポイントをマッピングしていき、
天草の昔の「絵はがき」を同じようにマッピングして、そこからの気づきを対話していく授業でした。
私たちは現在自分が生きている時間軸の中で物事を考える癖がありますが、こうした「視点」を持つことで、過去から現在、そして天草の未来を俯瞰して考えることができます。
野村先生からいただいたパスは、8月7日に小学生と実施したワークの先の展開に繋げていきます!
【写真】天草の魅力を写真で伝える(初級編・応用編) (芸術教養センター 中山博喜先生)
中山先生は、「旅するキャンパス」の初期から、ずっと参加いただいています。
(「旅するキャンパス(写真講座)」再生リストこちらから。)
初期のオンデマンド教材(講評含む)からずっと参加されているベテラン?の受講者の方も参加いただいていて、先生や学生に「赤巻」をお土産にお持ちいただきました。
こういう関係値ができていくのが嬉しいですね。
初級編では、「スマートフォン」を活用した写真講座。
応用編では、デジタル一眼レフカメラを活用して「光と影」を意識しての撮影講座でした。
この講座には、俳優コースの水上竜士先生も「ぜひ参加したい!」とご自身の講座が終わられた後に参加され、「いやぁ、本当に勉強になりました。ありがとうございます」と中山先生に話される姿がすごく印象的でした。
こうして、教員自身も、互いに学び合う姿勢が、学生にも伝わると良いなと思っています。
【演技】 あなたの魅力を見つける方法。〜演技から学ぶ(映画学科 水上竜士先生)
参加者の皆さんは、最初「演技のワークかぁ……参加はしたものの……」と見るからに緊張感に溢れていた会場。
一緒に受講した学生もその雰囲気で緊張していましたが、たった数十分後には、
参加者の皆さんが全身で笑い合って、「こんなに人って全身で笑えるんだなぁ」と、感心しながら見ておりました。
そのワークの一つ一つに意味があり、授業が終わった後、参加していたクロステックデザインコースの学生2名は、
「もう、本当に『観察力』が重要で、俳優さんってこんなにも観察して、あんなにもたくさんのことを考えているんだと感心しました」
という感想を話してくれました。
人って、何か別のキャラクターになりきろうとするときに、コスプレしたりして、その服装やメイクで「自分とは違う誰か」になろうとします。
しかし、そうしたことをしなくても、「観察」と「考察」で、演技によって、「その人になりきる」ことができるということを参加者の皆さんや学生は理解したそうです。
「本当に俳優さんってすごいなぁ」と何度も漏らす学生を見て、良かったなぁと思う、同じ俳優の高橋一生です。
こうやって「学ぶこと」は、「すごさを理解できること」でもあると思うんです。
そうすると、他者へのリスペクトが生まれる。
まさにそのことが体現された授業でした。
【映画】名曲『甦れ!銀天街!』のミュージックビデオを撮影する(映画学科 山本起也先生)
これは、映画『のさりの島』監督の山本起也先生が、
「天草の皆さんと一緒に、天草や映画の舞台になった本渡銀天街商店街を盛り上げるような作品が作れるといいね」
とはじまり、
「よしっ!天草のデュオ『ざ・からいも』さんの名曲『甦れ!銀天街!』(これがめっちゃ良い曲で、しみじみとくるんです)のMVを、参加者の方が3時間でスマートフォンで撮影して、それを吉田さんが、すぐに編集して、18:15の本渡第一映劇の『のさりの島』上映後に映画館で映写しよう」
という話になりました。
「やりましょう!」と簡単に受けてしまったのを、当日めちゃめちゃ後悔…….
というのも、参加者の皆さんとMVの撮影が終わったのが、13時30分。
そこから、映画館での上映まで、4時間強しかなく。
撮影した素材は、参加者の皆さんのスマートフォンの台数分あり、かつ、MV(ミュージックビデオ)なので、歌と合わせなければいけず。
さらに、参加者の方がお持ちした、「賑やかだった頃の銀天街の写真」も、取り込む必要があり、
映画学科俳優コースの映画『アプローズ・アプローズ』でまさかの熟睡をしていた秋田くんと
「よし、秋田くんは、写真の取り込みと補正、芸術大学界の高橋一生は、ひたすらMVの編集だ!」(しまった!このときは、まだ高橋一生じゃなかった)
と役割分担して、昼食も食べられず、トイレにもいけず、ただただ時計だけを気にしながら、ひたすら編集作業。
「絶対に間に合わせねば、参加者や観客の皆さんの期待を裏切ってしまう」というピリピリした4時間。
最後に、「よし!これで行こう!」と山本監督からGOが出たのは、18時05分。
当然、それで終わりではなく、動画を書き出して、書き出した動画のチェックも必要で、
本渡第一映劇までMacbookを片手に、夕方の天草の街を動画の書き出しをしながら移動。
「これで、PCがフリーズしたら終わるな」と、相棒のMacに「頼むぜ、相棒」と祈りながら、無事書き出しが完了し、動画のチェックも終わったのがジャスト18時15分。
MV上映後、参加者の方からも、観客の方からも、
「自分達が撮影したものが、こんなに素敵なMVになるなんて!」という声や
「これは、ずっと銀天街や市役所やケーブルテレビで流しましょう!」という声をいただき、
そして、主役の「ざ・からいも」のお二人には、
「この年になって、こんなご褒美をもらえるなんて、感謝してもしきれない!」と言っていただき、ほっと一安心。
秋田くんと手を握り合い、「やったなぁ」と。
市民の皆さんが監督のアドバイスを聴いて撮影し、それが形になって、さまざまなところで活用されていく。
そういうモデルを作れて良かったなぁと思っています。
きっと、そのやりきって輝く顔が、ざ・からいもさんには、高橋一生に見えたのでしょう。